サイレントアスペルガーとは、自閉症スペクトラム障害(ASD)の一種で、対人関係やコミュニケーションに苦手意識を持ちながらも、外見や行動にはあまり障害の特徴が現れない人のことです。

サイレントアスペルガーの人は、自分がASDであることを知らない場合や、知っていても自分の特性を否定したり隠したりする傾向があります。

日本独自の概念であり、海外では使われていない言葉です。
もちろん、公式の医学的な診断基準もないです。

正確な定義はありませんが、ASDの疑いはあるけど検査していない人、または軽度(グレーゾーン)のASDで気付けないこともあります。

私も30代後半になるまで、自分が発達障害ASDだと判明していませんでした。
なので、それまではサイレントアスペルガー状態だったといえます。

私の場合は、発達障害という言葉がほぼ浸透していない時代であり、判明するのが遅れました。

今の発達障害が判明しやすい時代でサイレントアスペルガーの人は、以下の要因があると思います。

・軽度発達障害で見分けがつきづらい
・運悪く自分も周囲の人も気づくことができない
・能力(IQ)的に発達障害の症状が表面化しにくい状態

また、受動型アスペルガーの人も、発達障害のASDだと判明しづらい要素があり、サイレントアスペルガーと似ているといえます。

自分がサイレントアスペルガーかどうかを調べるセルフチェック診断テスト

私も受動型アスペルガーで、主体性が全くなく、他人に流されて周囲に合わせようとする性格です。
その為、一生懸命普通を演じている時や、軽い接触(触れ合い)では、普通(定型発達)と見分けがつかない可能性があります。

もちろん、受動型アスペルガーもASDの特性がモロにあります。
ですので、コミュニケーションが変になったり、違和感を覚えるような行動をしてしまいます。
深く付き合っていくと周囲の人が離れて行って、気づくこともあります。

なので、発達障害の診断を受けておらず、受動型アスペルガーの性格の人が「サイレントアスペルガー」になっているといえます。

受動型アスペルガーの特徴と見分け方【自己診断プログラムでチェック】

今回は、サイレントアスペルガーについて、詳しくお伝えしていきます。

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サイレントアスペルガーの特徴

サイレントアスペルガー(S・ASD)の人は、自分がASDであることに気づいていないので、自分の特性や困難に対して自覚がありません。
そのため、自分を変える必要がないと思っています。

しかし、この状態は、ASDの特性が原因で、人間関係や仕事や生活において様々な問題が起こっている可能性があります。
でも、それに気づかないか、気づいても無視するか、他人のせいにするか、という状態になっています。

S・ASDの特徴を簡単に紹介します。

・人と話すのが苦手で、相手の気持ちや表情が分からない
・変わったことにこだわったり、変な癖があったりする
・興味のあることには詳しくなりたいが、興味のないことには無関心
・毎日同じルーティンやルールに従って生活するのが好き

上記は、発達障害のASD(アスペルガー)の症状と同じです。
(サイレント)アスペルガーなので、これらの症状に気付けていない、もしくは否定してみて見ぬふりをしている状態です。

サイレントアスペルガーと受動型の違いと共通点

サイレントアスペルガーの人は、受動型アスペルガーとも呼ばれることがあります。

受動型アスペルガーとは、他人の言うことを素直に従ってしまう性格のASDの人のことです。
自分の意見や感情を言えないので、周りの空気に合わせることができます。
そのため、普通の人と見分けがつきにくいことがあります。

しかし、自分の感情や他人の感情に無関心で、本心を伝えることができないので、親密な人間関係を作ることができません。

これらの受動型の特徴が、サイレントアスペルガーの自分のASDに気付けない状態、もしくは自他ともに気付けない・認めない性格が似ていると言えます。

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受動型とサイレントASDの違い

受動型とサイレントASDの違いは、自分がASDであることに対する自覚や受容、変化の姿勢にあります。

サイレントASDの人は、自分がASDであることに気づいていないか、気づいていてもそれを認めたくないか、変えようとしない人です。

受動型ASDの人は、自分がASDであることに気づいているか、気づいたらそれを受け入れるか、変えようとする人です。

また、受動型とサイレントASDの違いは、自分の感情や他人の感情に対する感受性や表現力にもあります。
サイレントASDの人は、自分の感情にも他人の感情にも鈍感で、自分の感情を表現することが苦手です。

受動型ASDの人は、自分の感情には敏感で、他人の感情には鈍感か敏感かのどちらかです。
自分の感情を表現することはできますが、それが他人に伝わるかどうかは分かりません。

サイレントASDと受動型ASDは、共にASDの一種であり、コミュニケーションや社会性に困難を抱えています。

しかし、その困難の原因や程度、対処法は異なります。 サイレントASDと受動型ASDの違いと共通点を理解することで、自分自身や他人のASDに対する理解を深めることができます。

夫のサイレントアスペルガーが原因?妻のカサンドラ症候群とは

自分が発達障害だと知らないサイレントアスペルガーの人は、感情に無関心で共感力が不足しています。
そのせいで、自分のパートナーや家族との関係で、愛情や信頼や尊重といった感情が普通とは異なってしまいます。

また、コミュニケーションや協力や支え合いといった行動もできず、自分のこだわりを優先したり、相手の気持ちを考えなかったりします。

これらのことが影響して、自分のパートナーや家族との関係が難しくなってしまうのです。

サイレントアスペルガーの人は、自分に問題がないと思っているので、自分を変えようとしません。
そのため、自分のパートナーや家族は、悩みや苦しみを抱えることになります。

このように、自閉症スペクトラムやアスペルガー症候群の人との関係で、精神的・肉体的な症状を示す状態を「カサンドラ症候群」と呼びます 。

カサンドラ症候群は正式な疾患名ではないため、この症状があればカサンドラ症候群という診断基準はありません。
カサンドラ症候群は、対人関係により心身症状が生じている状態を指す言葉です。

サイレントアスペルガーの人の自己肯定感について

サイレントアスペルガーの人は、自分が発達障害と気づいていない、もしくは気づいているけど否定している状態です。

発達障害の症状は人によってそれぞれですが、サイレントアスペルガーもASDの一種です。
なので、ASDの特性によって、普通の人には訪れない困りごとが引き起こされている可能性があります。

ただ、ASDの特性をぎりぎりで我慢できていたり、上手く乗り切ってきた結果がサイレントアスペルガーとも言えます。

しかし、自己肯定感は普通(定型発達)の人に比べれば、サイレントアスペルガーの人は、低くなってしまう傾向があります。

例えば、サイレントアスペルガーの人は、社会的なルールやノルマに従うことが苦手で、周囲の人との関わり方に不安やストレスを感じることが多いです。
しかし、自分がASDであることを認めないと、自分の特性やニーズを理解してもらうことができず、自分を変えようと無理をしてしまいます。

これは、自分の能力や個性を否定することになり、自分の自己肯定感を低くしてしまいます。

また、サイレントアスペルガーの人は、自分の興味や関心に没頭することが得意で、それが自分の強みやアイデンティティになることがあります。
しかし、自分の特性を隠そうとすると、自分の興味や関心を表現することができず、自分の価値や意味を見出すことができません。
これも、自分の幸せや充実感を奪うことになり、自分の自己肯定感を低くしてしまいます。

したがって、サイレントアスペルガーの人の自己肯定感を高めるためには、自分がASDであることを受け入れることが重要です。

自分がASDであることを受け入れると、自分の特性や困難を客観的に理解することができ、自分に合った対処法やサポートを探すことができます。

また、自分の興味や関心を大切にすることで、自分の価値や幸せを見つけることができます。

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サイレントアスペルガーとアレキシミアの関係性について

サイレントアスペルガーの人は、社会的には問題なく暮らしているように見えますが、自分の感情や他人の感情に興味がなく、心の中を話すことができません 。

アレキシミアという言葉は、自分の感情を言葉にできないか、感情を感じることができないという状態に使われます。

アレキシミアの人は、自分の感情を表現することができず、他人の感情を理解することもできません。
そのため、コミュニケーションにおいて、相手の気持ちに気づくことができないです。

サイレントアスペルガーの人は、自分の感情を自分で認識することができないので、アレキシミアの状態に陥っていることがよくあります 。

サイレントアスペルガーとアレキシミアは、自分の感情や他人の感情に対して感じたり話したりすることができないという点で似ています 。

しかし、サイレントアスペルガーは自閉症スペクトラムの一種であるのに対し、アレキシミアは自閉症スペクトラムとは関係ない概念であることを忘れないでください 。
サイレントアスペルガーとアレキシミアの関係を理解することで、自分や他人の感情についてもっと知ることができます。

まとめ

今回は、サイレントアスペルガー(S・ASD)についてお伝えしてきました。

S・ASDとは、自分が発達障害であることに気づいていないか、気づいていてもそれを否定する人のことです。

S・ASDの人は、受動型アスペルガーと似ていますが、自分のASDに対する自覚や受容、変化の姿勢が異なります。

別にS・ASDでも、一般社会で上手く立ち回れているのであれば、何も問題はありません。
しかし、ASDの特性で問題が引き起こされていたり、ストレスが起きている可能性もあります。

その場合、何か自分に普通ではない違和感を感じたら、一度検査をしてみることをお勧めします。

検査をすることで、自分がASDであることが分かれば、自分の特性やニーズに合わせた対処法やサポートを受けることができます。
また、自分がS・ASDでないことが分かれば、自分の違和感の原因を他に探すことができます。

いずれにしても、自分の心や身体の健康を大切にすることが、幸せな人生を送るために必要です。

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