誰でも新しいことを始めたり、
今までと違う環境に置かれると
馴染むまでに時間がかかると思います。
アスペルガー症候群の人は、
脳の特性上、この馴染むことが非常に
苦手です。
普通の人(健常者)であれば、
周囲の状況から判断して、
自分なりに正解を見つけられます。
しかし、アスペルガーの人の場合は、
想定することが苦手なので、
さまざまな視点から考えられないのです。
新しいことを始めようとしても、
しっかりと考察してから始められない為、
たいてい失敗してしまいます。
環境の変化に対しても、
洞察力がないため適応できず、
孤立したり、ストレスを溜めてしまうのです。
アスペルガーの人にとって、
変化や新しいことに対して
物凄く不安を感じてしまいます。
「いつもと同じ」
「このままの状況を変えたくない」
という気持ちを強く持ち続けているのです。
変わってしまうことは恐怖であり、
変化のない日常が安定なのです。
「同じことを毎日続けたい」
「同じであることが好き」という気持ちは、
“同一性の保持”といいます。
アスペルガーの人は、
“同一性の保持“によって心が安定し、
不安の気持ちを起さないようにしているのです。
今回は、アスペルガーの人が環境の変化に
弱い・苦手な理由と対処方法について
お伝えしていきます。
新しいことや変化に苦手なアスペルガー
アスペルガー症候群の人は、
自分が把握していない状況下に置かれたり、
新しいことにチャレンジすることが
非常に苦手です。
例えば学年が上がってクラスが変わると、
知らない人や新しい担任の先生になります。
クラスの人の特徴、雰囲気など把握し、
さまざまな要素を考えて自分の立ち位置を
決めなければならなくなります。
アスペルガーの人は、場の空気を察したり、
人の気持ちを汲み取ることができません。
そのため、1から新しいクラスの環境に
適応することが困難なのです。
他にも、人生を生きていく上で遭遇する、
「進学」「就職」「結婚」「引越し」など
さまざまな新しい状況に対応することが
苦手で、困難な状態に陥ってしまいます。
そのため、サポートや理解の無い状態だと、
周囲から孤立してしまうだけでなく、
精神も不安定になり、
二次的な問題も抱えてしまうのです。
何故アスペルガーの人は、新しい環境や
変化に弱いのでしょうか。
アスペルガー症候群(ASD)の特性である
「想像力の欠如」「社会性の欠如」
「コミュニケーション障害」
によって引き起こされます。
想像力の欠如
想像力が著しく欠如しているために、
周囲の状況判断ができない、
相手の気持ちを推し量れない、
視野の狭さなど、
思いつきがほとんどなく、
新しいことや変化を想定することが
できないのです。
社会性の欠如
社会性の欠如では、
新しい環境や変化によって、
その場に適した言動や振る舞いが
できません。
いつもと違う状況に置かれたとき、
自分で何をどうしたらいいのかわからず、
パニックになってしまいます。
「普通こうするだろう」というのが
アスペルガーの人には通じず、
変な行動や言動をしてしまうのです。
コミュニケーション障害
アスペルガーの人は、
知り合いとの会話であっても
相手を不快にさせてしまったり、
怒らせてしまうことがあります。
初めての人とのコミュニケーションでは、
相手を驚かせてしまうような
変なことを言ってしまうことがよくあります。
人との距離感がわからず、
その場に適した普通の会話ができないからです。
学生から社会人に変わって、
目上の人との会話でも、
友達と同じ目線で話してしまいます。
また、社会人としての自覚がなく、
同僚にも馴れ馴れしいことを言ってしまう
こともあります。
新しい環境において自分がどういう会話を
したらいいのかわからないのです。
そのため、思いついたことを
そのまま言ってしまい、
相手に引かれたり、驚かせてしまう言動を
してしまうのです。
アスペルガーの人が新しい環境に置かれると、
変化に対応しようと
必死に自分なりに考え行動します。
しかし、ほとんどの場合、馴染めず、
失敗を繰り返してしまいます。
本人は、変化に対応できないことに気づかず、
自覚していないことも多いです。
そのため、周囲の人に相談したり、
SOSを求めることもしないのです。
そして、いつのまにかストレスを
溜め込んでしまい、家族や友達に
あたってしまうこともあります。
新しいことや変化に対応するには
アスペルガー症候群の人が
経験のない新しいことに対して
苦手な理由は、想定ができないからです。
普通の人であれば、周囲の状況や
今までの積み重ねから総合的に
判断して対応します。
しかし、アスペルガーの人は特性によって
思いつきがほとんどないため、
どうしたらいいのかわからないのです。
そのため、アスペルガーの人が
新しいことや変化に上手く対応するには、
経験値を上げる必要があります。
これから起こるであろう未知の出来事に
対して、徹底的に情報を仕入れて、
シミュレーションをするのです。
例えば、学校から会社という環境に
馴染むために、社会人としての
振る舞いや言動をアルバイトや
訓練施設などで体験し、学びます。
周囲の人の振る舞いを観察したり、
マナーを覚えることで、
事前に自分がするべき行動を把握し、
対応がしやすくなるのです。
アスペルガーの人は、新しい環境や
変化が起こると、パニックに
なってしまうことがあります。
パニックになると思考停止状態に
陥ってしまい、さらに適応できなく
なったり、大失敗をしてしまいます。
あらかじめ、カウンセラーや相談員
などの専門機関に相談し、
不安を打ち消し、ゆとりをもつことが
大切なのです。
まとめ
みんなと同じような行動ができず、
自分が何をしたらいいのか
わからない。
そのため、アスペルガーの人は、
常に変化に機敏で、
不安と恐怖を感じながら
生活をしています。
失敗しないように、
波風立てないようにと考えていても
脳の特性上、上手くいかないのです。
辛すぎる脳の機能異常ではありますが、
現代医学では治すことができないため、
影響力を最小限に押させる必要が
あります。
そのためには、事前の準備として
想定したり、あらかじめ経験して
おく必要があります。
「するべきこと」を把握していれば、
失敗を減らし、不安感な気持ちを
減少させることができるのです。
新しい環境や変化に慣れるには、
自分のパターンにはめて、
ルーティン化することが必要です。
常に同じ行動ができるように
自分の型を作ることで、
安心感が得られ、失敗を減らすことが
できるのです。
新しい変化を受け入れ
常同行動化することで、
「同一性の保持」が得られます。
アスペルガーの人にとって、
常に同じである「同一性の保持」を
保つことが心の平穏に繋がるのです。