ASDの人の無職率が高いようです。

当事者としても「なんとなくそうだろうな」とは思います。
実際、私自身も23年以上の引きこもりで、社会人歴は4か月。
しかも実質は2か月しか働いておらず、内容も研修期間だけでした。

なぜそうなったのかというと、やはり能力(IQ)が低すぎるからだと思っています。
頭が悪すぎて、ASD以前に役立たずだった。
そして、自分から辞めざるを得ない状況に追い込まれていました。

ただ、それだけではないです。
ASD特有のコミュニケーションの問題によって、対人関係が一瞬で崩壊し、気づけば完全にボッチになってしまう。
この影響も、かなり大きかったと思います。

当時は「発達障害」という言葉自体が、ほとんど知られていない時代でした。
そんな中で、一般の人と同じ土俵に立たされていた結果が、この悲劇です。

精神的にもボロボロになり、さらに就職超氷河期という状況も重なって、再就職しようにも、どうにもならなかった。

ただ、よくよく考えてみると、子どもの頃から「自分は将来、普通の人のような幸せにはなれないだろうな」という実感は、ずっとありました。

学校ではいじめのターゲットにされ、常にびくびくしながら生きてきました。
友達もいない。話しかけてくれる人はいても、いつの間にか、誰もいなくなっている。

どう考えても、「おかしい子ども」だったという感覚は、無意識にずっとありました。

そんな経験を積み重ねた結果、自己肯定感が極端に低い状態で就職しても、うまくいくはずがないのです。
運や、よほど理解のある人に恵まれない限り。

ASDの人の中には、能力(IQ)的に見れば、いわゆる「普通」の人も、それなりにいると思います。

それでも無職率や失業率が高くなるのは、ASD特有の問題が、職場という環境に対してあまりにもミスマッチな特性になっているからなのではないでしょうか。

そこで今回は、なぜASDの無職率が高くなってしまうのかその原因について考察していきたいと思います。

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ASDの無職率・失業率について

Wikiの「自閉スペクトラム症の人の雇用」によると、ASD当事者の無職率・失業率は、他の障害群と比べても際立って高いことが、複数の国の調査から報告されています。

イギリスでは2021年時点で約71%のASD成人が無職とされています。

アメリカでも調査によって差はあるものの、39%〜85%が失業状態にあると報告されています。

国連の推計では、世界全体で見てもASD当事者の就業率は約20%前後です。
ヨーロッパの研究では失業率が76〜90%に達するという報告もあるとのことです。

このASDの無職率の数値から考えると、「ASDの6〜8割が安定した職に就いていない」というのはおおむね間違ってはいないのではないでしょうか。

日本のASDの人の無職率・失業率は?

では、日本の場合はどうなのでしょうか。

日本ではASD単独の無職率・失業率を示す公式な全国統計は探してみたのですが、無かったです。

でも、世界のASDの人の無職・失業率を参考にすれば、ある程度日本も同じような状況なのではないでしょうか。
いや、むしろ日本の方が高い可能性は十分にあると思います。

何故なら、世界に比べて一度脱落したら元のレールに戻ることが容易ではない社会だから。
さらに、言えば発達障害の人に対する理解やサポートが日本は他の国に比べて遅れているからです。

よって個人的な予想は、イギリスやアメリカよりも高い70~80%と予想します。

一応、日本国内の研究を見てみると、精神科クリニックや支援機関を利用しているASD成人のうち、およそ半数前後が無職、もしくは安定した仕事に就けていないという報告がいくつかあります。

働いている人がいたとしても、短時間勤務や非正規、福祉的就労にとどまるケースが多いのが実情とのことです。

また、ASDを含む「発達障害者全体」を対象にした就労データでも、一般の人と比べて就職率が低く、就職しても長く続かない人が多い傾向がはっきりしています。

こうしたデータを総合すると、日本においても「ASDの人の多くが、長期的に安定した職に就くのはかなり難しい」と言ってしまっても、大きく外れてはいないように思います。

ASDの無職・失業率が高い理由

ASDの人の無職率や失業してしまう割合が高い原因は何でしょうか。

個人的には、圧倒的に対人関係がうまくいかないことが理由だと思っています。
後は、ASDの人は適職でないと難しいとか、職場環境に適応できないというようなことでしょうか。

能力の問題では説明できない現実

ASDの人の失業率の高さは、「知的能力の低さ」だけでは説明できないと言われています。

実際、ASD当事者の約半数は平均以上の知能があり、身体的な障害もないです。

それにもかかわらず、

  • 面接という「社会的パフォーマンス」を強く求められる選考過程
  • 職場に存在する暗黙のルールや空気読み
  • 感覚過敏(音・光・匂いなど)への配慮不足
  • コミュニケーション上の些細なズレが致命傷になる人間関係

上記のような理由により、就職以前に排除されたり、就職後に離脱せざるを得ない状況が頻発しているようです。

「能力が低いから働けない」のではなく、「ASD特性が、現在の職場環境と極端にミスマッチである」という問題が、無職率の高さを生んでいると考えられるのです。

ASDと日本社会との相性の悪さ

この問題は、日本ではさらに深刻になりやすいです。

日本の職場は、

  • 曖昧な指示を察する力
  • 雑談・同調・空気を読む能力
  • 失敗を許さない評価文化
  • 「普通」を前提とした集団主義

といった要素が強く、ASD特性を持つ人にとって極めて不利な環境になりやすいです。

さらに言えば、発達障害という概念自体が社会に浸透していない。
当事者は「努力不足」「性格の問題」として扱われてきた。

その結果、自己肯定感を大きく損なった状態で社会に出ざるを得ず、就職しても早期に崩壊してしまうのです。

無職率の高さは「個人の失敗」ではないということ

ASD当事者の無職率・失業率が高いことは、

  • 本人の怠慢
  • 能力不足
  • 社会性の欠如

といった個人の問題ではなくASD特性を前提に設計されていない社会構造の問題なのです。

まとめ

今回は、ASDと無職率についてお伝えしてきました。

個人的な体験から考えても、ASDと対人、そして職場との関係は本当に難しいと感じます。

私自身も、初めて就職してから、わずか4か月で辞めざるを得なくなりました。
理由は、人間関係がすぐに崩壊してしまったこと、そして、まったく自分の適職ではなかったことです。

さらに言えば、「社会で働く」ということが、そもそもよく分かっていませんでした。
会社という組織についても、自分の立場や状況を、まったく理解できていなかった。

学生の延長線上のような感覚で、ただ漠然と「そういうものなんだ」と捉えていただけでした。

現在は、以前に比べれば、発達障害についての理解や支援も、多少は広がってきました。
それでも、給料の低い障害者雇用でなければ、周囲の理解がほとんど得られない、という現実があります。

発達障害を隠して働いたとしても、自分の能力や適性に合った仕事であれば、活躍できる可能性はあると思います。

ただ、そこにたどり着くまでには、働く前段階での専門家や、サポートしてくれる人の存在が、どうしても必要です。

現代社会では、そうした支援が、まだ十分に得られにくい。
だからこそ、ASDの人の無職率や失業率が高くなっているのだと思います。

本当に、ASDだと判明した時点で、公的機関がもっと積極的にサポートしてくれる体制を、国として整えてほしいと、心から願っています。

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