重度脳性まひ症状の中学3年生の人が
夜間定時制の神戸市立楠高校を受験したけど
落ちてしまいました。
県内の定員割れで唯一不合格だったそうです。
本人は、話すことができず、
日常生活の全てで介助が必要とのこと。
中学生までは、看護師のサポートや
周囲の人、学校の友達の理解がありました。
健常者と同じように心身ともに成長できて、
学校が大好きだったといいます。
いろいろな高校を調べたり、
見学していく中で、楠高校に強く行きたいと
願い、目標にしていました。
しかし、定員割れにもかかわらず、
落ちてしまいました。
背景には、何があったのでしょうか。
楠高校の偏差値
楠高校の偏差値を調べてみると30~32
くらいのようです。
本人は、受験の際に、
試験の問題を読み上げてもらったり、
代筆、別室、時間の延長などの配慮を
してもらいました。
さらに試験問題も選択式になっており、
問題の回答も差し障りのない状態でした。
それでも定員割れの再募集受験での
学力検査で不合格になりました。
偏差値30台前半で、
選択式の試験であれば適当に解答を選ぶ
だけでも絶対に合格できる気がします。
私は偏差値38~42くらいの高校を
受験して受かりました。
しかし、試験問題がほとんどわからず
壊滅的で、落ちると思っていました。
それでも倍率1.02~1.1の
高校だったので、受かりました。
今回定員割れの高校ということで、
試験で落ちるということは
ないと思います。
しかし、この方は定員割れの再募集の
学力検査で落ちてしまいました。
落ちた理由
定員割れで不合格にした場合、
神戸市では、校長から直接、
市の教育委員会に報告し、
審議をされるそうです。
市の教育委員によると、
「不合格の判定は妥当だった」
と判断されたそうです。
保護者の方は校長に、
どうしたら合格できるのか
尋ねました。
校長は、「学校にはそれぞれの
基準があって、不合格の判定を
下した」といいます。
さらに、「この1年間で彼が劇的に
成長すれば、合格できるかも」
というようなニュアンスの返答を
されたそうです。
落ちた理由は、明らかに学力ではなく
彼を受け入れるのが難しいと
判断されたと思います。
日常生活の全てにおいて
介助が必要な為、
学校生活において困難があると
思ったのでしょう。
この学校側の判断が、
障害者を差別しているのではないか、
という議論になり、
ニュースとして取り上げられました。
定時制高校には、発達障害の人も
いますし、高齢者やその他にも何かしら
問題を抱えている人が通っています。
発達障害の場合は、身体障害と違い、
精神、脳の問題です。
見た目的にはわかりずらく
理解されない、勘違いされる
ことがよくあります。
しかし、身体障害や今回の脳性麻痺の人は、
見た目で判断される恐れがあります。
知能や精神に問題が無くても、
やはり人は、外見で判断されます。
さらに、初対面やほとんど知らない人に
対しては、中身よりも見た目で
印象を決めてしまいがちです。
彼の場合は、小中学生での介助は必要
でしたが、周囲のサポートや友達の理解
などがあり、学校が好きになるほど
順応していました。
学校側は、不合格の理由はあきらかに
しませんでしたが、試験結果や不適応と
判断されました。
不合格の判定をした人は、
彼の過去の学校生活や日常生活を
考えてくれていたのでしょうか。
本当に高校に通うことが無理だと
思ったのでしょうか。
私にはどうしても
障害を理由に、受け入れることが困難と
判断されたと思ってしまいます。
ネットの反応
2chのまとめサイトや
yahooのコメント欄をみてみました。
「申し訳ないが、
自分の近くにそういう人がいたら
面倒に思うのが普通だと思う意思疎通も十分できない感じなのに、
何かあったら学校の責任にするのだろうか?
下手に関わったらこっちが病みそう障害者なら障害者として扱ったほうが、
本人にとっても幸せだろうに
自分と違う健常者を見せられても、
治る見込みが無いなら
余計に苦しい思いをするだ
けだぞなぜ障害を持った子向けの整った施設や
職員がいる支援を避けてまで
普通学級にこだわるのか高校は集団生活だからね・・・
手間がかかるし、
十分な対応が出来ないと訴訟リスクもある。
だから、面接・調査書の提出がある。小学生の息子が軽度の発達障害児です。
正直今の何でもかんでも障害者・児を
受け入れろの流れに違和感を感じています。障害に対しての理解や知識もなく、
環境も整っていないのにただ形だけ
受け入れてもうまくいかないと思います。特に医療的ケアが必要というのは
命に関わることになるかもしれないし、
簡単に受け入れる方が無責任に感じます。この場合の「障害を理由に不合格」
というのは正当な理由と私は感じました。
ほとんどの方が現実的な問題を考え、
学校側の不合格の判断を妥当だと
考えているようです。
確かに、納得できる意見でもあります。
特に、当事者が周りの人と違う環境で
過ごす苦痛は並大抵ではありません。
私自身も広汎性発達障害で人との
コミュニケーションが全く取れず、
学生生活は酷い目に合い続けました。
できることなら普通級ではなく、
特別支援学校に行きたかったです。
彼の場合は、小中学校時代は
周囲の支援や友達の理解があり
健やかに育ったそうです。
ですが、高校も同じような環境が
築けるかどうかはわかりません。
一番の問題は、本人が周囲の人と違うと
感じて不適応を引き起こし、
二次障害を抱えてしまうことだと
思います。
子供時代にストレスを抱える環境で
過ごすのは、大人になってから
精神的な影響がでてしまいます。
今回の定時制高校は一般学級の
ようです。
個人的には、障害に理解がある学校を
選んで、本人が平和に過ごせる環境が
大切だと思います。
まとめ
このような問題は全国で多数あるそうです。
日本では2013年(平成22年)に
障害者差別解消法が制定されています。
障害を理由にした差別的取り扱いを禁止、
合理的配慮不提供の禁止があります。
しかし、義務教育ではなくなる
高校からの配慮は難しいようです。
言葉と知的に問題がある人が、
定時制に14年間も落ち続けている、
重度脳性まひの人も6年間、
受験に失敗しています。
高校のほとんどが普通の人を対象に
している現状では、受け入れが
難しいとされています。
このような現状を打破するために
国連が最終目標にしている
フル・インクルージョンがあります。
フル・インクルージョンとは、
障害のあるなしに関わらず、
同じ学校・クラスで、
一緒に学んで育つ、という意味です。
日本でもインクルーシブ教育があります。
このように誰でも同じ学校の環境で
学んで育つことで社会性を身につけ、
将来、普通に適応できることを
目指しています。
ただ、現実問題としては
発達障害の人もそうですが、
何かしらの不和や不適応を引き起こして
しまうと思います。
それを改善するのがインクルーシブの
最大の目標でもあるわけですが。
現状は、発達障害だけでなく、
身体や今回の脳性麻痺の人も
理解され、サポートがある環境作りは
整っていないと思います。
大多数の少数派なので、
現場の声が届かず、理解、改善されることは
難しいと言わざるをえません。
しかし、実際に自分が当事者の立場に
立った場合、とてつもない苦悩が
あるわけです。
普通とは違う状態がどれだけ辛いか
健常者の人は想像できないと思います。
今回の脳性麻痺の当事者や保護者の人は、
さまざまな困難に向き合ってきたと
思います。
世間ではいろいろな意見がありますが、
自分が当事者だった場合の立場で考え、
理解してあげて欲しいと思います。