発達障害のasdと愛着障害に関係性はあるのでしょうか。
私はASDの当事者ですが、完全に愛着障害の症状と一致しています。
愛着障害とは、簡単に言ってしまうと「人との安定した関係を築くことが困難な状態」です。
・人との信頼関係が上手くいかず、親しい関係を構築することができない。
・逆に見知らぬ人に対しても、過度に親しげに接するなど、距離感が近すぎる場合。
上記の2つの特徴が愛着障害のタイプですが、ASDの特性によって引き起こされる対人関係の問題と酷似しています。
ASDの想像力の欠如の影響から、誰とでも触れ合おうとしたり、上下関係が判らずに不適切な自分なりの親密な交流をしてしまう。
もしくは、ASDの特性の影響から、自分が対人関係が上手くいかないことに気付いて、他人に対して警戒心が強くなり、ボッチになる。
私も子供の頃はASDの影響から、このような状態であったと確信しています。
しかし、愛着障害になるような環境ではなかったと思います。
発達障害は先天性の脳機能の問題です。
愛着障害は、子どもが安心して絆を築ける環境が不足した場合に見られる心理的な状態です(後天性)。
ですので、ASD(自閉症スペクトラム障害)と愛着障害は、それぞれ異なる原因と特徴を持ちますが、対人関係における困難さという共通点があります。
ASDは脳の発達に関連する先天的な特性であり、一方で愛着障害は幼少期の育成環境の影響による後天的な問題です。
ASDの人が愛着障害の症状と一致すると感じることはありますが、これはASDの特性による対人関係の課題が愛着障害のそれと似ているためです。
今回は、ASDと愛着障害について考えていきたいと思います。
子供の愛着障害をチェックする簡単な診断プログラム
まずは、子供の愛着障害をチェックできるセルフプログラムを作成しました。
このプログラムは、子供の愛着障害をチェックするための10問の質問、各質問に対する4つの回答選択肢、及び4通りの診断結果があります。
この診断プログラムは、幼少期の重要な愛着形成期間に起こりうる障害の可能性を概観するものです。各回答にはポイントが割り当てられ、最終的なスコアによって結果が決定されます。
【注意事項】
このプログラムは予備的なものであり、公式の医療診断を代替するものではありません。得られた結果は一般的な指標を提供するもので、お子様の行動や感情に関する洞察を深めるための参考情報としてご利用ください。
詳細な評価や専門的なアドバイスが必要な場合は、小児心理学者や小児精神科医といった専門家に相談することをお勧めします。
ASD(自閉症)と愛着障害の相違点
ASD(自閉症スペクトラム障害)と愛着障害は、表面的には似たような困難を抱えているように見えるかもしれません。
でも、根本的には、全く別物です。
そもそも発達障害のASDは、生まれつきの脳の問題であり、愛着障害は、生後~5歳くらいまでの愛着形成が上手くいかなかった状態で引き起こされる症状です。
特に、生後~1歳半くらいまでが大切だと言われています。
まず、ASDは生まれながらにして脳の発達に特有の違いがあります。これは、社会的なスキルやコミュニケーション、柔軟な思考が難しいという特性を持つことが多いです。イメージとしては、あらかじめ設定されたレールの上を走る列車のように、一定のパターンやルーチンが必要とされる状態です。
一方で、愛着障害は、幼少期に安全で安心できる環境が提供されなかったことで、人との深い絆を築く基礎がうまく形成されなかった結果起こります。
これは後天的な心理的な状態で、基本的には「人とどう関わればいいのか、信頼って何?」と戸惑う心が引き起こす症状です。
たとえば、親が常に変わる保育園で育った子が、誰にも心を許せずにいる状態を想像してみてください。
これらの違いを理解することで、対応の仕方や支援の方法も変わっきます。
ASDの場合は、ルーチンを大切にし、予測可能な環境を整えることが安心につながります。
愛着障害の場合は、安全と信頼を感じられる関係性を一から築いていくことが大切なのです。
ASDと愛着障害の違いの見極め方
私自身がASDであり、愛着障害の症状と酷似していたからです。
冒頭でも書きましたが、ASDは特性によって、対人関係の困難な状態が愛着障害の問題が類似しています。
ASDの特性によって引き起こされる愛着障害との相互点もあれば、ASDの特性によって経験する対人関係の問題が、愛着障害のタイプに重なるからです。
具体的には、ASDの人の気持ちを考えられず、誰にでも自分の思ったことを言ってしまう。
教師や親、権威のある人に対しても、驚かせるようなことを言ったり、親しげに振る舞ったりするなど。
また、学校という環境下においては、イジメや孤立化にもつながり、人に対して警戒心を持つようになり、親しい関係を築くことが出来なくなる。
対人関係の構築が難しくなる点が、asdと愛着障害の症状が似ているのです。
ですが、見極めるポイントも明確に存在します。
ASDの人は、社交的な相互作用における非言語的なシグナル(例えば、身振りや表情)を読み取るのが苦手です。これは周囲の人々との間に適切な距離感を保つことを難しくしています。
たとえば、会話の際に適切なアイコンタクトを保てなかったり、相手の感情を顔の表情から読み取るのが難しいと感じることがあります。
一方で、愛着障害を持つ人は、特定の人々(しばしば育ての親やケアを提供する大人)に対して安定した信頼関係を築くのが困難です。これは、彼らが新しい環境や人々との出会いに対して極端な不安を感じることがあるためです。彼らは新しい人との接触を極端に避けるか、逆に不適切に過度に親しみを見せることがあります。
ここで重要なのは、ASDは一般的に「どのように」社交するかの困難があり、愛着障害は「誰と」安心して関係を築けるかの問題があるという点です。
ASDの人が社交的なスキルを学ぶことは可能ですが、ルールやパターンに従うことが多いです。
それに対して、愛着障害のある人は安全で安定した関係を築くためには、環境や対人関係の根本的な再構築が必要になります。
ASDと愛着障害は併発する?
ASD(自閉症)と愛着障害は併発したり、併せ持つ状態になるのでしょうか。
実際に、この二つの障害が一緒に見られるケースもあります。
ASD自体は遺伝的要因や脳の発達に関連する要因によって引き起こされると一般的に考えられています。つまり、この障害は生まれつきの特性です。
しかし、ASDの子供は、その社交的な問題や行動の特性が原因で、親や保護者との関係構築に困難を抱えることがあります。
ここで愛着障害の話が出てきます。
愛着障害は、幼少期に安定した愛情のある関係を経験できなかった結果として発生することが多いです。
ASDの子供が示す予測しにくい行動や感情の表現の難しさが、親子間の愛着形成を複雑にする場合があります。
結果として、ASDの特性が愛着障害のリスクを高める可能性があるわけです。
さらに、親や保護者がASDの子供の特性や特徴を理解できず、適切に応じることが困難な場合、子供は安全で安心できる環境が確保されていないと感じるかもしれません。このような状況は、愛着障害の発生につながりうるのです。
でも、愛着障害が引き起こされる幼年期において、子供が発達障害のASDかどうかを理解したり、ASDの子どもに適切な子育てをするのは親としても難しいかもしれません。
もしASDの子供が愛着障害を発症すると、その対処はさらに複雑になります。専門的な介入が必要であり、子供が感じる安全感と安心感を重点的に扱う必要があります。
ASDの大人の人の愛着障害について
大人になっても、ASDの特性は変わりませんが、愛着障害の症状は成長と共に変化することがあります。
大人のASDの人が愛着障害のような症状を示す場合、それは社会的スキルやコミュニケーションの特性に起因することが多いです。
ASDを持つ大人が幼少期に適切な愛着を形成できなかった場合、成人してからの人間関係にも影響を及ぼします。
他人との信頼関係を築くことが特に難しいと感じるかもしれません。
親しくなることへの不安や、一度築いた関係が壊れることへの恐れが、人との距離を置かせる原因になるのです。
では、ASDを持つ大人が愛着障害と向き合うためにはどうすれいいのでしょうか。
愛着障害と向き合うためには、まず自分自身の状態を理解し、受け入れることが重要です。
ASDの大人の場合、自己認識(自己分析)が苦手な事が多いです。
なので、親や家族、普段から交流のある人との関係を築くことを目指しましょう。
安心して自分の思いを共有できる人がいることは非常に重要です。
また、コミュニケーションスキルを磨くことも有効です。
対人関係のスキルは訓練によって向上することがありますので、カウンセリングやグループセラピーを通じて、社会的スキルを学ぶことができます。
さらに、趣味や興味を共有できるコミュニティに参加することで、自然な形で人とのつながりを持つことができます。
愛着障害との向き合い方は人それぞれですが、自分に合った方法を見つけることが大切です。
自分自身を大切にし、必要なサポートを求める勇気を持つことが、健康的な人間関係を築くための鍵となります。
まとめ
今回は、発達障害のASD(自閉症)と愛着障害の関係についてお伝えしてきました。
どちらの障害も、症状の表れ方、そして対応方法が異なりますが、人との関わり方における困難さという共通のテーマがあります。
ASDは先天的な脳の発達の違いにより、社交性やコミュニケーションに課題を持つことが特徴です。
これに対して、愛着障害は幼少期の育成環境や親子関係の問題が原因で、安心して人との深い絆を築く基盤が形成されないことが特徴です。
このように異なる原因から同様の対人関係の課題が生じることは、診断や支援を求める際に混乱を招くこともあります。
そのため、専門家による適切な診断と、個々のニーズに合った支援が非常に重要です。
もしASDや愛着障害が疑われる場合は、まずは専門家に相談することをお勧めします。