NHKで今日(2018年11月19日)
放送された、あさイチ「新常識!
女性の発達障害・空気読みすぎて悪化?
出産の影響も」を見てみました。
ゲストは女優の坂下千里子さんと
俳優であり、自身が発達障害と公表した
栗原類さん。
発達障害の専門家の人、
博多華丸、博多大吉さんを交えて
発達障害の女性ならではの困り感を
討論されていました。
発達障害の症状は男女ともに同じですが、
男性には無い、女性ならではの行動や
感情の違いから、
困り感が大きく異なります。
そこで今回は、番組内で放送された女性の
過剰障害の症状と原因、女子会の意義、
妻(母)、子育ての困りごとなど
についてお伝えしていきます。
発達障害の過剰障害の症状と原因
発達障害の過剰障害とは、
ASD(自閉症・アスペルガー)の
こだわりの強さや、完璧主義の特性から
必要以上に頑張ってしまい、
過剰に適応しようとして
ストレスを抱えてしまう症状です。
ASDは頑張っても脳の特性から、
普通の人ができることが上手くできずに
失敗してしまいがちです。
「もっと頑張らなきゃ」と一生懸命
自分なりに対策を考え、人一倍頑張って
普通の人と同じことが出来るように
演じようとします。
ASDは適度に力を抜くとか、
どれくらい頑張ればいいのか、
想像することができません。
いつも全力で過剰に頑張ってしまうので
疲労感やストレスをたくさん抱えて
しまいます。
過剰に適応しようとすることで
心身に多大な負担がかかり、
二次障害が起こります。
過剰適応の二次障害には、鬱病、
総合失調症、摂食障害、線維筋痛症
などがあります。
これらの症状がみられたら、
過剰障害となっているのです。
ASD(自閉症・アスペルガー)は
完璧主義、物事をきっちりやろうとする為
過剰障害になりやすいといわれています。
女性の場合は、グループという集団の中で
空気を読むのが当たり前になっています。
ASDの女性は、様々な特性から
グループでのコミュニケーションが
難しいです。
その為、適応しようと過剰に頑張り過ぎて
しまい、過剰障害になりやすいのです。
あさイチの番組内では、
33歳のときに初めて発達障害と
診断され、過剰障害になった女性の方の
経験談が放送されていました。
子供の頃の卒業文集には、
「ひょうきんな人1位」と
書かれていました。
自分では、普通にしているつもりなのに
面白い、変わっている人と思われていて
悩んでいます。
空気が全く読めず、思ったことを
口にしてしまいます。
女性同士の会話に必要な「暗黙の了解」が
わからず、嫌われてしまいます。
空気が読めないため、
周りの目を気にするように・・・。
嫌われるのが怖い。
そのため、自分なりに対策を立てて
「過剰に空気を読もう」とします。
仕事では、話す内容や会話パターンなどを
自分なりに考えて台本を作ってきます。
人と会話をするときは、数十ページもの
台本から、最低3パターンをシミュレート
した言葉の中から選びます。
(これらはすべて記憶しているそうです)
話すスピードや口調など、
細かいところまでこだわります。
台本での演技を何度も繰り返していくうちに
「本当の自分はどんな性格だったのか」
「普通ってなんだっけ・・・」
「あれ、私ってどういう人間・・・」
自我が崩壊するところまで
過剰適応しようとしていました。
そのうち心身に強いストレスを抱え、
医師に相談したところ、
発達障害と過剰障害が判明したのです。
「私は今まで頑張り過ぎていたんだ」
「本当に適応できているわけではなかった」
「疲れて当然だ」
必要以上に頑張り過ぎていたことで、
過剰障害になった原因がわかりました。
今は働き方を見直すために、
フリーライターとして転身。
会話パターンの台本も、
数十枚から数枚程度まで減らしました。
ASDは気づかないうちに普通を一生懸命
演じようとする傾向があるので、
過剰適応にならないように、
意識することが大切です。
女性は会話や対人関係が得意な傾向があり
ASDの特性が見えずらくもあり、
発見が遅れることがあります。
自分の特性に気づかれず、
頑張り過ぎてしまい
過剰に適応しようとするのです。
過剰障害を治すには、
過剰適応しようとする「頑張りすぎ」を
止めることです。
自分の特性を理解して、
周囲の人に理解、サポートを求めましょう。
自分のできないことを知って
頑張り過ぎない環境を作ることが
大切なのです。
発達障害の女子会の意義
発達障害を抱える女性達が
鍋パーティをしながら女子トークを
している様子が番組内で放送されて
いました。
お互いに日常で困っている特性について
意見交換をしていました。
見ていた発達障害の専門家の人いわく、
「発達障害の人の女子会は女子会ではない」
「言いたいことを話しているだけ」
と表現されていました。
定型発達の女子会は、
「共感を求めあうトーク、
解決策を求めているわけではない」
とおっしゃっています。
確かにそうだと思いました。
私ASD当事者ですが、発達障害者の人と
コミュニケーションをとったことは
ありません。
ですが、もし女子会のような集団で
ASDの人と語り合う場があったとしたら、
みんなそれぞれ、相手の気持ちを考えた
コミュニケーションは難しいと
思います。
また、定型発達の女子会の意義である
「共感し合って空気を読む」
トークは絶対に無いと思います。
1つの話題の問題が定義されたら、
それについての具体的な解決策を
みんなで模索して、意見を出し合うような
トークになると思うのです。
曖昧とかぼかすとか、適当にとかは
無縁であると考えられます。
専門家の人は、
「次のステップに進むための練習」
「お互いの特性を見つめなおして」
会話の経験を積む場が、
発達障害の女子会の意義である
と結論付けました。
妻や母になる大変さ、子育て
発達障害の女性が妻や母になったり、
子育てをする立場になった時、
特性により、女性ならではの
困難さが引き起こされます。
番組では聴覚過敏である女性の
子育ての苦悩がありました。
赤ちゃんの泣き声でまったく眠れない。
泣き声が頭に刺さってくる感じ。
赤ちゃんをあやそうとしても、
パニックになってしまい、
フリーズしてしまう。
特性による子育ての困難さに
苦しんでいました。
幸い、夫の理解とサポートがあり、
辛い時期は乗り越えられました。
女性は妻や母になると、
求められる振る舞いや役割も
変わってきます。
今までのパターン行動ができなくなり
パニックになったり、
強いストレスを抱えてしまいます。
発達障害に理解がない環境だと、
「子育てはみんな大変」
「他の人も同じなんだから、頑張れ」
というようなことを言われ、
特性によりできない、難しいことを
無理やり頑張ろうとしてしまいます。
また、赤ちゃんは泣き声でしか
困ったことや助けてほしい状態を
表現できません。
ASDは目に見えない「泣き声」から
状況を察することが苦手です。
ですので、母の役割や子育ては
発達障害の女性にとって
大変困難な活動なのです。
では、一体どうすればいいのか。
テレビでは、
「子育て支援センターに相談する」
「ヘルパーや保健士、児童相談所」に
手助けを求めて乗り切る方法が
紹介されていました。
周囲の理解を求め、サポートしてもらう
ことが一番大切なのです。
まとめ
今回は、女性の発達障害の困り事について
お伝えしてきました。
男性にはない、女性特有の環境による
困り感によって引き起こされる特性の辛さは
大変だと感じました。
特に女性は、グループという空気を読む必要
がある、集団生活の環境での適応が
特性により困難になってしまいます。
特性に気づかず、頑張り過ぎてしまうと
過剰障害になってしまいます。
そうならないために女子会や集団での
コミュニケーションの場を通じて経験値を
上げることが必要なのです。
女性が妻や母になる転換期や子育てでは、
周囲の理解やサポートが必須となるのです。
今回、この番組を見ていて一番印象に
残ったのは、栗原類さんです。
栗原類さん以外は定型発達の人達でしたが、
スタジオでのトークを見ていると、
明らかに違いがわかりました。
決してバカにしているわけではなく、
発達障害の人は、顔の表情や目の視線、
話し方や会話の仕方が、他のメンバーと
一線を画しているとわかります。
もし自分が栗原類さんの立場だったら
ほぼ同じ言動や仕草をしていたと
確信しました。
それ以上に、他の人の言葉遣いや
自然な振る舞いが、明らかにレベルが
高すぎる印象を受けました。
特にもう一人のゲストである
坂下千里子さん。
初めて見た人だと思うのですが、
話し相手の気持ちを考えた
言葉使いや仕草、相手を思いやる雰囲気に
圧倒されました。
これが定型発達のコミュ力なのかと。
なんであんなにすんなり受け答えができて
しかもテレビを見ている人にも違和感を
感じさせない、
言葉がでてくるのでしょうか。
想像力が豊かで、言葉が巧み。
これは、坂下千里子さんだけでなく、
博多華丸、博多大吉さんや
発達障害専門家の人の会話からも
感じられました。
発達障害の人は、自分が言いたいことを
言っている、定型発達の人は
気遣いをしながら言葉を選んで
コミュニケーションをとっている。
そんな印象をまざまざと感じた
「あさイチ」でした。