発達障害のASD(自閉症スペクトラム アスペルガー症候群)の子どもの頭が悪い。

塾に行かせたり、家庭教師を雇っても成績があがらない。

発達障害だから勉強できないのは仕方がないのかな・・。

発達障害の子どもを持つ親御さんにとって、頭が痛い悩みだと思います。

では何故ASDの子どもは勉強ができない、苦手なのでしょうか。

発達障害(ASD)には、さまざまな特性(ハンデ)があるので、理由はたくさんあります。

その特性の中でも、勉強やコミュニケーションを困難にしている「マルチタスク問題(多重思考の困難)」があげられます。

マルチタスク(多重処理)とは、2つ以上の情報を処理することです。

多重思考とは、2つ以上の情報を頭の中で考え、理解して、同時に処理する思考です。

例えば、授業中にノートを写しながら内容を理解する。

上記の例では、「書く」と「理解する」という2つの情報処理が発生しています。

発達障害(ASD)の人は、2つ以上のタスクが発生すると、脳の処理が極端に難しくなってしまうのです。

今回は、マルチタスクによって引き起こされる、勉強(学習)の問題と対策方法についてお伝えしていきます。

Sponsored Link

ASDの子どもが授業についていけない理由

学校の授業は、マルチタスクを必要としています。

そのため、脳内で複数の処理が苦手なASDの子どもは、授業の内容を覚えたり、理解するのが困難なのです。

授業では、先生が黒板に書いた内容をノートに書き写したり、教科書を音読したりします。

どちらもマルチタスクの工程が必要です。

ノートに書き写す作業は、冒頭でお伝えしたとおり、「書く」と「理解する(覚える、記憶する)」という2つのタスクが発生しています。

定型発達の子どもは、書きながら覚えることが普通にできます。

しかしASDの子どもは、ノートに黒板の内容を書き写すのに集中してしまい、理解しながら覚えられません。
書くだけなら書く、覚えるだけなら覚えるだけのシングルタスク(1つの処理)しかできないのです。

また、字を書くにしても、鉛筆を使う動作を必要とします。
ASDの子どもは、字がめちゃくちゃ下手な子が多く、書く事も苦手な場合があります。
書くだけでも、気を使うタスクが必要になってしまうのです。

そのため、定型発達の子よりも、黒板の内容を理解したり覚えることが圧倒的に劣るのです。

では、どうすればいいのしょうか。
それは、予習復習をしっかりとやるしかないのではないかと思います。

予習をしていれば、授業内容を理解しているので、先生が書いた黒板の内容を書くだけで済みます。
予習外のわからない内容は、ノートに書いた授業内容を後で復習して理解するようにします。

ASDは、シングルタスク(1つの処理)に集中してしまうので、工程を分けるようにしてあげましょう。

教科書を音読することは、文章を見て覚えながら、声を出すマルチタスクが必要となります。
ですのでASDの子が、文章を声を出して読みながら内容を理解する(覚える)ことが非常に苦手です。

国語の授業では、指名されて教科書を読んだり、〇がつくところまで順番に読むという学習方法がとられます。

この方式は、定型発達の子であれば、読みながら内容を理解できる、内容が頭に入ってくるようです。
しかしASDの子にとって、音読をしながら内容を理解するのは、書いて覚えるよりも圧倒的に難しいと思います。

実際私(ASD)は音読では、読むだけで精一杯で内容なんてまったく理解できなかったです。

黒板の内容をノートに書いて覚えるというマルチタスクは、一旦書き終える→目で見る→覚えるというシングルタスクに分割できます。
理解するのに時間がかかりますが、一応その時点で理解する(覚える)ことは可能です。

しかし、音読は無理です。
文章を見ながら声を出して読むマルチタスクが同時進行で行われます。
さらに内容を理解して覚えなければなりません。

こんなに難しいことが、何故できるのかと不思議に思います。
しかし、これができないのが発達障害(ASD)の特性(ハンデ)であり、定型発達の人は普通にできるのかと思うと、あまりにも酷いとしか思えません・・・。

そして、音読は当たり前ですが、声を出す必要があります。

授業の音読は、周りの子も聞いています。
そのため、聞きやすいように、声の大きさや流暢さも気にしなければなりません。
プレッシャーもかかります。

そんなことを考えながら、文章を読み、声を出し、理解する(覚える)マルチタスクをASDの子に求めるのは無理です。
対策方法はありません。

前もって教科書を黙読しておき、内容を理解しておくしかないのです。

Sponsored Link

まとめ

マルチタスクができない発達障害(ASD)の子にとって、授業の学習効率が定型発達の子よりも劣るのは、ASDの特性上、仕方がないことです。

集団で行われる学校の授業や塾は、大多数の定型発達の子に合わせてマルチタスクができることが前提です。

また家庭教師も、発達障害に理解がある人でない限り、定型発達と同じように教えています。

ですので、マルチタスクができないASDの子が、学習スピードや理解力で健常者に劣るのは仕方がないのです。

それでもASDの中には記憶力や高い、理解力があるなど、IQが高い子はいます。
そのような子はギフテッドと呼ばれ、マルチタスクが苦手でもシングルタスクだけで勉強はできてしまいます。

しかし、私のように平均IQが60台でASDとなると、まったく勉強ができず、絶望しかありません。

私の時代は発達障害という概念がなかったので、ただ頭の悪い子と思われていただけで、授業にはまったくついていけませんでした。

しかし、現在は発達障害の理解が広まってきて、支援も充実してきました。
発達障害の子に対するサポート体制が充実している普通級もあります。

それでもIQが80以下(日本人の平均IQは100)の発達障害(ASD)の子には、無理だと思います。
発達障害に理解があると言っても、普通級はあくまで定型発達の子のための学級。
ASDのマルチタスク問題に対する配慮は難しいのです。

そのような環境では、勉強についていけず、勉強嫌いになってしまいます。

ですので、マルチタスクの問題を抱えている発達障害(ASD)は、支援級に行くべきだと強く思います。

Sponsored Link