発達障害の症状は歳を取るにつれて、症状は治っていくのでしょうか。
発達障害の自閉症・アスペルガー(ASD)の当事者の私の見解としては、全く治ってはいないと感じています。

発達障害の特性である症状は、依然として猛威を振るっていると実感しているからです。
例えば、心療内科の医師との受け答えでも、想像力の欠如から自分の思ったことをそのまま言ってしまう。
特定の事にしか興味を持てない「こだわり」の影響。
同じことをいつも繰り返している「常同行動」。
社会性、コミュニケーション能力の欠如などなど。

40代半ばになっても、子供の頃と全く変わっていない発達障害のハンデを感じています

ただ、発達障害の特性は治ってはいないけれど、軽減されているような気がしないでもないです。
たとえば、「細部まで突き詰めなければ気が済まない」は、年齢とともにそこまでしない状態になっています。
諦めや疲れ、年齢による衰えを感じています。
ただ、100%の症状がが95%になった(改善された?)くらいの感じです。

また、大人といっても、40代くらいになってから多少は発達障害がマシになったとは思っています。
その理由は、私自身が発達障害について詳しくなったからです。

30代後半まで病院で検査するまで、自身が発達障害とは全くわかりませんでした。
判明した後も、「あ~そうだったんだ~」程度の他人事のように考えていました。

しかし、このブログを書くようになって発達障害の本をたくさん読み、ネットで調べていくうちにかなり詳しくなりました。
そして、自身の発達障害の特性の問題を気を付けるように意識したことで、ある意味改善したとは言えます。
しかし、本質的な脳の機能異常は全く治っておらず、成長はしていないと感じます。
むしろ、悪化しているのでは、と思っています。

今回は、発達障害の症状と年齢の関係性について考察していきたいと思います。

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発達障害の症状は大人になると治る?改善される?

発達障害があっても、年を取るにつれ、ある程度は普通の人のような考えや行動をするようにはなります。
年齢が進むにつれ、発達障害の理解がより深まり、対処法も考えられるからです。

ですが、発達障害は現代医学では治すことが出来ず、一生治らない脳機能の問題とされています。
年齢相応の経験による対処はできても、脳の性質は変わっていないと思われます。

とはいえ、脳が全く成長しないと言うことは無いと思います。
大人になってたくさん経験を積むことで、0.01%でも成長するはずです。
その成長力は人によって異なります。
IQが高い(頭が良い)、環境がいい(親ガチャに成功)、運がいい、発達障害の症状を極力出させないような職場、配慮があるなど。
その人の環境や経験次第で、発達障害の症状は治ることは無いですが、軽減されたり、改善傾向がみられるのではないでしょうか。

発達障害35歳限界説

発達障害の人は大人になるにつれて、症状が悪化する、社会的に没落してしまう説があります。

それは「発達障害35歳限界説」です。
昔ネットで広まった根拠のない俗説ですが、個人的にはその通りだと思います。

発達障害の人でも大人になると様々な経験を積んでています。
社会でのルールや立ち位置、振る舞い方など自分なりに考えて行動することができます。

特に発達障害のアスペルガーASDの人は、想像力が異常に欠如しているので、少しの変化でも対応が物凄く難しくなります。
しかし、大人になって様々な経験を積んだことで、ある程度の想定ができるようになるのです。
ただ、本質的には何も変わってはいません。

発達障害の先天性の脳の未発達や凹凸は、何故かほとんど成長してくれないのです。
さらに年齢によって脳の劣化から、発達障害の特性が悪化し、より顕著にみられる。
経験によって行動はマシになっても、脳の働きは変わらない、むしろ年齢による脳劣化からより辛くなっていくのです。

先ほどの発達障害35歳限界説は、年齢相応の能力が無いからです。
会社や社会において、必要とされるスキルやコミュニケーション能力が変わらず低いままであり、会社での立場が悪化し、退職に追い込まれるからです。
また、35歳を超えると「もういい大人」扱いされてしまい、若い頃のようにサポートや支援が低下するからです。

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注意欠如・多動症(ADHD)は大人になると治る?

ADHDは大人になると症状が軽減されたり、治ることがあるようです。
政府機関のHPによると、12歳を超えたあたりから、脳の成長と共に多動性・衝動性、注意欠如の症状が軽減されていくそうです。

実際に子供の頃にADHDと診断されても、大人になるとADHDの症状の基準から外れる人もいます。
割合的には、ADHDの子供が3~5%に対して、大人になると2~2.5%程度まで落ちているデータがあります。

一説では、約40~60%のADHDの子供が大人になると症状がみられなくなったり、社会生活に影響が出ない程度に改善されると言われています。

ただ、ADHDの症状の重さは人によって違いますし、症状自体もことなります。
また、育ってきた環境、ストレスなどによっては逆に悪化してしまう恐れもあります。

発達障害の症状が消滅する事例

発達障害は先天性の脳機能異常であり、治らないと言うのが定説です。
ただ、調べてみると発達障害の症状が子供の頃に治ったという例があるようです。

発達障害の子どもの中には、2~3歳の時点ではASDの症状があったが、5歳になったときには症状が消えてしまったというケースがあるそうです。

これは「最適な結果」と呼ばれる現象で、ASDの子どもの約10~20%に見られようです。
このような子どもたちは、言語能力や知能、社会性などが健常児と同等かそれ以上のレベルに達しています。

「最適な結果」という事象は、自閉症スペクトラム(ASD)の初期症状が子供の頃にあったのに、一般的な発達の範囲内で機能するようになった状態です。

「最適な結果」の子供の特徴

・言語能力の向上:言語の発達が劇的に進み、通常の発達を遂げることがある
・知的能力の向上: 知的能力が通常の範囲に収まり、もしくは上回ることがある
・社会的な適応: 社会的な関係の構築やコミュニケーション能力が改善し、他の子どもたちと同様に友達を作ることができるようになる

最適な結果をどうしたら得られるのかは、わかっていません。
しかし、ある程度の要因は考えられます。

・ASDの診断が不正確だった場合
・ASDの症状が軽度だった場合
・早期に適切な療育を受けた場合
・応用行動分析(ABA)療法を受けた場合
・脳の可塑性や神経伝達物質の変化による場合

「最適な結果」は、自閉症スペクトラム(アスペルガーASD)の子供の10~20%の割合で起こるそうです。

ただ、個人的な見解としては、やはりASDの症状が軽度だったり、診断が間違っていたと思っています。
発達障害の脳の構造問題は判明していないですし未知数な部分が多いので、正確なことは言えませんが。

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発達障害の症状が大人になると治ったり改善する理由

発達障害の症状は治らない(完治しない)と言うのが一般的な見解だと思います。
ただ、発達障害の脳のメカニズムは判明されていないことが多いです。
なので、「発達障害が絶対に治らない」という結論は出せないと思います。

一応、発達障害が年齢とともに治ったり、症状が緩和される仮説はいくつか考えられます。

脳の可塑性(プラスチシティ)

一つの仮説は、脳の可塑性(プラスチシティ)という概念です。
脳の可塑性とは、脳が経験や学習によって構造や機能を変化させる能力のことです。
発達障害の人は、それぞれの障害に関係する脳機能が低下しているだけで、停止しているわけではないとされています。

ですので、成長するにつれて脳機能が発達していき、社会生活を送るのに困らないレベルまで障害が軽快する可能性があるということです。

環境的要因

もう一つの仮説は、環境の影響という要素です。
発達障害の人は、自分の障害を受け入れてくれる人や環境に恵まれると、自己肯定感や自信が高まり、症状の改善につながることがあります。
逆に、否定的な評価や偏見にさらされると、ストレスや不安が増し、症状が悪化することがあります。
したがって、発達障害の人にとって、家庭や学校、職場などの環境が、症状の成長に大きな影響を与えるということです。

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発達障害の症状が年齢とともに改善傾向になる理由

発達障害が年齢とともに軽快するのか、しないのかの違いは、現代の医学ではわかりません。
ただ、いくつかの理由は考えられます。

早期発見・早期介入(療養)

発達障害の症状に気づいたら、できるだけ早く専門家に相談し、適切な診断や療育を受けることが重要です。
早期発見・早期介入によって、発達障害の人は、自分の障害の特性や強みを理解し、必要なスキルや戦略を身につけることができるからです。

また、早期発見・早期介入によって、家族や教師などの周囲の人も、発達障害の人の理解や支援の方法を学ぶことができます。

私も発達障害の子供に最も大切で最重要なのが、とにかく早く支援やサポートをしてあげることだと思っています。
発達障害は、とにかく学校や社会において多大なマイナスの影響を及ぼします。
その為、小さい頃からこれでもかと言うほど、手厚く寄り添ってあげる必要があるのです。

発達障害の発見が遅れれば遅れるほど、学習、対人関係、能力、将来の展望が悪い方向に行ってしまいます。

逆に早く発達障害の特性を理解し、子供のサポートを充実させてあげれば、大人になって発達障害の症状が緩和されたり、治る傾向が高まると思われます。

家庭や学校の理解と支援

発達障害の人は、自分の障害を受け入れてくれる人や環境に恵まれると、自己肯定感や自信が高まり、症状の改善につながることがあります。
そのためには、家庭や学校などの日常生活の場で、発達障害の人の理解と支援が本当に大切です。

私のように発達障害の概念が無い時代に生まれ、何の支援や理解も無く育った結果、ボロボロの人生を歩み、引きこもりになって全てが崩壊しました。

もし、子供の頃に発達障害のサポートや自覚があれば、全く違った人生になっており、発達障害の症状を緩和させられていたと確信しています。

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まとめ

発達障害の症状は年齢を重ねたり、大人になることで改善したり治る可能性は「ある」と結論付けたいとは思います。
ですが、発達障害の自閉症スペクトラム(アスペルガーASD)の私自身としては、全く症状が治っていないので、その説には否定的です。

私は現在40代半ばですが、むしろ発達障害の症状が悪化していると感じています。
特に想像力の欠如の特性は、年齢による脳の劣化により、さらにダメになっています。
思い付きや空想が子供の頃から皆無でしたが、大人になってさらに頭の中で考えたり思い浮かぶことが無くなっていると感じています。

ただ、年齢による経験値が、発達障害の症状をある程度抑えられているとは思います。
また、ASDの特性である1つの事にこだわったり、細部まで徹底的に追及する意欲は薄くなってきていると感じます。

ADHDの症状は、大人になると軽減される、もしくは治る傾向があると言われています。
政府機関の調査なのである程度は信頼できると思います。

脳の構造は未知数ですし、発達障害の症状に対する脳の状態も解明されていません。
一般的に発達障害は治らないとは言われています。
ですが、何かの偶然や育った環境次第で発達障害が治る、もしくは症状が現れなくなることはあるのだと思います。

発達障害の概念が確立してまだ3~40年くらいです。
ADHDには症状を抑えるお薬がありますが、発達障害を完全に治す治療法は存在しません。

発達障害は本当に人生に大変な影響を及ぼしますので、治療法が見つかることを願っています。

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