11月1日に再放送されたNHKバリバラの発達障害特集を見ました。
内容的には、発達障害と聴覚障害を抱える女学生が進路相談をするといったものです。
初めてNHKのバリバラという番組を見たのですが、30分のテレビ番組では障害に対する議論は難しく、物足りなさを感じました。
また、発達障害当事者としては、不快というか不満な気持ちにもなりました。
番組内での気になった内容を、感想とともに書いていきたいと思います。
NHKバリバラの内容と感想
今回のテーマは、進路に悩んでいる発達障害(中学生、高校生)と聴覚障害の大学生の3人の女性の方が出演されていました。
まずは、将来司書になりたい中学生の女性の方。
発達障害があるそうですが、何の特性があるか説明されていませんでした。
一応、小学生の頃に友達とのおしゃべりがうまくできず、「話題の切り替えができない」というキーワードがあったので、ASDのコミュニケーション障害ではないかと思われます。
6年生で特別支援級にいくようになったようです。
中学でも特別支援級に進んだが、授業の内容が簡単すぎること、他の時間割の半分以上が「発達障害者用の作業や自立活動」になっており、嫌になって不登校に。
また、細かい作業が苦手とのこと。
将来は、図書館の司書になりたいのに、小学生の勉強内容や、簡単な作業をしていて、夢を実現できるのか不安。
もっと勉強したいけど、できない環境(特別支援級)がもどかしくて不登校になってしまったようです。
ここまでの感想として、中学生(1年?)のようですが、しっかりと受け答えしていて、とても会話が苦手な発達障害の女の子とは思いませんでした。
さらに、勉強も普通にできる子みたいなので、特別支援級の内容では物足りなさを感じるのも仕方ないと思います。
この子は、コミュニケーションの問題さえ改善できれば、普通級でもやっていけそうな気はします。
しかし、中学生の頃は多感な時期でもあります。
普通級では、会話が上手くいかないと簡単にはぶられたり、イジメられたりしてしまいがちです。
正直かなり勿体ないと思います。
学校は人との交流を学ぶ場でもありますが、コミュニケーション障害をかかえる当事者にとっては、その環境が辛すぎます。
発達障害者向けの普通級みたいなのがあればいいのですが。
発達障害でもIQの低い人から高い人まで様々ですし、症状も千差万別なので、特別支援級という1つのくくりにしなければならないのは、現状仕方がないのかもしれません。
個人個人のスタイルに合わせた授業プログラムを組むことはできないのかな、と思いました。
ここで、ゲスト(社会福祉士 玉木さん、ジミー大西、発達障害のある精神福祉士の笹森さん、全盲の桂福点さん)の回答タイムです。
玉木さん:(英語の勉強をしたいのにさせてくれない)支援級の先生に手紙を書いてみる、複数の先生に学習計画を話し合ってみては。
桂福点:知り合いに友達ができない人がいたが、進学校に進んで公的の図書館に務めた人がいました。
笹森:定時制高校就職も進学も支援してくれる、年齢も関係なく大人やおじいちゃんおばあちゃんもいる。
温かくていい。
ジミー大西さん:学校に行かなくていい。逆に図書館に行った方がいい。好きなことを自分でとことん勉強したらいい。
発達障害の中学生の女の子は感動して涙を流していました。
4人とも過去や現在の自分の経験からアドバイスされていました。
提案として実現できそうなのは、玉木さんの「先生に手紙を書いてみる」「他の先生方にも伝える」がいいと思いました。
特別支援級は勉強内容と支援内容が決まっており、個別に授業を難しくしたり、作業変更は難しいと思います。
それでも現状に不満や問題があるなら、行動しなければ変える事はできません。
学校で個別に指導するのは難しいと思いますが、図書館の司書になるためのアドバイスや宿題などを、先生方が検討してくれればと思います。
もう1つジミー大西さんの、「学校の授業は適当でもいい、図書館の司書になるための勉強だけをするべき」というものです。
これは本当に素晴らしいと思います。
なぜなら、発達障害は普通の人ができることができないからです。
定型発達と同じようなカリキュラムを受けて就職活動しても、絶対に勝てません。
特別支援級でさらに簡単な勉強や、定型発達に近づくための作業をしても追いつくことは不可能です。
であれば、1つの自分の得意な事や好きなことをとことん勉強して、普通の人よりも上回るしかないのです。
この中学生の女の子は、頭も良さそうなので、図書館の司書になるための一点集中勉強をしてほしいと思いました。
次の相談者さんは、発達障害(ASD)の視覚過敏と聴覚過敏を抱えている高校1年の女性の方。
感覚過敏の影響で、学校や普段の私生活でサングラスやイヤホンが必須になり、困難な毎日を送っています。
さらに脊髄の病気もあり、薬を飲んでいて疲れやすい体とのこと。
発達障害の感覚過敏の影響で、できることが少なく、夢がなくなってしまった。
私も聴覚過敏を抱えているのですが、この相談者さんとは質が違いました。
この人の場合は、外出時には、ノイズキャンセラーが必須なほど音を感じ取ってしまうそうです。
私の場合は、小さい音を拾う、低周波異常、大きな音が苦手などがありますが、外出時にイヤホンをするほどではありません。
聴覚過敏にも症状によって、私生活の影響度が違うのだと感じさせられました。
視覚過敏もサングラスは必須で、プリントを特殊な色にしたり、部屋の明かりを暗くしたりなど、本当に辛そうでした。
質問としては、「どうしたら普通の人みたいになれるのか」というもの。
相談員の回答として、
ジミー大西さん:自分に隠された能力が絶対ある。アーティスト向き。
笹森さん:過敏だから楽しめることがいっぱいある。
桂福さん点:鍾乳洞の受付、水族館のクラゲコーナー。
玉木さん:検査など過敏を生かした仕事。
司会の人:自分の特性を生かした仕事をさがしてみては。
質問者さん:視野を広げたらいろいろなアドバイスをされてうれしい。
といった流れでした。
正直、あまりアドバイスにはなっていませんでした。
質問の内容が、「普通の人みたいにしたいことがたくさんある」といった内容でしたので、発達障害のハンデを考えると難しいと言わざるをえません。
ただ、聴覚過敏の特性を生かした具体的な提案をされていたのは、良かったと思います。(非現実的ですが)
私の感想としては、この人も発達障害のハンデ以外は受け答えがしっかりしており、頭は良さそうに感じました。
感覚過敏性の特性を生かした進路が見つかるかはわかりませんが、知能(IQ)さえ普通であれば、何かしらの未来は築けると思います。
最後の相談者さんは、大学4年の聴覚障害の女性の方。
聴覚障害のため、子供の頃からコミュニケーションが取れず、寂しい思いをしていたそうです。
現在は難聴がある人に、家庭教師のアルバイトをしているそうです。
目標は児童養護施設の職員。
しかし、実地での実習で、聴覚障害の影響で子どもとうまく接することができずに悩んでいました。
子どものために、私が職員だと逆にストレスを感じてしまうのではないか、と自信を喪失していました。
相談員の回答として、
笹森さん:すごく業界に欲しい人材。
子どもとのコミュニケーションは表情やジェスチャーが大切。
言葉に気を取られやすいけど、姿や表情をみて読み取る。できるはず。
絶対いて欲しい人材だから頑張ってほしい。
桂福点さん:職員に(聴覚障害の)ハンデを支えてくれる人が必要。
玉木さん:履歴書にできること、できないことを書いて持って行こう
コメンテーターの人:「障害者は、障害者しか相談できない」と思う人もいる。
番組最後のまとめとして、桂さんが、障害者施設でも障害者が働ける環境がなければダメ!とおっしゃっていました。
笹森さんの回答が一番的確で具体的でもあったので、相談者さんは感動していました。
私も、わかりやすく、元気づけられるアドバイスだと感じました。
この相談者さんは、発達障害ではなく、聴覚障害の問題なので、知能や考え方などが定型発達と同じです。
児童養護施設での実地実習で、聴覚障害による失敗で、子どもの気持ちを推し量った考え方や、自己分析などができる思考が物凄く羨ましいと思いました。
私は発達障害の想像力の欠如で、相手の気持ちや感情を推し量った考え方がまったく思いつきません。
これが定型発達の思考なのだと、羨ましくもあり、悔しくもなりました。
まとめ
タイトルにある不快や不満に感じたことは、表面上の受け答えに終始しており、型にはまったやり取りに感じたからです。
テレビ番組だからなのかもしれませんが、具体的な解決はされておらず、軽くまとめたように感じられました。
また、今回出演されていた障害者の方は、未来の希望がある方たちと感じたからだと思います。
さらに、3人とも頭が良さそうだから嫉妬してしまったのかもしれません。(私のIQは60台)
発達障害でもっと大変な思いをしている人もいますし、逆に軽度の人もいます。
確かに、そのような方に出演してもらうのは難しいですから、仕方がないと思います。
30分という番組内で、3人の発達障害の進路問題を考えるのは不可能です。
テレビ的にはやはり、こうなってしまうのは仕方がないのかな、とは思います。
ただそれでも、発達障害の人が多大な苦労をしている状態を、テレビを見てくれた人に伝えてくれたことは良かったと思います。