発達障害のASD(アスペルガー)の人は、特性によって対人関係が崩壊してしまうことがあります。
ASDの当事者である私も、子供(学生)の頃から大人に至る現在まで、人との交流が絶望的でした。
理由は明白です。
「思ったことをそのまま言ってしまい、嫌われる」
これが本当にASDの私の今までの経験上、一番の原因です。
相手が不快に思うことだったり、しらける事、びっくりする事、意味不明な事など。
いつもそのようなことを言っているわけではありません。
でも、何気ない会話の中で、とにかく思いついたことがそのまま出てしまうので、止めることができないのです。
さすがに、時と場合を考えられることもあります。
でも、それでも、不意に思いついたことを言ってしまうことがよくあります。
後々、「何でそんなことを言ってしまったんだろう」と後悔することがあります。
しかし、それに気づくのも数か月後であったり、何年先なのかはわかりません。
ASDが人間関係が上手くいかない第2の理由として、「気付けない」があります。
人とコミュニケーションをしていても、相手が今どのような状態なのか気付けないのです。
怒っていたり、悲しんでいる、嫌われている、などの感情を読み取ることが本当に苦手です。
相手の感情を把握することが難しいので、逆なですることを言ってしまったり、関係が崩壊するようなまずい話をしてしまうことがあるのです。
ここに先ほどの「思ったことをそのまま言ってしまう」が加わり、最悪な結果を生み出すのです。
おかげで、発達障害のASD(アスペルガー)の私は、友達はおろか知り合いすら一人もいません。
最初は話しかけてくれる人はいました。
しかし、交流していくにつれ、「ヤバイ奴」と思われてしまい、嫌われる、避けられる、イジメられる状態となっていくのです。
どうしようもないです。
さらに、私は発達障害の概念が無い時代に生まれたので、誰の理解もサポートも皆無状態でした。
今の世の中は、ある程度、発達障害が浸透しており、対処することも可能です。
そこで今回は、ASD(アスペルガー)の人間関係が上手くいかない理由と対処法について考えていきたいと思います。
ASD(アスペルガー)の人間関係は続かない
ASDの人は、人間関係を維持することが難しいと言われています。
なぜなら、ASDの人は以下のような特徴を持っているからです。
- 思ったことをそのまま言ってしまう
- 相手の感情やニュアンスを読み取れない
- 興味のある話題にしか集中できない
- 目的やルールのない会話が苦手
- 自分のペースやスタイルを崩したくない
これらの特徴は、ASDの人にとっては自然なことかもしれませんが、他の人にとっては不快だったり、不思議だったり、理解できなかったりすることが多いのです。
例えば、食事の席で、相手の話に興味がなくて、自分の好きな話題に変えてしまったとします。
あなたは、自分の知識や情熱を共有したいと思っているのでしょうが、相手は、自分の話を聞いてもらえなかったり、話が合わなかったり、押し付けられたりしていると感じるかもしれません。
また、あなたが相手の表情や態度から、相手が怒っていることに気付かなかったとします。
あなたは、何も悪いことをしていないと思っているのでしょうが、相手は、あなたが自分の気持ちを無視していると感じるかもしれません。
このように、ASDの人と他の人との間には、コミュニケーションのズレやミスマッチが生じやすいのです。
その結果、人間関係は続かなかったり、悪化したりすることになります。
ASDは人間関係が築けない
ASDの人は、人間関係を続けることが難しいだけでなく、人間関係を築く難易度も高い傾向があります。
理由として、ASDの人は以下のような特徴を持っているからです。
- 人との距離感がわからない
- 人に興味がない
- 人に合わせることができない
- 人の気持ちや考えを尊重できない
これらの特徴は、ASDの人にとっては自然なことかもしれませんが、他の人にとっては冷たかったり、無関心だったり、自己中心的だったり、無礼だったりすることが多いのです。
例えば、あなたが初対面の人と話すときに、相手の目を見なかったり、自己紹介をしなかったり、質問に答えなかったりしたとします。
ASDの人は、目を見るのが苦手だったり、自分のことを話すのが嫌だったり、質問に答えるのが面倒だったりするかもしれません。
しかし、相手は、あなたが自分に興味がなかったり、敬意がなかったり、コミュニケーションを拒否したりしていると感じるかもしれません。
また、あなたが人と一緒に何かをするときに、自分のやり方や意見を押し通したり、相手のやり方や意見を否定したりしたとします。
あなたは、自分のやり方や意見が正しいと思っていたり、相手のやり方や意見が間違っていると思っていたりするのでしょうが、相手は、あなたが自分のことしか考えていなかったり、相手のことを尊重していなかったり、協力していなかったりしていると感じるかもしれません。
このように、ASDの人と他の人との間には、信頼や親密さや共感といった、人間関係を築くために必要な要素が欠けてしまうことが多いのです。
その結果、人間関係は始まらなかったり、浅くなったりすることになります。
ASDは嫌われやすい
ASDの人は、人間関係を続けたり、築いたりすることが難しいだけでなく、人に嫌われやすいと言われています。
ASDの人は以下のような特徴を持っているからです。(全てのASDの人に当てはまるわけではありません)
- 人の気分を害することを言ってしまう
- 人の期待に応えられない
- 人の助けを求めない
- 人の助けに感謝しない
これらの特徴は、ASD当事者にとっては自然なことかもしれません。
しかし、他の人にとっては傷ついたり、失望したり、不満だったり、不快だったりすることが多いのです。
例えば、あなたが人に対して、無神経なことや失礼なことや攻撃的なことを言ってしまったとします。
あなたは、自分の考えや感じたことを正直に伝えたかったり、相手に改善してほしいと思っています。
でも相手は、あなたが自分を傷つけたり、侮辱したり、批判したりしていると感じることもあるのです。
また、人から何かを頼まれたときに、断ったり、忘れたり、できなかったりしたとします。
このように、ASDの人は、他の人にとっては当たり前のことや普通のことや嬉しいことを、無意識にも無視したり、否定したり、拒絶したりすることがあります。
その結果、人に嫌われたり、敵対されたり、孤立したりすることになるのです。
ASDの人間関係の構築方法
ASDの人は、人間関係を続けたり、築いたり、嫌われないためには、どうすればいいのでしょうか。
私は、以下のような方法をおすすめします。
- 自分の特性や強みを理解する
- 相手の特性や弱みを理解する
- コミュニケーションの基本を学ぶ
- フィードバックを受け入れる
- サポートを受ける
まず、自分の特性や強みを理解することが大切です。
ASDの人は、自分がどのような人なのか、どのようなことが得意で苦手なのか、どのようなことに興味があるのか、などを自覚することが必要です。
そうすることで、自分の価値や目標や方向性を見つけることができます。
また、自分の特性や強みを認めることで、自信や自尊感情を高めることができます。
次に、相手の特性や弱みを理解することが大切です。
ASDの人は、他の人がどのような人なのか、どのようなことが得意で苦手なのか、どのようなことに興味があるのか、などを観察したり、聞いたり、推測したりすることが必要です。
そうすることで、相手の気持ちや考えや動機を把握することができます。
また、相手の特性や弱みを受け入れることで、尊敬や理解や共感を深めることができます。
コミュニケーションの基礎
さらに、コミュニケーションの基本を学ぶことが大切です。
ASDの人は、人と話すときに、以下のようなことに気をつけることが必要です。
- 目を見る
- 質問に答える
- 話題を変える
- 相槌を打つ
- ボディランゲージを使う
- フィラーを使う
- 褒める
- 謝る
- 感謝する
これらのことは、ASDの人にとっては不自然だったり、難しかったりすることかもしれません。
でも普通(定型発達)の人にとっては、コミュニケーションの礼儀だったり、必須のスキルとなります。
相手との距離感や信頼感や親密感を築くことができます。
また、コミュニケーションの基本を習慣化することで、自然に人と話せるようになることができます。
また、フィードバックを受け入れることが大切です。
ASDの人は、自分の言動や態度に対して、他の人からどのような反応や評価や感想があるのか、知ることが必要です。
そうすることで、自分のコミュニケーションの課題や改善点を見つけることができます。
また、フィードバックを受け入れることで、自分の成長や変化を感じることができます。
最後に、サポートを受けることが大切です。
ASDの人は、人間関係に関する悩みや問題を抱えているときに、誰かに相談したり、助けを求めたり、協力を依頼したりすることが必要です。
そうすることで、自分の負担やストレスを軽減することができます。
サポートを受けることで、自分の人間関係の質や量を向上させることができます。
まとめ
この記事では、ASD(アスペルガー)の人間関係が上手くいかない理由と対処法について説明しました。
ASDの人は、自分の特性によって、人とのコミュニケーションにズレやミスマッチが生じやすく、人間関係を維持したり、築いたり、嫌われないためには、努力が必要です。
しかし、それは不可能ではありません。
自分の特性や強みを理解し、相手の特性や弱みを理解し、コミュニケーションの基本を学び、フィードバックを受け入れ、サポートを受けることで、人間関係のスキルを向上させることができます。
人間関係は、ASDの人にとっては難しいかもしれません。
でも、周囲のサポートや理解、そして自己分析を徹底することで、可能性は見出せます。
人とのつながりは、ASDの人にとっては負担かもしれません。
でも、人は一人では生きてはいけないと言われています。
学生の頃はボッチでもなんとか生きてこられるかもしれませんが、社会に出ると否応なしに対人関係をしなければならなくなります。
ASDの人にとっては高難易度ですが、今回ご紹介した対処法を参考に、頑張ってみて欲しいと思います。