最近、発達障害の認知が世間に
広まりつつあり、支援も充実して
きたように感じます。
学校での配慮や職場での理解、
相談できる機関も増えてきました。
しかし、それでも発達障害者に
対する理解やサポートは不十分だと
思います。
形式的・業務的な支援で、
本当に困っている問題に対する
解決ができていないからです。
それも仕方がないとは思います。
現代医学では治せないですし、
症状もひとりひとり異なります。
そして、二次障害の問題など
解決しなければならない
問題などもあるからです。
国や自治体も手探り状態なのは
やむを得ないと思います。
それでも年々、発達障害に
対する支援が充実してきました。
2002年に文部科学省の調査の結果、
知能の発達の遅れ以外の子が
多数いることが判明しました。
日常の生活や学業において
特別な配慮が必要な
発達に問題がある子が6.3%も
いることがきっかけです。
この調査結果を重くみた政府は、
医療機関や教育機関、社会への認知を
図るようになります。
そして2005年に発達障害の概念を
社会的に広めるきっかけとなった
「発達障害支援法」が制定されたのです。
発達障害支援法では、
医療機関や教育現場、社会において、
発達障害(ASD、ADHD、LD)
の理解、支援が目的です。
発達障害者支援センターが設立され、
発達障害の早期発見・治療、
学校生活での療育・サポート、
就労の支援などが行われました。
以降、発達障害者に対する理解が
深まっていき、発達障害支援法の
改正がされていきます。
最近(2018年)では、
障害者雇用枠に精神障害者(発達障害)
の雇用義務も加わりました。
発達障害の人にとっては、
未だに生きずらい世の中です。
しかし、法整備により、
少しずつ改善されているのも事実です。
そこで今回は、発達障害者を支援する
法律の変化の歴史・改正について
お伝えしていきます。
日本の発達障害者を支援する法律の改正・歴史
日本で発達障害を支援する
法律はどのように変化してきた
のでしょうか。
年表で整理していきたいと思います。
2005年(平成17年)
発達障害者支援法
2007年(平成19年)
特別支援教育
2011年(平成23年)
大学入試センター試験の
発達障害者への特別措置
2012年(平成24年)
障害者虐待防止法
2016年(平成28年)
発達障害者支援法の改正
(障害者差別解消法、
改正障害者雇用促進法
合理的配慮の提供義務)
2018年(平成30年)
障害者雇用義務の対象に
精神障害者を加える
他にも保育所保育指針改定や
国公立大学学生への特別支援教育
などがあります。
発達障害者支援法(2005年)
日本で初となる、発達障害者の支援を
する法律です。
2005年以前は、発達障害の明確な
区分はなく、知的障害者の施策の一部
とされていました。
発達障害のASD(自閉症・アスペルガー)、
ADHD(衝動性/多動性/注意欠陥)、
LD(学習障害)の人は、
知的に遅れがなければ、
法律的に支援される対象とは
いえなかったのです。
しかし、文部科学省の調査によって
知的に遅れがなくても、発達障害は
日常の生活や学業において、
特別な支援が必要という結果が出ました。
そして、2005年に発達障害者支援法が
制定されたのです。
発達障害者支援法の主なポイント
社会(会社)や教育現場(学校)、
医療機関などにおいて、
発達障害の周知の徹底化。
国民の発達障害の福祉に対する
理解・協力の努力
発達障害の子の早期発見・
早期療養をする。
発達障害の人に対する
学校生活のサポート、就労支援を行う。
発達障害者支援センターの設立。
発達障害者の自立や社会参加の
サポート。
発達障害は、身体障害や知的障害と違い、
見えずらい特性の問題を抱えています。
そのため、「本人の性格の問題」や、
「親の教育が悪い」などといった
誤解を生みやすい状態でした。
発達障害者支援法によって
発達障害の理解が深まり、
職場でのミスや、コミュニケーションなどの
問題の理由が明らかになったのです。
特別支援教育(2007年)
障害のある子どもに対して、
個別に支援を考え、生活・学習の
サポートを行う教育。
従来の特殊教育(障害児教育)の対象
(視覚・聴覚・知的・身体障害)に、
発達障害のLD(学習障害)、
ADHD(注意欠如・多動性障害)、
ASD(自閉症)を加え、
特別支援教育となりました。
国際的には、障害者別に教室を
分けるのではなく、
みんな同じクラスで生活・勉強を
するべきとされるインクルージョン
(包含)理念があります。
大学センター試験の配慮(2011年)
発達障害の概念が広まり、
大学入試における障害者区分に
発達障害も含まれました。
発達障害の特性による問題の
個別配慮が行われるようになり、
現在では様々な特別措置があります。
トイレに近い部屋
ひとり部屋
問題用紙の拡大
集団面接→個人面接
など合理的配慮が義務付けられています。
障害者虐待防止法(2012年)
職場や家庭、福祉施設など、
障害者に対する虐待の事前阻止と早期発見、
養護者への支援をする法律。
虐待を受けている障害者を発見した場合、
通報の義務化。
発達障害者支援法の改正(2016年)
発達障害の人が、よりより学校生活や
将来を送れるための改正です。
この改正の重要なポイントは、
発達障害の人の社会的な問題を
解消することです。
今までは、保護者や教育現場、専門機関
など限られた場での支援でした。
改定により、
「社会全体の責任で支援を行う」
と定義されたのです。
発達障害の人が特性により、
社会的な問題を抱え続けるのは、
周囲の努力が足りないから。
それを社会の責任として解消していこうと
法律で明記されたのです。
主に障害者差別解消法、障害者雇用促進法
合理的配慮の提供義務があげられます。
障害者差別解消法
障害者に対する雇用(採用、給料)、
教育訓練、福利厚生施設の利用など、
障害を理由に排除したり、
不利な条件にする差別的な行為を
してはならない。
合理的配慮の提供
施設を利用する際の障害への配慮、
障害の支障を緩和し、
能力を発揮できるように配慮する
などの努力義務を求められます。
障害の特性による試験の配慮では、
国公立大学では義務化、
効率・私立大学では努力義務に
変更されました。
障害者雇用促進法
会社の全従業員の2%(50人に1人)に
障害者を義務付けされました。
義務を果たさない企業に対しては、
ハローワークが行政指導を行う。
障害者総合支援法の改定(2018年)
障害者雇用枠は身体障害者を
雇う事業主が多く、
精神(発達)障害には厳しい
現実がありました。
そこで、障害者雇用に
精神障害も対象になりました。
精神障害者の障害者雇用率を
0.5→1になりました。
また、雇用義務の数も
50人から45.5人に一人の
割合となりました。
まとめ
発達障害者を支援する法律が2005年に
制定されてから、まだ13年と8ヶ月くらい
しか経っていません。
そのため、法律によって恩恵を
受けられるている人は、
20代前半くらいまでだと考えられます。
また、発達障害の理解に対しても
世間的に認知されているとはいえません。
支援に対しても少しずつ改善はされてきて
いますが、微々たるものだと感じています。
今のところ、法律によって
必要最低限の支援レベルだと思います。
個人的には10%くらいだと思います。
発達障害の特性による生きずらさは、
並大抵ではありません。
そして、社会的な立場からすれば、
圧倒的に弱者です。
健常者(定型発達)の人から見れば、
差別はしないけれど、区別はされる立場
だと思っています。
いくら法律で定めても、
結局、脳の問題なので、学校や社会、
日常の困難さは解決しずらいのです。
発達障害の人が生きやすい世の中になるには、
どうしたらいいのでしょうか。
かなり難しいテーマだと思います。