発達障害(ASD)の人が初めての物事や新しい環境に放り込まれると、パニックになったりストレスを異常に溜め込んでしまいます。
定型発達の人でも初の物事は苦手だと思いますが、ASD(自閉症 アスペルガー)は脳の特性(ハンデ)上、健常者よりも数倍の心労を抱えてしまうのです。
では何故ASDは、普通の人よりも現状の変化や新しい物事が苦手なのでしょうか。
今回は、発達障害の新しい変化に順応できない理由や、初めての環境が苦手な理由、対策方法などをお伝えしていきます。
現状の変化が嫌な理由
発達障害のASD(自閉症 アスペルガー)は、環境の変化に非常に苦手意識を持っています。
例えば、学校やクラスが変わったり、進学、就職など、慣れ親しんだ状況からの変化に恐怖を感じています。
これは、ASDがさまざまな脳の特性(ハンデ)から、新しいことや現状の変化を調整する機能が非常に低いからです。
そのため、現状が変わってしまうことや、初めてのことに挑戦するときに物凄く抵抗感をもっています。
ASDは新しい物事や環境に慣れるまで非常に時間がかかります。
環境ややり方が変わってしまうと、ようやく慣れた学校やクラス、職場などの環境を、また一から再スタートし、パターンを構築しなければなりません。
そのため、あらゆる初めてのことに対して、嫌な気持ちを感じたり、やる気が起きず、強い抵抗感が出てきてしまうのです。
またASDは脳の特性(ハンデ)上、現状の変化に慣れるためには、非常に時間がかかります。
さらに、普通の人ができることができない場合がよくあります。
例えば、私のことですが、中学の卒業アルバムで自分のアイコンに似顔絵を描かなければならない状況になりました。
他の人は1~3日で書き終えているのですが、私は絵心や美術力がまったくといっていいほど無く、何をどう描いていいかわかりませんでした。
締め切りまで似顔絵が描けず困っていたのですが、普段私をいじっている人が見兼ねたのか、代わりに似顔絵を描いてくれました。
これはたまたま助けてくれた人がいたから助かりました。
しかし、私が高校を卒業して、専門学校に進学したときの新しい環境の変化で、人生最大の失敗をしてしまいました。
私はメンタルが異常に弱くて、対人関係が物凄く苦手です。
さらに極度のあがり症で、末期的な赤面症もあります。
専門学校に入学して2日目に、一人ずつ前に出て自己紹介をする場面に遭遇しました。
私の苗字は、ある一地方ではよくある苗字なのですが、大抵は変わった苗字としてバカにされたり、間違って読まれたりして、訂正したりするのが非常に苦痛で、いつも辛い思いをしてきました。
親には何度も苗字のことで、変えたいと必死に訴えていたのですが、「心の持ちよう」とか「気にするな」と言われ、相手にしてもらえませんでした。
実際、苗字を変えるのは非常に大変です。
無料の弁護士に相談したことがあるのですが、一旦戸籍を真っ白にし、何もない状態で裁判をしなければならないのです。
その裁判では、何故苗字を変えたいのか、その理由や根拠に正当性があり、納得する理由でなければ裁判に勝てません。
私はただ単に、新しい環境(病院や教師など)でいつも間違えて呼ばれて、周りから変な目で見られたり、訂正しなければならないのが辛いという理由です。
ですので、もし裁判で勝てなければ、ただの浮浪者?となってしまうのです。
あまりにもリスクが大きすぎます。
なので、今現在も絶望とともに、変わった苗字を受け入れて生きています。
専門学校の自己紹介での失敗は、苗字の漢字の読み方をいつも間違えて呼ばれる方に勝手に変えようと、何故か思いついたのです。
そちらの方が一般的に読まれやすく、新しい先生に間違って読まれても訂正しなくても済むからです。
とにかく、苗字で奇異の目でみられることに異常に恐怖を感じていたのです。
しかし、私はその自己紹介で何故か正しい読み方を言ってしまい、すぐに訂正していつも間違えて読まれる方を言ってしまいました。
周囲の聞いている人たちは、シーンとなりました。
私はあまりにも恥ずかしくて、顔が真っ赤になり、パニックで硬直していました。
何も考えられなくなり、すぐに席に戻って座りました。
もうその専門学校にはいくのが怖くなり、2日で辞めてしまったのです。
初めての環境や物事が苦手な理由と対策方法
発達障害(ASD)は、新しい環境や物事に強い拒絶反応を示します。
さまざまな脳の特性(ハンデ)から、新しい物事に慣れようと必死に頑張っても、普通の人よりも圧倒的に劣ってしまうからです。
そして、自分だけ取り残され、孤立してしまうこともあります。
そのため、初めての環境や物事に対しては、極度の不安感を感じたり、ストレスを溜めこんでしまい、心や体が不調になります。
新しい環境に馴染めないと、のけ者にされたり、足手まといになり、鬱になったり、辞めるはめになってしまうのです。
では発達障害(ASD)が、新しい環境に馴染んだり、物事をスムーズにこなすためには一体どうすればいいのでしょうか。
それは、事前に新しい環境に慣れる対策や、予想される(起きるであろう)物事に前もって計画して準備しておくことです。
発達障害(ASD)は、初めての環境や物事に対しては苦手ですが、最初から起こることが分かっていれば、慣れることはできます。
そのためには、発達障害に理解がある人や親、教師などがサポートしてあげる必要があるのです。
発達障害は脳の特性(ハンデ)上、何をするにしても一人で行うことは難しいです。
普通の人が当たり前にできることが出来ません。
ですので、困難に直面するであろう新しい物事に対しては、事前に周囲の人が予想し、準備してあげるべきなのです。
まとめ
発達障害(ASD)は、一度構築した環境は、自分ルールで進められています。
そのため、新しい環境になると、また周囲から情報を得て、自分が考える適切な行動を模索しなければなりません。
また発達障害(ASD)は、普通の人よりも環境適応能力が著しく劣っています。
そのため、新しい環境や物事に慣れるための時間がかかってしまうばかりか、慣れずに挫折してしまうこともあります。
ですので、発達障害(ASD)にとって、初めての事や新しい状況は人生の分岐点ともいえるのです。
ここで、間違った選択をしてしまうと、人生のレールから外れてしまいます。
発達障害が一度人生のレールから外れると、再起するのは難しいです。
そうならないためにも、発達障害(ASD)には、人生のアドバイスをしてくれる相談者が絶対に必要なのです。
発達障害が1人で物事を進めようとしても、幸運に恵まれていない限り、大抵失敗します。
特に新しいことに対しては、たくさんの情報を収集して、多角的に考える必要があります。
ASDは想像力が著しく欠如していたり、複数の思考ができないので、失敗どころか、取り返しのつかない状況に追い込まれてしまうこともあります。
ですから、前もって準備をするサポートが必要不可欠です。
発達障害の人が新しい環境や物事で間違った選択をしないためにも、周囲の人が事前に準備したり、アドバイスをしてあげてください。