発達障害のある子どもの学校・学級選びは、保護者にとって大きな悩みの一つです。
子どもの特性や困りごとに合わせた最適な学習環境を提供してあげたいと思う一方で、普通の子どもと同じように社会性や友達関係を学ばせたいという気持ちもあります。
しかし、どの学校や学級が子どもにとって良いのか、どのように選ぶべきなのか、分からないことも多いでしょう。
この記事では、発達障害のある子どもの学校・学級選びについて、以下の内容を紹介します。
- 小学校の学級の種類とは?
- 学級のメリット・デメリット
- 学級を選ぶポイント
この記事は、NHKテレビ「すくすく子育て」の「私の子育て これでいい?~発達障害のある子どもの小学校選び~」という番組を参考にしています。番組では、発達障害のある子どもの保護者や専門家の方々の経験や意見が紹介されていました。
小学校の学級の種類とは?
小学校の学級は4つあります。
- 通常学級
- 通級指導教室
- 特別支援学級
- 特別支援学校
通常学級は主に、定型発達(特性の無い)大多数の子が学んでいるクラスです。
通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校は、特性がある子や苦手なこと、問題を抱えている定型発達の子など、サポートが必要な子どもが通う学級となっています。
4つの学級には、それぞれの特徴があります。
通常学級
- 1クラス40人(1年生は35人)
- 特性のある子は、担任の先生と相談して配慮を相談する。
- 先生は40人の子を見なければならない為、手厚いサポートは難しいことも。
- また、支援も先生の知識や経験次第であるため、サポートの仕方や内容も難しいことが多々あります。
メリット
- 特性のある子でも、他の子と集団で生活をすることで、普通の社会性が学べる。
デメリット
- 個別の手厚いサポートや支援は期待できない。親や周囲のサポートが必要。
- 子どもが馴染めるかどうかは、その子の特性や性格、周囲の子の理解など、環境に依存します。
通級指導教室
- 発達障害の特性や苦手な科目、困難なことのある子どもが通う学級です。
- 子どもの普段の小学校生活では、普通の子と一緒に通常学級で学びます。
- 1週間に1度、もしくは2週間に1度の間隔で別の教室で苦手なことを学ぶクラスが通級教室となります。
- 通級指導教室は、特別支援学級・学校に比べ、特性や困り感の軽い子を対象としたクラスです。
メリット
- 特性による困りごとや苦手な教科など、集中的に学ぶことで、改善を期待できます。
デメリット
- 通級の授業は、普段通常学級で学んでいる授業時間の代わりにあてられています。
- そのため、通級で抜けた普通級の授業分は、自宅での復習や、宿題の補填などをしなければならなくなります。
- また、通級指導教室は、全ての小学校にあるわけではないです。
- 通っている小学校に通級指導教室が無い場合は、他の学校に通う必要があるのです。
- 通級指導教室がある他の学校への移動時間や環境も考えてあげる必要があります。
特別支援学級
- 特別支援学級は、特性のある子や知的に問題がある子などを対象にしています。
- 特性や困りごとの種類でクラス分けされており、最大8人までの少人数制の学級です。
- 特別支援学級は担任の先生が子どもの生活や学習を担当します。
- 基本的には担任の先生が教科や子どもの特性に合わせた授業内容を決定します。
- 保護者の要望に応じて、特別な授業スタイルで学習することもできます。
- 普段の小学校生活は特別支援学級で過ごします。
- 通常学級で他の子と一緒に交流することもあります。
メリット
- 子どもの特性や問題に対する学習や生活のフォローがあるので普通級に比べ、過ごしやすい。
デメリット
- 普通級の子たちとの触れ合う機会が少なく、友達を作りづらい。
- 少人数制なので、集団生活や社会性を学びずらい。
- 通常学級よりも学習内容が遅れてしまうため、普通級への復帰が難しくなる。
特別支援学校
- 1クラス最大で6人の子どもが通う少人数制の学校です。
- 特性や困りごとのある子のために考えられた学校施設や環境が整えられています。
- 学校の先生も特性や困り感に対する専門的な知識や経験、資格をもつ人が担当しています。
メリット
- 専門的な対応が期待できるので、子どもの特性や困りごとを心配する保護者の方の悩みが解決されやすい。
- 子どもの特性に合った専門的な授業や進路も考えてくれる。
- 長所や得意分野での将来が期待できます。
デメリット
- 普通学級の子との交流が完全に絶たれてしまいます。
- 中学、高校への進学や、普通級への移転をするためには、他の子と馴染むための対策が必要です。
- 学習内容も通常級と異なるため、進学の際には、個別の努力が必要です。
学級を選ぶポイント
発達障害のある子どもの学校・学級選びは、保護者だけでなく、子ども本人の気持ちも大切にしなければなりません。以下に、学級を選ぶ際に参考になるポイントを挙げてみます。
- 何度も自分で学級を見学しに行く
- 学校の雰囲気や指導する先生を確認する
- 自分の子どもの能力を最大限発揮してくれる・指導してくれる学級を選ぶ
- 子どもの希望や意見を聞く
- 専門機関や教育委員会と相談する
何度も自分で学級を見学しに行く
学級を選ぶ前に、何度も自分で学級を見学しに行くことをおすすめします。パンフレットやホームページだけでは、実際の学校や学級の様子は分かりません。自分の目で見て、感じて、判断することが大切です。見学する際には、以下の点に注意してください。
- 授業や休み時間の様子を見る
- 先生や子どもたちと話す
- 学校の設備や教材を確認する
- 学校のルールやカリキュラムを聞く
- 学校の雰囲気や安全性を感じる
学校の雰囲気や指導する先生を確認する
学校の雰囲気や指導する先生は、子どもの学校生活に大きな影響を与えます。
学校の雰囲気は、明るくて活気があるか、暗くて静かなか、などで判断できます。
指導する先生は、子どもの特性や困りごとに対して、どのように対応しているか、どのような指導方針や教育方針を持っているか、などで判断できます。
子どもが学校での居心地が良いかどうかは、学校の雰囲気や指導する先生によって大きく変わります。
自分の子どもに合った学校や先生を見つけることが重要です。
自分の子どもの能力を最大限発揮してくれる・指導してくれる学級を選ぶ
発達障害のある子どもは、一般的な子どもとは異なる能力や特性を持っています。
そのため、一概にどの学級が良いとは言えません。自分の子どもの能力や特性に合わせて、最適な学習環境を提供してくれる学級を選ぶことが大切です。
例えば、以下のような点を考えてみましょう。
- 子どもの得意なことや興味のあることは何か
- 子どもの苦手なことや困りごとは何か
- 子どもの集中力や持続力はどのくらいか
- 子どものコミュニケーション能力や社会性はどのくらいか
- 子どもの自己肯定感や自信はどのくらいか
- 子どもの将来の夢や目標は何か
これらの点を踏まえて、子どもの能力を最大限発揮してくれる・指導してくれる学級を選ぶことができます。
子どもの希望や意見を聞く
学校・学級選びは、保護者だけでなく、子ども本人の気持ちも大切にしなければなりません。
子どもにとって、学校は毎日通う場所です。子どもが学校に行きたくないと思ってしまったら、どんなに良い学校や学級でも意味がありません。
子どもの希望や意見を聞いて、できるだけ尊重してあげましょう。例えば、以下のような点を聞いてみましょう。
- 学校や学級に対する不安や期待は何か
- 学校や学級でやりたいことや学びたいことは何か
- 学校や学級で困っていることや悩んでいることは何か
- 学校や学級で楽しいことや嬉しいことは何か
- 学校や学級で友達はできているか
- 学校や学級の先生はどんな人か
これらの点を聞いて、子どもの気持ちを理解してあげましょう。子どもが学校や学級に対して、ポジティブな感情を持てるようにサポートしてあげましょう。
専門機関や教育委員会と相談する
学校・学級選びは、保護者や子どもだけで決めることではありません。専門機関や教育委員会とも相談することが必要です。
専門機関とは、児童精神科や発達支援センターなどの医療機関や相談機関です。
教育委員会とは、市町村や都道府県の教育行政を担当する機関です。
専門機関や教育委員会と相談することで、以下のような適切なアドバイスが貰えます。
- 子どもの特性や困りごとに対する専門的な診断やアドバイスを受けることができます。
- 子どもの学校や学級の適性や適応度を評価してもらうことができます。
- 子どもの学校や学級の決定権が教育委員会にあることを理解して、協力的に対応することができます。
- 子どもの学校や学級の移転や進学の際に、必要な手続きやサポートを受けることができます。
専門機関や教育委員会と相談する際には、以下の点に注意してください。
- 早めに相談する
- 子どもの特性や困りごとを正確に伝える
- 子どもの希望や意見も伝える
- 自分の希望や意見も伝える
- 相談内容や結果を記録する
まとめ
発達障害のある子どもの学校・学級選びは、保護者にとっても子どもにとっても重要なことです。
子どもの特性や困りごとに合わせた最適な学習環境を提供してあげることで、子どもの成長や幸せにつながります。
しかし、学校・学級選びは、一筋縄ではいかないことも多いです。
自分だけで悩まず、専門機関や教育委員会とも相談しながら、子どもの気持ちを尊重して、最善の選択をしましょう。
この記事が、発達障害のある子どもの学校・学級選びに役立てば幸いです。