発達障害ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の子どもが、「作文や読書感想文を書く事ができない」と悩んでいる親御さんは多いと思います。
私もASDですが、全くと言っていい程、作文や読書感想文を書くことができませんでした。
国語の授業で本や文章の感想を書かなければならない時に、周りの人(定型発達)はすらすらと書いているのに、私は1~2行書くだけで精一杯でした。
さらに、その1~2行書くだけで、数十分を要するという始末。
またASDの影響で、自分の感想や感情を込めた文章は一切書けず、事実をそのまま書くことしかできませんでした。
想像力が著しく欠如している発達障害(ASD)にとって、自分の気持ちを書く必要がある作文や読書感想文は「不可能を可能にしろ」と言っているようなものです。
それほどに、文章に対して本当に何も感じないし、思いつかないのです。
発達障害ASDの想像力の欠如は他にも、人とのコミュニケーションを困難にしたり、その場に適した振る舞いをできなかったりと、本当に酷すぎる脳の未発達(欠如)のハンデだと思います。
しかし嘆いても仕方がないので、対策を考えるしかありません。
そこで今回は、発達障害がASDの影響で作文・読書感想文が書けない理由と、対策方法である書き方をお伝えしていきます。
発達障害が感想や感じたこと・思いつきを書けない原因
発達障害ASDは想像力の欠如の影響で、文章の裏を感じ取ったり、感想を思いついたりすることがほとんどできません。
何故できないのでしょうか。
想像する力(思いつき)がないというのが一番の影響だとは思います。
そしてもう1つ、マルチタスクの困難があげられます。
ASDは2つ以上の複数の処理を同時にこなすことが非常に苦手です。
作文や読書感想文などの文章を書く工程には、複数のマルチタスクが必要です。
読書感想文や作文を書くにはまず、「文章を読む」「単語の意味を理解する」「文章が伝えたいことを理解する」など、複数のタスクで本の内容を把握する必要があります。
そして、複数のタスクで本の内容を頭の中で整理するため、思いつきや感想、気づきなどに頭がまわりません。
文章を書くにしても、どうやって書きだしたらいいのか、文法や文章の構成、漢字の使い方など、書き方にも頭を使います。
発達障害(ASD)は、シングルタスクでしか物事を考えられないので、本の内容を思い浮かべながら書くということができません。
頭の中では「大体こういう内容だった」というのはわかりますが、書くことに集中すると、その本の内容に対する多角的な思考や視野を持つことができません。
そのため発達障害(ASD)は、本の内容や事実をそのまま書いてしまうのです。
もちろん本を読んでも、自分の感想や思いついたこと、感じたことは想像力の欠如により、ほとんどありません。
また読書感想文や作文は、本の筆者の視点に立つ必要があります。
発達障害(ASD)は、人の立場に立って考える「気持ち」という目で見えない曖昧な表現が理解できません。
ですので、視野が異常に狭くなってしまい、思いつきや感想が頭に浮かばないのです。
発達障害ASD(自閉症・アスペルガー)の作文や読書感想文の書き方
作文や読書感想文は、本の内容や事実をそのまま書いても評価されません。
しかし、発達障害(ASD)は、感想や感情を書く事が苦手です。
では一体どうしたらいいのでしょうか。
それは、「手本や見本を作って、真似して書く」という方法があります。
文章を書くには、起承転結やプレップ法などの文章構成法があります。
発達障害は、目に見えない思いつきや想像は苦手ですが、例や参考文などの視覚的要素があれば、それを真似して書く事はできます。
文章を書くための手本や見本を用意しておき、それを参考にして書けばいいのです。
例えば読書感想文を書くときは、
最初に書く文(前置き)
・その本を選んだ理由。
・本の書かれている内容やあらすじを書く。
伝えたいこと(本題)
・物語の最も重要な部分を説明する。
・面白かった、感動した、印象に残ったところを書く。
具体的に(事例)
・何故、そこが重要だと思ったのか。
・何故、面白い、感動した、印象に残ったと感じたのか。
・現在・過去・未来はどうだった?
・普段の生活で関連付けられることはないか。
最後に書く文(結論)
・その本を読む前は、その本にどのような印象を持っていたのか。
・その本を読み終わった後に、あなたはその本に何を感じ、影響されたのか。
・本を読む前と後の気持ちの変化。
このように、文章を書くテンプレートを用意してあげると、文章を当てはめるだけですので、発達障害(ASD)でも書く事はできるはずです。
しかしそれでもASDは、自分の感想や思いつきを書く事は非常に難しいです。
そのときは、「○○が私にはとても面白く感じられました」「○○が凄く印象に残りました」「○○に驚きました」と書きます。
そして、それは「何故」なのかを説明するのです。
文章は基本的に上記のように「主張」したら「理由」を書かなければなりません。
ただ単に、「面白かった」「影響されました」と書かれても、読んでいる人は何故なのか理由がわかりません。
「○○だからです」とシンプルでもいいので、理由(根拠)を書けば、自分の気持ちを表現したことになります。
まとめ
発達障害(ASD)にとって読書感想文や作文を書く事は非常に困難です。
本当に事実の羅列しか書く事ができないのです。
私の小学6年生の卒業文集を読んでみたのですが、あまりにも酷くてびっくりしました。
「修学旅行であぶくま洞の水が垂れてきて冷たかった」
「食後の買い物のときにお土産にちょうちんがありました」
「保険係で体温を計って先生に持って行きました」
まず内容構成がめちゃくちゃで、何を言いたいのかまったくわかりませんでした。
そして、思い出にあった事実が書かれていただけです。
一番ショックだったのは、他の人の卒業文集を読むと、しっかりと学校での思い出と、これからのことが自分の言葉で書かれていたことです。
パラパラと流し読みしただけですが、自分の文章だけあまりにも異質で幼稚でした。
この文章を読んだら、「明らかに発達障害と知的障害者の人が書いた」と思うと確信しました。
今は必死になって文章を書く為の本をたくさん読んできたので、少しは書き方がマシになった気はします。
しかしそれでも、物事に対して気づいたことや、感じたことなどの思い付きはほとんどありません。
明らかに想像力が欠如していると実感しています。
また、文章を書いている最中は、書くことだけに集中してしまいます。
読んでくれる人のことをイメージしながら、文章を考えて書くことはできません。
自分が思いついた1つのことしか書けないのです。
明らかにシングルタスクの影響をがあると思います。
発達障害(ASD)にとって文章を書くということは、困難すぎるミッションです。
それでも、進学試験や就職試験などで、作文や小論文が必要な場面に出くわすこともあります。
そのようなときは、前もって文章構成を考えておき、自分なりの文章の型を決めておきましょう。
あとは、その構成に文章を当てはめれば、書けるようになるはずです。