発達障害のアスペルガー(ASD)の人は、先延ばし癖(先送り)があるのでしょうか。
asdの当事者としては、確実にその傾向があると感じています。
やらなければならないことがあっても、どうしても行動することができないのです。
自分でも何故だかわかりません。
本当に期日の極限になるまで、先延ばしにしてしまいます。
もしくは、することが出来ずに後悔してしまうことがよくあります。
自分の好きなことや出来る事であれば、先延ばしにすることは無いと思います。
しかし、苦手な事だったり、明らかに不向きなのにしなければならない物事であれば、行動に移すことが容易ではありません。
やりたくない事をしなければならないのは、誰でも大変だと思います。
asdは特に、想像力の欠如やこだわりから、出来ることと出来ないことが極端に分かれてしまっています。
だから、asdはいつまでも自分が難しいと感じていることに対しては、いつまでも手につかない状態なのです。
また、計画性の無さ、未来を考えられない、優先順位を付けられない等の発達障害特有の症状が関係していると思われます。
今回は、発達障害のアスペルガー(ASD)の人の先延ばし癖についてお伝えしていきます。
アスペルガー(asd)の先延ばし(先送り)癖の原因について
アスペルガーの人は、先延ばし癖になりやすいことがあります。
先延ばし癖とは、やるべきことを後回しにしてしまうことです。
例えば、宿題やレポートや掃除、メールやラインの返信など、「自分が重要ではない」と感じていることに対しては、「後でもいい」と思ってしまいます。
そして、いつの間にかやらなくなる、もしくはぎりぎりまで放置してしまいます。
先延ばし癖は、誰にでもあることですが、アスペルガーの人は、普通の人よりも強く影響を受けることがあります。
なぜなら、アスペルガーの人は、以下のような特徴を持っているからです。
計画性が低い
アスペルガーの人は、自分の行動や時間を計画することが苦手です。
そのため、やるべきことの優先順位や期限や手順を考えることができなかったり、計画通りに進めることができなかったりしてしまうのです。
また、やるべきことの量や難易度を見積もることができなかったり、予期せぬトラブルに対応することができなかったりすることがあります。
モチベーションが低い
asdの人は、自分の興味や関心のないことに対して、とてもモチベーションが低いです。
やるべきことに対して、やる気や意欲や楽しさを感じることができなかったり、やり始めることができなかったりすることがあります。
さらに、やるべきことに対して、不安や恐怖や嫌悪を感じることがあったり、やり続けることが辛くなってしまうのです。
柔軟性が低い
アスペルガーの人は、自分の考え方やルールに固執する「こだわり」があります。
しなければならないことに対する「自分のやり方や条件や基準」を変えることができなかったり、他人の意見や助言や指示を受け入れにくいのです。
また、やるべきことに対して、自分の能力や環境や状況を把握出ない、適切に調整することが難しいこともあります。
集中力が高い
asdは、自分の興味や関心のあることに対して、とても集中力が高いです。
そのため、自分の好きなことに夢中になってしまい、やるべきことを忘れたり、気がつかなかったりすることがあります。
また、自分の好きなことに時間を使いすぎてしまった結果、やるべきことに時間が足りなくなってしまいます。
また、既に疲労してしまい、他の事に対するやる気やモチベーションが無くなっているのです。
これらの特徴は、アスペルガーの人にとって、先延ばし癖を引き起こす要因になってしまいます。
アスペルガー(asd)の先延ばし癖の末路
asdの先延ばし癖によって、以下のような問題を引き起こすことがあります。
成績や評価の低下
先延ばし癖の末路の一つは、成績や評価の低下です。
やるべきことを先延ばしにすると、期限に間に合わなくなることがよくあります。
期限に間に合わないと、学校や仕事や家庭で、先生や上司や家族に怒られたり、注意されたりすることになります。
それが繰り返されると、自分の信用や信頼がなくなってしまい、人から頼られなくなったり、見下されたりすることになります。
また、先延ばしし続けると、質の良い仕事や勉強をする時間がなくなります。
質の悪い仕事や勉強は、成果や効果が出ないことが多いです。
成果や効果が出ないと、学校や仕事や家庭で、成績や評価が低くなってしまいます。
自信喪失にもつながり、自分の能力や価値に自信が持てなくなります。
ストレスや罪悪感の増加
物事を先送りにしてしまうことで、やらなければならないことが溜まったり、焦ってしまいます。
ストレスや罪悪感の増加してしまいます。
やらなければならないことが溜まると、どこから手をつけていいかわからなくなったり、どうやって終わらせられるか不安になったりします。
不安になると、心身の健康に悪影響を及ぼしたり、パニックになることもあるのです。
先送りは、自分や他人に迷惑を掛けることもあります。
その結果、自分や他人に申し訳ないと思ったり、謝らなければならないと思ったりします。
申し訳ないと思うと、気分が落ち込んだり、自分を責めたりしてしまうのです。
自己肯定感が低下したり、自分に自信が持てなくなってしまいます。
人間関係の悪化
先延ばし癖があると、メールやラインなどの返信や連絡をしない、放置などしてしまいます。
返信や連絡をしないと、相手に無視されていると感じさせたり、不快にさせたりすることがあります。
それが続くと、相手に失礼だと思われたり、嫌われたりする可能性もあります。
その結果、家族や友人、恋人、同僚や上司などとの人間関係が悪化したり、孤立や孤独を感じてしまいます。
アスペルガー(asd)は、人とのコミュニケーションや交流が苦手な傾向があります。
メールやラインの返信内容を考えすぎてしまい、めんどくさくなって、放置や先延ばしにしてしまうのです。
asdの先延ばし癖を対策・改善するには
asd当事者として個人的に感じるのが、するべきことの明確化、目標達成の意味などが重要だと感じています。
asdは、自分で考えて物事を柔軟に解決することが、想像力の欠如から苦手でです。
ですので、マニュアルが絶対に必要だし、スケジュールや規則が無いと何をしていいのかわからなくなってしまいます。
その過程には、アスペルガーの特性である「物事を全て1つ1つの事象として考えてしまう」傾向があるからです。
頭の中で、全ての要素をまとめて考えることが苦手です。
なので、やるべきことの行動を明確にしないとダメです。
そうしないと、なかなか頭が働かず、めんどくさくなる→先延ばしの思考になってしまうのです。
やるべきことを小さく分割
やるべきことが大きくて難しくて面倒くさいと感じると、やり始めることができないことがあります。
そこで、やるべきことを小さく分割して、一つずつこなしていくことがおすすめです。
小さく分割することで、やるべきことが具体的になり、やりやすくなります。
・テーマを決める
・資料を集める
・アウトラインを作る
・本文を書く
・添削を受ける
・修正する
・提出する
これらの分割されたタスクを、一つずつチェックリストにして、完了したらチェックを入れるようにしましょう。
チェックリストを作ることで、自分の進捗状況がわかりやすくなり、モチベーションが上がります。
もう1つ、物事をした後の結果、どうなるかわかりやすくした方が良いと思います。
ASDの人は、自分の興味や関心のあることに対しては、高いモチベーションを持ちます。
しかし、そうでないことに対してのやる気が物凄く低いです。
本当にカメのように行動が遅すぎます。
なので、やるべきことに対して、自分にとってのメリットや目的や価値を明確にすることが大切なのです。
例えば、メールやラインの返信をすることに対して、自分にとってのメリットや目的や価値は何でしょうか。
相手との信頼関係を築くことでしょうか。
メールやラインの返信をすることに対して、自分にとってのメリットや目的や価値を考えると、やる気や意欲が湧いてくるかもしれません。
また、メールやラインの返信をした後に、どんな結果が得られるかを想像すると、楽しみや期待が高まります。
やるべきことに対するモチベーションを高める
asdは、やるべきことに対して、やる気や意欲、楽しさを感じることができないと、先延ばしにしてしまうことがあります。
そこで、やるべきことに対するモチベーションを高めることが重要です。
モチベーションを高める方法は、人によって異なりますが、以下のようなものがあります。
・やるべきことの意義や目的を明確にすること
・やるべきことに対する自分の関心や興味を見つけること
・やるべきことに対する自分の能力や成長を認めること
・やるべきことに対する報酬や褒賞を設定すること
・やるべきことに対する仲間や支援者を見つけること
asdは興味や関心の幅が狭く、苦手な事や不向きな物事に対しては、一歩踏み出すことが本当に難しいです。
ですので、気持ちを上げることが大切だと思います。
優先順位を考える
asdの人は、物事の優先順位を決めることが苦手な傾向がある人もいます。
何が自分にとってしなければならない事なのか、想像力の欠如から未来を考えられず、優先すべきことが曖昧になってしまいます。
そこで、タスクの重要度や緊急度を評価するために、アイゼンハワーのマトリックスという表があります。
タスク | 重要度 | ||
---|---|---|---|
重要 | 非重要 | ||
緊急度 | 緊急 | すぐにやる | 他に任せる |
非緊急 | 計画的にやる | やらない |
この表は、タスクを「重要で緊急」「重要で非緊急」「非重要で緊急」「非重要で非緊急」の4つのカテゴリに分けることができます。
この表に従って、タスクを「すぐにやる」「計画的にやる」「他に任せる」「やらない」の4つの行動に分類することができます。
この方法を使うことで、タスクの優先順位をつけることができます。
まとめ
アスペルガー(ASD)の人の先延ばし癖(先送り)について書いてきました。
先延ばし癖は、誰にでもあることですが、ASDの人は、普通の人よりも強く影響を受けることがあります。
なぜなら、ASDの人は、計画性やモチベーションや柔軟性や集中力の低さという特徴を持っているからです。
これらの特徴は、ASDの人にとって、先延ばし癖を引き起こす要因になってしまいます。
そして、先延ばし癖は、ASDの人にとって、成績や評価の低下やストレスや罪悪感の増加や人間関係の悪化という問題を引き起こすことがあります。
そうならない為に、
・やるべきことを小さく分割してチェックリストにする
・やるべきことのメリットや目的や価値を明確にする
・やるべきことに対するモチベーションを高める方法を見つける
など、やるべきことを具体的にしやすくしたり、自分の関心や興味、モチベーションを上げる必要があるのです。
先延ばし癖があると、後々本当に大変な目に合ってしまいます。
仕事や勉強、人との連絡だけでなく、病気の放置や重要なことでも後回しにしてしまい、手遅れになることもよくあります。
asdは、想像力の異常な欠如によって未来を考えることが非常に苦手です。
この特性は、人生を送る上で非常に問題すぎるハンデだと個人的に感じています。