
ASDの人は不確実性に弱いのでしょうか。
当事者としては、かなり弱すぎると実感しています。
・何をすればいいのかがはっきりしていない
・説明書も正解もないことを、自分で判断してやらなければならない
そのようなことをした結果、どのような悲劇が起こるのか。
先々が見えないことに常に不安を感じてしまい、先延ばしにしたり、回避してしまう。
このような不確実性のあることに対する行動の出来なさは、ASDの人あるあるだと思います。
「とりあえずやってみよう」、とか「失敗したら失敗したでいい」という気持ちに全くなれないのです。
どうしたらフットワークが軽くなるのだろう。
何事にも、物おじせず挑戦することができるのでしょうか。
私は引きこもりになってから、この不確実性への弱さに気づきました。
引きこもる前までは、人生の道筋が酷くても、おぼろげながらもあったので、そのままの行動をすればよかった。
しかし長期の引きこもりになり、何をしたらいいのかわからない、一人になって自分で考えて行動しなければならなくなり、「未知拒絶型行動抑制症候群(造語)」になったのです。
ちなみに、未知拒絶型行動抑制症候群とは、正式な医学用語でも診断名でもないです。
*未知拒絶型行動抑制症候群の定義
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 未知拒絶型行動抑制症候群 |
| 分類 | 造語(正式な医学・心理学用語ではない) |
| 主な特徴 | 結果・評価・ルールが事前に分からない状況に強い不安を感じ、行動が著しく抑制される |
| 怖さの正体 | 失敗そのものよりも、「次に何が起きるか分からないこと」への恐怖 |
| 引き金となる状況 | 説明書がない、正解が明示されていない、自己判断を求められる場面 |
| 行動パターン | 先延ばし、回避、固まる、考え続けて動けなくなる |
| 本人の内面 | 「合っているか分からない」「取り返しのつかないことが起きるかもしれない」という予測不安 |
| 関連する特性 | ASD特性(不確実性への不耐性、変化への弱さ、行動抑制) |
| 誤解されやすい点 | 怠け・甘え・やる気の問題と見なされやすい |
| 実際の性質 | 防衛反応に近く、「やらない」のではなく「やれない」状態 |
| 起こりやすい背景 | ルールやレールが失われ、自己決定を強く求められる状況(例:引きこもり後) |
| 目的・役割 | この感覚や状態を説明し、言語化するためのラベル |
不確実性に直面したとき、ASDの脳内で起きていること
やろうとしていることが明確ではない、その方法も大体20~30%くらいしかわかっていない。
このような不確実な物事に取り組もうとすると、私の脳内ではかなり強い拒絶反応が起きます。
まず、めんどくさくなってモチベが下がります。
次に、何からやっていいのか、どのような手法が一番正しいのだろうと葛藤。
これをしたら、後から致命的な問題が発生してしまうのかもしれない。
このようなマイナス思考がが永遠と続きます。
そして疲れ果てて休憩してしまい、そのまま違うことに注力してしまいます。
それどころか、考えないように拒否反応が出て、何日もたっていることも。
全てにおいて、完璧に正しくできる!とある程度確信しないと不安で手が動かなくなるのです。
そして一人で考えて何かしようとしても、解決方法は見つからず、そのうち諦めてしまいます。
もちろん全てのASDの人がこのように完璧主義というわけでもなく、IQによっても理解の差が全く違うので、人それぞれとなります。
頭の中では、どんな思考なのか
とにかく、マニュアルや答えが欲しい。
安心した道筋が用意されて、初めて集中できます。
1つの問題が発生したら、そこを放置することはできないし、気になるので止まるのです。
「今やっていることが正解であること」
「次に何が起こるのかが予測できること」
「取り返しのつかない事態にはならないこと」
このような状況が、ある程度保証されていないと安心できないのです。
なぜASDは不確実性に弱くなりやすいのか
何故だろう。
自分でもわからない。
本能的に拒否反応が出ている感じです。
「とにかく失敗してもいいからやる」、と思いたいけど難しい。
ちなみに、脳と体が拒絶反応を起こしていても、心を無にして行ってみることがあります。
しかし、少しつまずいたり、考える余地があるとすぐに他の事に逃げてしまいます。
ASDは不確実性への不耐性が高い
不確実性への不耐性とは、
「先が読めない状態」
「正解が一つに定まらない状態」
「結果が予測できない状態」
に対して、強いストレスや不安を感じやすい特性のことです。
ASDの脳は、物事を理解したり進めようとするとき、「明確なルール」「一貫した因果関係」「再現性」を強く求める傾向があるのです。
なので、
・説明書がない
・評価基準が曖昧
・状況によって正解が変わる
・やってみないと分からない
このような状態だと、脳の負荷が高くなり、さらに行動できなくなるのだと思います。
健常者であれば、
「まあ大丈夫だろう」
「進みながら修正すればいいか」
と、無意識のうちに曖昧さを受け入れられます。
でもASDの場合、曖昧な情報を「いったん保留にしておく」ということがとても難しいです。
分からない部分を残したまま進むのが苦手で、全部理解して、全部確定させようとしてしまうのです。
ASDの不確実性への拒絶感を回避するには
うーん、逆に教えて欲しい。
どうすれば、気兼ねなく、メンタルブロックせず、気持ちを安定させられるのでしょうか。
やはりマニュアルや成功体験が必須だと思うのですが。
私のように失敗体験が多すぎると余計に動けなくななります。
個人的に思うのは、「とにかく失敗してもどうでもいい」という強い気持ちを持つことが大切だと思います。
破れかぶれではなく、失敗しても最悪な状況にならない最低ラインを確保した上でとなりますが。
一般的に言われている手法は、
- 小さな成功体験を積み重ねる
- 完璧を目指さず、60点くらいで
- 行動してから考える
- 失敗しても死なない
- 曖昧さに少しずつ慣れていく(曝露)
これらは理論としては間違っていないです。
でも、「それができないから困っている」のがASDなのです。
ADHDの人の不確実性への耐性
ADHDの人の場合はどうなるのでしょうか。
ASDの不確実性への弱さとは真逆だと思っています。
ADHDの人は「不確実性そのもの」への耐性がある程度高い、あるいは不確実性に突っ込んでしまう傾向があるように見えるからです。
ADHDの人は、
- 先が見えない
- 正解が分からない
- 途中で失敗するかもしれない
という状況でも、
「まあ、なんとかなるだろう」
「とりあえず始めてから考えよう」
「ダメだったら次いけばいい」
と、勢いで動けてしまうことが多いと思われるからです。
「不安を感じていない」というより、不安よりも衝動や興味が勝ってしまうという感じなのです。
なので、
- 行動の初速はとても速い
- 失敗を恐れずに挑戦できる
- 未知の領域にも飛び込める
という強みがあると思われますが、
- 計画性が弱い
- リスク管理が甘くなる
- 後始末ができない
- 途中で投げ出してしまう
といった別の困難もあるのです。
ASDが「動けなくて苦しい」なら、ADHDは「動きすぎて苦しい」状態とも言えます。
ASDとADHDの「不確実性」の感じ方の違い
同じ「先が分からない状況」でも、
ASDとADHDでは、脳内で起きている反応がまったく違います。
ASDの場合は、
・間違えたら取り返しがつかないかもしれない
・全体像が見えないと不安で仕方がない
・一度失敗したら終わりだと感じてしまう
といった予測不安が肥大化し、行動する前にブレーキが強くかかります。
ADHDの場合は、
・今の興味や衝動が強すぎて先のことを考えにくい
・リスクを具体的に想像しづらい
・「後で何とかする」という思考になりやすい
ブレーキが弱く、アクセルが強い状態になりやすいのです。
- ASD:ブレーキが強すぎて進めない
- ADHD:アクセルが強すぎて止まれない
という対照的な脳の状態なのです。
どっちがいいの?
よく、
「ADHDの方が行動力があって羨ましい」
「ASDは慎重すぎる」
と言われることがありますが、実際にはどちらも極端なのでつらさはそれぞれ違います。
ASDは、
- 行動できないことで自己否定が強まる
- チャンスを逃している感覚に苦しむ
- 「怠けている」と誤解されやすい
ADHDは、
- 行動した結果、失敗やトラブルが積み重なる
- 自分で自分を信用できなくなる
- 「無責任」「いい加減」と評価されやすい
という別の苦しさがあるのです。
まとめ
今回は、ASDの不確実性への不耐性の強さについてお伝えしてきました。
原因として自分が感じているのが、「重度の指示待ち人間」だということです。
ASDによくある受動型アスペルガーです。
24年くらい前に初めて就職する前の適正テストで、「あなたにはよき理解者やパートナーが必須」というようなことが書かれていたことを思い出しました。
当時は発達障害がという言葉自体が日本にほぼ無く、特に問題視はしていませんでした。
今思うと、社会に出たらこの不確実性に遭遇する機会がたくさんあります。
ASDの新しい物事に対する極度の苦手感も関係してきます。
なので、ASDの人が良き理解者や導いてくれる人が本当に重要だと思っています。
私の場合、何をするにしても明確な指示や教えが欲しい。
自分一人で考えて行動するのは本当に難しい。
いつもそうしてきた結果、すべてうまくいかず人生が崩壊していたから。
ASDの脳の問題に加え、過去の様々な失敗体験が重なって「不確実性への不耐性」がより強くなったと思っています。
ある意味、うつ病やその他の精神疾患に通ずる問題ではないでしょうか。
人として備わっていなければいけない行動力が阻害されているから。
薬や何かで治ればいいのですが、多分無理だと思います。
心の持ちようや、気持ちで何とかなるものでもないです。
先天性の問題です。
だから、発達障害の人にはその人に応じた道を示す他者やマニュアルが必須なのです。
それが得られないと、直ぐに普通のレールから外れてしまうからです。
