
カメレオンのような性格をご存じでしょうか。
カメレオンとは、自在に色を変えて周囲の環境に溶け込む生物です。
同じようにカメレオンのような性格というのは、相手やその場の状況に合わせて態度や雰囲気を変える人のことです。
これが発達障害(ASD)の私の性格と完全に一致していました。
いつも他者を不快にさせないよう自分なりに「こう対応したらいいのでは」と思う人格を演じるのです。
何故そうなってしまったのか。
それは、ASDによって人から嫌われ、避けられ、イジメられ続けたからです。
その結果、自分を出すことができないようになりました。
相手に合わせた人格を演じることで、人間関係を少しでも取り繕れるようにしたかったのです。
また、常に頭の中が空虚で、自分の核が無い。
何も思いつかない、相手に対してどのように接したらいいのかわからない。
だから相手の性格から、自分なりの対応方法を考えるという結論になり、その人に合わせてしまうのです。
でも、初対面の人だと全く分からないので、いきなり思いついたことを言ってしまったり、間違ってしまい、大体初見で嫌われたり、引かれてしまいます。
ASDの中でも、特に受動型、孤立型アスペルガーがカメレオン的な性格になると思います。
主体性が全く無く、自分という個の特徴が希薄なのでそうなってしまいます。
逆に尊大型や積極奇異型は、相手に合わせるというよりも、自分の思ったことや感じたことを素直に主張できる性格です。
まだ対人関係で擦れていない、もしくは自己肯定感が高い時期に良くあるアスペルガーのタイプです。
個性というか遠慮が無いので、他の人から見てもわかりやすい存在感があると思います。
アスペルガー(ASD)の4つのタイプとカメレオン度
タイプ | 主な特徴 | 人との関わり方 | 個性の強さ | カメレオン度 |
---|---|---|---|---|
孤立型 | 自分の世界に没頭する、他者にあまり関心を示さない | 関わりを避けがち、必要最小限の対応 | 弱い(希薄) | ★★★★☆(高い) |
受動型 | 自分からは動かないが、相手から働きかけられると応じる | 相手に合わせやすいが自発性は少ない | 弱い(希薄) | ★★★★★(最も高い) |
積極奇異型(能動・奇異型) | 関わりを好むが、一方的・独特なスタイル | 相手に積極的に近づくがズレやすい | 強い(独特) | ★★☆☆☆(低め) |
尊大型 | 自信が強く、上から目線になりやすい | 自分の考えを主張し、相手を導こうとする | 非常に強い | ★☆☆☆☆(ほぼ無い) |
一般的(定型発達)のカメレオン的性格タイプの特徴とは
カメレオン的な性格は、ASDに限らず普通(定型発達)の人にも見られる性格のひとつです。
でも、性格がカメレオンになってしまう動機や背景は、ASDとは少し異なっていると思います。
定型発達の人がカメレオン的な振る舞いをする場合、「空気が読める」「気配りができる」といった印象になります。
職場や学校、友人関係などでスムーズな人間関係を築くために、相手の性格やその場の雰囲気に合わせて態度を変える、というのは処世術としてよくあります。
それでもやっぱり、ずっと人に合わせ続けるのは大変です。
本当の自分を出せないだけでなく、常に相手に合わせて性格を変えなければならないので脳が疲れてしまうからです。
カメレオン的性格は、誰にも理解されていないように感じるという悩みを抱えている人も、多いと思います。
定型のカメレオンタイプの場合、ASDの人よりは自然で柔軟なので上手く演じ続けられると思います。
でも、素の自分を隠し続けると、元の性格が分からなくなってしまうリスクもあります。
誰とでもうまくやろうとしすぎて、自分が分からなくなる状態は、発達障害でも定型発達でも共通して起こりうるのだと思います。
ただ、ASDの場合はオリジナルの自分が謎というか、これといった個性が薄いので、カメレオンが本当の性格になるかもしれないです。
私の場合は、これが戦略(カメレオン)ではなく、生き残るための無意識な対応になり、「相手に合わせなければ関係が壊れる」「拒絶される」といった強い不安から、常に他者に合わせてしまうのです。
演じているという感覚すらなく、気づけば自分を見失い、なにが本当の自分なのか分からなくなってしまいました。
相手に合わせることに余裕がある人は、「今日はもう疲れたから自分でいよう」と切り替えることができます。
でも、ASDの私は、その自分がわからないので、ずっとカメレオン状態なのです。
カメレオンになる人は性格が悪い?
人に合わせてばかりいる人は裏表がある、本音が分からないから信用できない、といったカメレオン的な性格を「ずるい」とか「腹黒い」と思われてしまうようです。
確かに、他の人の前でカメレオンをしている人を見ると、本心を隠していると思われてしまい、距離を置かれる可能性大です。
でも性格がカメレオンになってしまうのは仕方が無いと思います。
私の場合は、ASDの影響によって対人関係が散々な状態になり、嫌われたくないから仕方なくです。
普通の人もこれが根底にあると思います。
でも、カメレオン的な性格の演技をすることで「気配りができる」「空気が読める」と打算的な考えの人もいます。
要するに世渡り上手ということです。
その様な人を見ると、人によって態度や話し方が違って見えるので「性格が悪い」と感じさせてしまうのかもしれないです。
でもカメレオン的な性格は、自分の意思でそうしているというより、そうせざるを得なかった結果であることが多いのです。
特に発達障害のある人にとっては、他人との関わりの中で何が正解か分からないという状態が日常的です。
その不安を埋めるために、必死で周囲に合わせようとしているだけなのです。
「嫌われたくない」「間違いたくない」「迷惑をかけたくない」という気持ちから、表情を真似たり、話し方を変えたり、相手の好きそうな反応を探ったりしてしまうのです。
決して、裏で何かを企んでいるとか、自分を良く見せたいという狡猾さとは別物です。
もちろん、そのような振る舞いが結果的に「八方美人」と思われたり、「何を考えてるのか分からない」と言われてしまう可能性はあります。
でも、それを性格が悪いと思われてしまうのは辛いし悲しいです。
自分なりに考えて良かれと思ってカメレオンをしているだけだから。
むしろ、自分という存在が曖昧なまま、それでも必死に人と関わろうとする、不器用な優しさや生きづらさの表れなんじゃないかとおもうのです。
まとめ
私は引きこもってからは、病院以外でリアルで全く人と交流が無いのですが、今もずっとカメレオンが標準です。
いや、中学生くらいからだったと思う。
当時、あまりにも酷すぎる苛めと家庭崩壊で、とにかく我慢を強いられた毎日がそうさせたのだと思う。
またASDの影響から、自分が無いので、演じるしかない。
もちろん最初から自分の意志や核(性格)が無かったわけではないと思う。
小さい頃は無邪気だったので、尊大型や積極奇異型アスペルガーだったはず。
でも、過酷な状況に何度も追い込まれ、受動型・孤立型アスペルガーへと変わっていった。
しかし、家や学校では人と関わらなくてはならないので逃げられない。
そして、ASDの影響から上手くいかない。
その結果、他人に対して異常に気を使う性格なり、嫌われないように努力する思考に変化していった。
人格形成の段階で過酷な幼年期~成長期を送っていると性格がカメレオンになってしまうのだと思う。
全ては自己肯定感が低く、自分に自信が無くなってしまったから。
今は、23年以上の真性ひきこもりASDという前提があるので、他者の全てが自分よりも圧倒的に格上な人格・性格。
少しでも自分(個性)を出そうものなら恥ずかしいことになる。
そもそも私はまったく個性が無いです。
主体性が無く確固たる信念もない。
性格や個性って何なのでしょうか。
性格はよければそれに越したことは無いはず。
個性は、面白さや誠実さ?
自分らしい考えが生まれつき全く無いASDなので、意思が希薄すぎる。
カメレオンの性格を演じることで少しでも普通になろうとする。
しかし、ASDは簡単にボロが出る。本当に。
でもカメレオンをするしかない。
自分が空っぽだから。
他の人から見れば滑稽だろうね。
ASDの分かりやすい不器用さや、会話のズレ、空気の読めなさから、「この人ちょっと変だな」と思われるところまでがワンセットで、演技が通用しないから。
でも、だからといって、演じるのをやめることはできない。
私は今日もまた、普通と思われる状態を振る舞い続けています。
それ以外の意思や信念が無いから。