発達障害の人は、字が下手なのでしょうか。
少なくとも当事者である私の字は、かなり下手です。

何が下手なのかというと、まず文字自体がバラバラなのがおかしいと思います。
1つの文字が自分の納得がいって、少し上手く書けたとしても、次の文字は同じような筆記で書けない。

毎回文字が違う感じになり、別人が1文字ずつ書いているような状態です。
後は、文字の大きさが違うとか、ズレるなど。

そして、その時の心情が文字に出ることがよくありました。

今は文字を書くことがほとんどありませんが、小学生の頃はイジメられて2~3日に1度は泣かされていたので、ずっと悲しい、落ち込んだ気持ちで黒板を写していました。
その時は、大体、震えていたり、力が抜けていたりして、どこか弱々しいものでした。
心の中の不安や悲しさがそのまま鉛筆の先に伝わっていたと思います。

怒っている時や気分が高揚している時は、殴り書きになったり、筆圧が強くなってしまいます。

なので、動揺している時に文字を書くと、もっと下手になります。

でも今は、大体PCでキーボードで打つことしかしないので、文字自体を書く機会が全くないです。
子供の頃から文字が下手すぎましたが、さらにいま手書きで何かを書くと、物凄く下手だと思います。

「字を見ると人がわかる」、「字には心が出る」というようなことわざがありますが、本当にその通りだと感じています。
私は子供の頃から自分では普通だと思っていましたが、実際は発達障害であり、変人だった。

今思うと、普通ではない脳や精神の状態が書いていた字に現れていたのだと感じます。

そう考えると、「発達障害」と「文字の上手さ・下手さ」には、何らかの関係があるのかもしれません。
そこで、そのつながりについて少し考えてみたいと思います。

Sponsored Link

広汎性発達障害(自閉症・アスペルガー・ASD)の人の字

広汎性発達障害という言葉は今ではあまり使われなくなっていますが、当時は自閉性障害やアスペルガー障害などをまとめて呼ぶ名称でした。
私は、初めて発達障害の検査を受けた時、広汎性発達障害と診断されています。

そんな広汎性発達障害の私の字は、冒頭でも書きましたが、色々と下手すぎて恥ずかしいです。
明らかにちょっとアレな人が書いた字なんじゃないかとバレます。

字は、何となく性格やその人自体を表すような感じがします。

頭の良い人が書く字は達筆で、綺麗に整っていたり、特徴的な上手さを感じるというか。
個人的にIQによって字の特徴や上手さ、ヘタさが出ると思っています。

当時の発達障害の検査(WAIS-III)で全IQが67だったのですが、脳を全く使っていない末期的な状態でした。
子供の頃はもう少しましなIQだったと思われますが、それでも頭の悪さが字の下手さに繋がっていたと思います。

ASDの字の特徴

広汎性発達障害はマイナーな名称なので、私はASDといつも書いています。
そんなASDの人の字が特徴的になるのはどうしてなのでしょうか。

ASDの人の字が特徴的になる理由は、「同じ文字を似たような筆記で書けない」というのが一番大きいです。

  • 同じ文字を同じように書けない
    → 微細な運動のコントロールが苦手だったり、集中力が一瞬途切れることで、毎回わずかに違った形になる
  • 大きさが揃わない・ずれる
    → 空間認識や視覚・運動の協調の難しさが背景にある場合も
  • 感情が文字に出やすい
    → ASDの人は感情のコントロールや表出の仕方が独特で、それが筆跡に表れやすい。怒りや不安で手が震えたり、強く書いてしまったりすることもあるのです。

文字を書くことは手先の器用さだけでなく、注意力・空間認識・思考のスピード・感情の状態など、いろいろな要素が反映されるものだと思います。

ASDは、これらに凹凸(能力差)があり、それが字に反映されるのかもしれません。
でもASDの特徴は人それぞれですし、一貫して独特な場合もありますし、毎回バラバラになる人もいると思われます。

ADHDの人の字

ADHD(注意欠如・多動症)の人の字も、ASDとはまた違った特徴があります。
一番分かりやすいのが、集中力の持続が難しいという問題でしょうか。

最初は丁寧に書こうとしても、すぐに注意がそれたり、疲れてきたりして、文字がどんどん雑になっていく。
最初の数行と最後の数行を比べると、まるで別人の筆跡になることもあります。

また、衝動性や気分の波が字に出やすいのも特徴です。
テンションが高い時は勢いだけで大きな字や崩れた字になったり、逆に気分が落ちているときは弱々しく小さな字になる。
筆圧やスピードが極端に変わる人も多いです。

まとめ

字の上手さや下手さは、結局生まれつきの部分が大きいと思う。
発達障害や生まれつきの精神の強弱など、先天性の部分は変えられないからです。

さらに、気分とか心の状態でも文字の形は変わってきます。
なので字は練習してもある程度までしか上手くなれず、生まれつきが大きな要因だと私は思っています。

項目ADHDASD
字の一貫性最初と最後で変わる/ムラが大きい毎回少しずつ形が違う(細かいズレ)
変化のきっかけ注意の途切れ・気分・衝動感覚刺激・空間認知・微細運動の協調の困難
感情の反映気分の上下がそのまま字に出る感覚的な負荷や不安など「特定の要因」に反応
空間配置行や間隔の乱れは「集中力の波」に左右されやすい行や間隔が常に少しずつズレる/揃えるのが苦手
典型的な見た目勢いがある/大きく崩れる/筆圧やスピードが極端に変化丁寧に書こうとしてもバラつきが残る/細部のズレが目立つ

字は、その人の中身を映すものなのかもしれません。
書いた本人は気づきずらいですが、他人から見ると「あ、この人ちょっと独特かも」みたいに思われることがあるのです。
逆にそういうズレの中にしか出せない味や個性もあるかもしれませんが。

Sponsored Link