発達障害(ASD)の人と会話をすると、話し方が変だったり、会話がかみ合わなかったり、話を聞かない、などの印象を受けると思います。

ASD(自閉症、アスペルガー)は、生まれた時点で脳に欠陥があり、コミュニケーション問題を抱えています。
そのため、話が苦手だったり、会話が成立しないのは仕方がないことです。

しかし、そうはいってもASD当事者がコミュニケーションの問題を改善できないと、人生は終わります。

ASDの私が人生で一番実感したのは、人とコミュニケーションが取れないのは、生きていく上で致命的なハンデだということです。

特に現代社会において、学校や会社で人と円滑な会話ができないと、あっさりとのけ者にされ、一人ぼっちになってしまいます。

また、年齢が上がっていくにつれ、人から避けられたり、嫌われたりする期間は短くなります。

私の体験では、学生時代は数ヶ月くらいですが、社会人になったら、1日~1ヶ月以内に変な人と思われ、人間関係が崩壊しました。

さらに、頭のいい人と会話すると、すぐにヤバイ奴とわかるのか、数回言葉を交わしただけで交流が断絶します。

私は、何でいつも人と会話が上手くいかないのか、と思っていました。
原因は、30代後半になって受けたWAIS-Ⅲの結果、広汎性発達障害(ASD)と全IQ60台が理由でした。
ASDのコミュニケーション障害だけでなく、軽度知的障害のIQのため理解力がなく、頭が悪いので、会話が変になってしまうのです。

発達障害(ASD)のコミュニケーション問題は、本当に酷いハンデだと感じます。

では何故、発達障害(ASD)がコミュニケーション問題を抱えてしまうのでしょうか。

発達障害のASD(自閉症スペクトラム アスペルガー症候群)が、人との会話を困難にする原因を調べてみました。
私の体験談とともにお伝えしていきます。

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リアルタイムでの会話ができない

発達障害のASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)の人は、瞬間的な受け答えが非常に苦手です。

2つ以上の物事を同時に処理できない「マルチタスクの困難」があるからです。
そのためASDは会話を頭の中で、まず言葉を音として記憶し、次に内容を理解する、という2つの工程に分けなければなりません。

定型発達(健常者)であれば、特に気にせず発音された言葉を瞬時に理解できるようです。

しかし、ASDはマルチタスクができず、1つのことに集中してしまうシングルフォーカスもあります。
そのため、リアルタイムで行う瞬間的な会話の受け答えが、上手くできないのです。

瞬間的な受け答えができない状態は、2つあります。

1つは、会話の内容を理解せず、適当にすぐに返答してしまうこと。

もう1つは、言葉の内容理解するのに時間がかかり、返答が遅すぎてしまうことです。

例として、私が昔、リアルタイムでの会話が失敗した出来事をあげます。

20年位前に、パン工場でアルバイトをしていたときのことです。
女性従業員(おばちゃん)がほとんどで、男は私ともう一人の2人だけでした。
そのため、着替えは倉庫みたいなところでしていました。

たまたまその男の人と出勤時間が重なった日がありました。
深夜のアルバイトだったので、着替えるための倉庫は窓からの月明かりくらいで、暗かったのです。

私は彼よりも少し先に着いていたのですが、蛍光灯のスイッチを付けずに着替えていました。

もう一人男の人は暗いのが嫌だったのか、電気をつけるために、スイッチの場所を聞いてきました。

私はスイッチの場所を把握していたのですが、何故かとっさに適当なことを言って、全く違う場所を言ってしまいました。

男の人は私が教えた場所(ドアの横)を探してもまったく見つからず、他を手探りでスイッチを見つけました。
そして「全然違うじゃん(笑)」って言われました。

今思うと、「聞かれたことをすぐに返答しなければならない」という焦りから、会話の内容の意味を理解していませんでした。
言葉を音としてとらえていただけで、内容を理解して、正確に伝えるという工程ができていなかったのだと思います。

しっかりと一つ一つ言葉の意味を吟味して、返答が遅くてもいいからゆっくり考えて答えるべきでした。

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次に、発達障害(ASD)が言葉のやり取りに遅れることについてです。

先ほど説明したとおり、「言葉を1度音として記憶→その記憶したものを理解する」という工程を踏むため、健常者より会話に時間がかかります。
そのため、定型発達(健常者)ができるスムーズな会話のキャッチボールが上手くいかないのです。

これは本当に実感します。
私は心の心療内科に定期的に通っているのですが、そこでの医師との会話で、私自身、受け答えのテンポが非常に遅いと感じていました。

たまに早く答えなければならないと感じることがあり、言葉にするのですが、それは自分が言いたいことではないのです。
適当に思いついた1つのことを、焦って言ってしまって、変な風にとらえられたりして、恥ずかしい思いをしてしまいます。

また、私は人とのコミュニケーションが非常に苦手で、言葉にしてうまく表現できません。
さらに理解力がないため、少しでも長い話の場合、会話の受け答えが困難になります。

そのため、医師に相談事や言いたいことがあるときは、事前に考えた内容を文章としてプリントアウトし、その紙を渡してコミュニケーションを図っています。

長い話を理解することが困難

発達障害のASD(自閉症、アスペルガー)は、マルチタスクの困難や想像力の欠如などから、長い話が苦手です。

長い話とは、長時間の会話という意味ではありません。
もちろんASDは、定型発達の人と比べれば、長時間の会話が苦手なことは、脳の欠如上あります。

長い話とは、複数の意味を持つ長いフレーズのことです。

例えば、「明日は学校の給食が臨時でお休みなので、お弁当を持参してくるように」という長いフレーズのある話があります。

このような2つ以上の意味を持つ言葉を続けざまに言われると、ASDの脳はタスク処理が間に合わず、理解が困難になります。

普通の人であれば、「給食がでないから弁当を親に頼んでおこう」と思うと思います。

しかし、発達障害(ASD)は、明日学校の給食が休みなのか、また何でだろう?とまず考えてしまいます。

そして次のお弁当が必要と言われたことを聞いていない、忘れてしまうのです。

これは、私が中学生のときに、先生が前日の終業ホームルームで言っていたことです。
そして私は、見事にお弁当を忘れてしまいました。

クラスでは私の他にもう一人お弁当を忘れた人がいました。
しかし私は、クラスで特殊な存在として認識されており、お弁当を食べていない光景が注目されていました。

私は席にジッとすわって耐えていました。
先生もお弁当を持ってきていたのですが、特に私に声をかけたりはしませんでした。
先生自身もどうしたらいいのか、わからなかったと思います。

で、もう一人お弁当を忘れた人は、隣の人におにぎりやおかずなどをわけてもらっていました。

会話が成立しない

発達障害(ASD)の人は、自分が興味がある話や理解できる会話だと、一方的に話してしまう傾向があります。

逆に、つまらない話や聞きたくないことには、適当な返答だったり、無視してしまいます。

ASD(自閉症、アスペルガー)は特性上、好きなことや興味のある話には、異常に夢中になってしまいます。
そのため、元から会話に必要な能力がないのに、1つの興味があることに固執してしまい、周りもみえなくなっています。

想像力もないので、自分の会話で相手がどう感じているかも全く考えていません。

そのためASDは、会話が上手くいかず、嫌われたり、変な人と思われてしまうのです。

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冗談や比喩が理解できない

ASDは、言われた言葉の単語をそのままの意味で受け取ってしまいます。
これは、マルチタスクの困難も影響しているのですが、やはりASD特有の「想像力が著しく欠如」していることが原因だと思います。

普通の人が、バカにしたつもりで言ったわけでもないのに、ASDはからかわれたと感じてしまい、怒ったり、悲しんだりします。
そして的外れなことを言って、相手を困らせるのです。

また、曖昧な言葉も理解することが困難です。

例えば、仕事で「今日早く上がってもいいよ」と言われても、何時なのか正確な時間を言ってくれないとわかりません。

ASDには、具体的な時間を言わないと通じないのです。

人を信じやすい

ASDは、言葉をそのまま受け取ってしまうため、言われたことが間違っていても、嘘だと見抜けません。

物事を多角的にとらえることができず、また言葉の裏を想像できないため、人を信じやすく、騙されやすいのです。

私は、人生で何度も騙され続けました。

床屋では、無料の試供品を普通値段で買わされたり、チンピラに道を尋ねられてそのまま車に乗せられて拉致されて金品を巻き上げられたり(その後何度も恐喝の電話がかかってきた)、小学校ではじゃんけんでみんなグーを出すと言っていたに騙されて負けて、できないことをやらされたり、アフィリエイトの教材やコンサルに騙されたり、投資詐欺の電話に騙されかけたり、他にもたくさん書ききれないほどの騙され経験があります。

今では「もう絶対に騙されてなるものか」と心には思っています。
しかし、いざ騙される環境におかれると、そんな思いは忘れていているのです。

少しのひっかけや、知らない物事の場合、絶対に引っかかってしまいます。
一度体験して痛み目に合って経験値を積まないと、騙されてしまうのです。

まとめ

定型発達の人が発達障害(ASD)の人と会話すると、返事が適当だったり、意味の分からないことを言っていたりすると思います。

ASDの心理では、相手との会話をスムーズにしようと気を使って焦っているか、想像力がなく視野が狭いので、思いついた1つのことを言ってしまっているだけなのです。

そのようなときは、ゆっくりでもいいので、しっかりと考えてから返答してもらうようにしてください。

ASDは2つ以上のマルチタスクができないだけでなく、多角的な思考や相手の立場に立って考えるなどが非常に苦手です。
ですので、重要な話や、正確な受け答えをしてもらいたいときは、時間をかけてコミュニケーションをはかってあげてください。

発達障害(ASD)当事者の対策方法としては、自分はコミュニケーションが苦手だということを常に自覚しておくことです。

しかし、定型発達(健常者)の人にいきなり、「私は発達障害のASD(自閉症、アスペルガー)なので、会話が上手くできなくても気にしないで」と言っても、避けられてしまいます。

理解のある人や環境でなら大丈夫ですが、普通のコミュニケーションの場で障害のことを言っても差別されるか、無視されてしまいます。

それほどに、会話が上手できないと生きていけないのが現代社会なのです。

ですので、ASDは言葉に気をつけなければなりません。
会話はゆっくりでもいいので、変に思われない言葉を考えた方が無難です。

また会話をするときは、聞き手に回って相づちを打っているだけでいいと思います。
暗い奴とか、つまんないと思われてしまうかもしれませんが、特殊で変な人認定されるよりかは全然マシだと思います。

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