小学校はたくさんの子どもと一緒に、勉強やコミュニケーションを取らなければならない場です。
また、集団生活を学ぶ環境でもあり、協調性も必要です。

発達障害の子どもにとって小学校は、過酷で辛い目にあってしまう可能性があります。

幼稚園までは、問題行動があってもイジメを受けたり、劣等感を感じさせる精神的負担もそれほどありません。

しかし、小学校は別です。
子どもの知能がどんどん発達してきて、思考や行動が変わってくるからです。

発達障害の子は、症状によって脳の未発達な部分があり、定型発達の子どもと一緒に学校生活を送るのは難しいのです。

また、小学校は一クラス40人前後の集団生活を送らなければなりません。

朝の8時から昼の3時くらいまで、長時間の拘束もあります。

発達障害の子どもは集団生活が非常に苦手で、学校にいる間中あらゆる面で浮いてしまうのです。

文部科学省のデータによると発達障害のある小中学生は6.5%、40人のクラスで2~3人の割合となっています。

40人という大多数の中で自分だけ(もしくは他2~3人)が普通ではない行動をしてしまいます。
それが、どれだけ苦痛で大変なのかはいうまでもありません。

私も発達障害の概念が無かった時代、一クラス40人前後の小学校で育ちました。

ASDの私は、他の子とうまくコミュニケーションがとれなかったり、想像力の欠如から馬鹿正直でクラスから浮いていました。

また、精神が異常に弱く、2~3日に1度のペースで泣かされていました。

とにかく普通の子ではなく、普通にしたくてもできない苦しさを常に感じていた記憶があります。

ただ、救いはもう一人発達障害っぽい子がいたことです。
その子は何か不安やストレスがあると、机に何度も頭をぶつけている子で、周りから敬遠されていました。

普通にできない子は自分だけではないという、安堵感に救われていたのかもしれません。

小学生の年齢になると、発達障害の症状や特徴が顕著にあらわれてきます。
発達障害の特性(ハンデ)は、小学校の集団生活を行う上で致命的です。

それでも、発達障害の理解がある学校や先生、サポート体制を整えてあげれば、普通級でも馴染める可能性はあります。
しかし、そのような子は稀で、対人運や環境運に恵まれでもしない限り、悲惨な目にあってしまうのです。

今回は、発達障害のある小学生の症状や特徴、小学校での問題点を上げていきたいと思います。

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発達障害のある小学生の特徴や行動

発達障害のASD(自閉症スペクトラム アスペルガー症候群)、ADHD(衝動性/多動性/注意欠陥)、LD(学習障害)は、小学校に入学する年齢(6歳)の頃には、特性(ハンデ)が目立ち始めていきます。

定型発達の子どもは、6歳を基準に「読み書き」「計算」「記憶」といった学習能力、「集中力」「落ち着き」など一般的な行動や、振る舞い方が発達していきます。

しかし、発達障害の子どもは、いずれかの能力が欠如、未発達、発達が著しく遅れている、などが見られます。
そのため、集団で行われる学校生活において発達障害の子は、変な言動や行動をしてしまうのです。

発達障害(ASD、ADHD)による小学校での問題行動、特徴

▽ASD(自閉症スペクトラム アスペルガー症候群)の小学生

ASDの小学生のお子さんをもつ保護者が一番困っている症状の1つに、癇癪があげられます。

発達障害の子は定型発達の子よりも、脳の特性上(ハンデ)により、心に傷を負いやすくなります。
そのため癇癪が起こりやすく、また、歯止めのきかない荒れ方をすることもあります。

癇癪が起こる原因は、ASDの特性にある「感覚の異常」「想像力の欠如」「コミュニケーションの欠如」によって引き起こされるストレスが背景にあります。

感覚の異常とは、「視覚」「嗅覚」「味覚」「聴覚」「触覚」が人よりも異常に敏感、もしくは鈍感な状態をいいます。

例えば私の場合、聴覚異常があるのですが、ちょっとした物音でも敏感に感じ、反応してしまい気になります。

さらに、普通の人が感じられない、気にならない小さな低周波(室外機の音やモーター音など)が、頭と心臓に物凄く響いてきてしまいます。
本当に耐えがたい苦痛です。

感覚異常からくる癇癪はこうした刺激で、不安感や緊張を感じ、ちょっとしたことでも怒りっぽくなったり、暴れたりしてしまうのです。

想像力の欠如とは、遊びや勉強などで、普段と違うことが起こった場合、臨機応変な行動がとれなくなります。

視野が狭く、自分ルールにのっとって行動しているため、想定外のことが起こると対応できず怒りの感情が沸き上がります。

私も自分の決めた行動に邪魔が入ると、本当にイライラします。
何でこんなに怒っているのか不思議なくらい、フラストレーションがたまってしまいます。

さまざまな側面から考えられないので、自分が正しいと思っており、それを邪魔する/されるのが無性に腹立たしくなってしまうのです。

コミュニケーションの欠如とは、何か不満があったり、言いたいことがあっても、上手く言葉に表現できなくなることです。

ASDの子は想像力も欠如しているので「言葉で表現しようとしても、なかなか思いつかない」のです。

また、友だちとの会話で、冗談や嫌味を真に受けてしまったり、喧嘩したときに言葉がうまく出なかったりして、感情が爆発してしまいます。

小学校の高学年(5~6年生)になると、子どものコミュニケーション能力はかなり発達しています。

会話が上手くいかないASDの子は、イジメを受けたりからかわれて、グループから孤立してしまい、ストレスを溜めて癇癪の原因となるのです。

発達障害の子どもの癇癪は、ちょっとしたことでも怒ったり暴れてしまいがちです。

言って聞かせようとしても、自分が正しいと思っており、また頑固なので難しいと思います。

しかし、それでも保護者の方は怒鳴って叱ったり、体罰などはするべきではありません。

発達障害が有無に関わらず子どもは、怒られた経験や、体罰の影響は心に残ってしまいます。
いつも怒られたり体罰を受けている子どもは、他の人にも横暴、暴力的になる可能性があるのです。

発達障害の子どもの癇癪への対応は、基本的に放っておくしかないと思います。
一度キレたら、何をしても無駄です。

できることは、周りに危険を及ぼさないこと、安全を確認すること、傷つかないようにすることです。

私が小学生の頃に癇癪を起したときは、カッターナイフを持ち出して壁を傷つけたりして危なかった記憶があります。
しかし、親は相手にせず落ち着くまで放置していました。

私は、騒いで暴れていても誰も相手をしてくれないので、だんたんと怒りの感情が収まっていきました(30分~1時間くらいで)

癇癪の対応は基本的に相手にせず、静観するのが一番効果的だとは思います。
それでも、やってはいけないことに対しては、毅然とした対応をするべきです。

間違ったことをしても怒らなければ、やりたい放題になってしまうからです。

ASDの子どもは視野が狭いので、間違ったことをしがちです。
また、融通がきかず、指示(マニュアル)がないと混乱してしまいます。

保護者の方は、善悪の基準をしっかりと教え、癇癪が落ち着いたら言い聞かせるようにしましょう。

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ASDの子どもは体育が苦手

ASDの子どもは、基本的に体育が苦手です。
体育は、臨機応変に対応をしなければならない運動が多いからです。

まず、体育の授業がはじまる前に整列をして先生を待たなければなりません。

背の低い(高い)順に並ぶことがあるのですが、自分の並ぶ場所がわからず、困ってしまうことがあります。

また、授業内容によっては整列を必要としないこともあり、困惑してしまいます。

ASDの子どもは予期せぬことに対応することが苦手なので、先生が前もって決まった順序を示してほしいところです。

体育の授業では、ボールを使った球技や、頭を使う運動が非常に苦手で運動音痴です。

例えばサッカーや野球では、ルールを理解できなかったり、柔軟な動きが苦手です。

ASDの子どもは、自分が「こうすればいいんだ」と理解したら、間違っていてもそれが正しいと思ってしまいます。

視野が狭いので自分ルールに縛られており、変な動きをしてしまったり、ズレたプレイをしてしまうのです。

頭を使う必要がある団体競技では、足を引っ張ってしまい、嫌われることもあります。

ASDの私も、ボールを使った授業が非常に苦手でした。
野球では、フライの落下地点に入るのが苦手で、何故か毎回ジャンプしてボールをキャッチしていました。
その後、一番守備の必要のないファーストに配置され続けました。
サッカーの授業では、動きの必要がほとんどないキーパーでした。

それでも、ASDの子どもでも、体育の授業で輝くことはできます。
それは思考を必要としない競技です。

たとえば、マラソン(かけっこ)。

ASDの子どもは、純粋で言われた通りのことをするので、手を抜くようなことをせず、いつも全力です。

マラソンは走るという単純な運動なので、身体能力が平均以下でなければ、上位に入ることができます。

定型発達の子は、限界まで頑張って走る子は稀です。
ある程度でいい、ということをわかっているからです。

他にも鉄棒や跳び箱など、一度コツを掴めば後は難しいことはない運動が得意な傾向があります。

▽ADHD(衝動性/多動性/注意欠陥)の小学生

ADHDの子は、衝動性/多動性/注意欠陥の特性上、小学校生活で様々な問題が引き起こされます。

多動性/衝動性の特性では、
授業中にジッとしていられず、床に寝っ転がる、勝手に廊下に出ていったりなど「授業妨害」をすることがあります。

また、給食の時間でも、何かに気を取られると席から離れてしまい、食べるのが遅くなるなど、一つのことに専念することができません。

これは、多動性の「落ち着きの無さ」と、衝動性の「思いついたら行動してしまう」特性(脳の欠如)から集中することが難しいのです。

先生や親から何回注意されても、脳の異常が原因なので治すことは難しいのです。

ADHDの子どもは、怒られている内容は理解しています。

それでも、頭の中で様々な考えや思考が浮かんでしまい、気持ちが抑えられず、繰り返してしまうのです。

そのため小学校生活では、遅刻や忘れものなどの問題行動を頻繁にしてしまい、自信がなくなり「自己肯定感」が失われていくのです。

ADHDの子どものもう1つの特徴として、おしゃべりがあげられます。
お喋りの特性は、男の子よりも女の子に多く見られます。

これは、男の子よりも女の子の脳が「言語やコミュニケーション能力の発達」をしているからです。
脳科学によると、幼少期から男女間で差が明確にあらわれているそうです。

ADHDのおしゃべりは、一度話し出すと止まらず、一方的に話しかけてしまいます。

授業中でも周りの子に話しかけてしまい、授業の邪魔をしてしまいます。

また女の子同士の秘密などを、悪気なく漏らしたりしてしまい、グループで孤立してしまうこともあります。

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まとめ

発達障害の子どもは脳の特性上、本能で行動してしまい、周りに迷惑をかけてしまうことが多いです。

そのため、小学校では問題児になり、孤立してしまう恐れがあります。

集団生活をする上で、一人ぼっちになってしまうのは危険です。

心に劣等感を感じて、不登校になってしまったり、2次障害を発症してしまう可能性が高くなるからです。

個人的に発達障害のある子は、普通級には進んではいけないと思っています。

小学生の低学年であればなんとかなりますが、知恵がついてくる高学年になると、問題行動やイジメの質が上がってくるからです。

IQが高い人は、頭の良い人としか会話が合わないのと同じように、
頭の悪い人は、自然に頭の悪い人と友だち(グループ)になります。

しかし発達障害の子は、IQが高くても頭が悪くても普通にできないので、異質な存在となります。
そうなると、自然と人から敬遠されていくのです。
学校という集団行動の中では致命的です。

今は、発達障害に理解がある時代になりましたし、教師の理解や支援体制も充実してきて、発達障害の子も普通級に通いやすくなりました。

それでも、発達障害の子どもが小学校で苦しんでいるなら、支援学級へ行かせてあげるべきです。

発達障害の子どもは、健常者と一緒に過ごすにはあまりにも苦労が絶えないからです。

学校へ行くだけでストレスを感じます。
毎日、辛い思いをして学校生活を送るのと、支援学級でサポートしてもらいながらのびのびと過ごすのは全く違います。

普通学級に馴染める軽度の発達障害であれば問題ありませんが、境界線(ギリギリ)の子の場合は、検討するべきです。

小学生の頃の影響は、その後の性格、人生に多大に影響を及ぼしてしまいますから・・・。

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