親が子供に発達障害の事実を伝える時期はいつが適切なのでしょうか。
子ども自身の特性を話すタイミングを間違えると、その後の成長が難しくなる場合があります。
発達障害は、子供時代は特に理解とサポートが重要です。
個人的に親の手が届かない、学校の先生のサポートが十分にできなくなる時期が適切だと思っています。
発達障害の特性は人によってはプラスになる場合もありますし、必要以上に悲観になる必要はないです。
ですが、「発達障害がある」事実を子ども(本人)に伝えることは、勇気がいると思います。
本人がショックを受ける可能性もありますし、親子関係にも影響があるからです。
また、発達障害の告知時期を遅らせて失敗してしまうと、本人が今まで生きずらかった理由がわからず、自己肯定感が失われ続けます。
発達障害を受け入れて、自分が苦手なこと・できないことを理解して「失敗をするのは仕方がない」と、自己肯定する必要があるのです。
そのため、発達障害を本人に伝えるタイミングには気をつけなければなりません。
今回は、子ども(本人)に発達障害を認識してもらう時期についてお伝えしていきます。
発達障害を伝える時期(タイミング)
子ども(本人)に発達障害を告知するタイミングとして、中学校卒業~高校入学時期の15歳が一般的な目安となっています。
これは、アメリカ小児学会の医療行為の意思決定ガイドラインが15歳となっているからです。
日本では医療機関によってまちまちですので、アメリカを基準に考えるのは違うと思われるかもしれません。
しかし、発達障害に関して日本はアメリカに30年遅れているといわれています。
アメリカは、1973年に障害のある子どもへの支援法が制定されています。(1990年に法改正され、様々な支援が増加)
一方日本は、2004年に発達障害者支援法が設定され、障害者基本法の改定されました。
発達障害の支援や理解に対してアメリカは日本よりも進んでいるので、参考にしてみるのもいいと思います。
2番目の適切な時期として、小学校卒業~中学校入学時期の12歳とされています。
発達障害に理解がある中学校を選んだり、特別支援学級のある中学校に進学するためです。
中学生の頃は、一番多感的な時期です。
本人が発達障害に気づいていないと、変な言動や行動をとってしまいがちです。
そのため、イジメや差別のターゲットになりやすいのです。
本人が発達障害と自覚し、周囲のサポートや理解を得て、中学の難しい時期を乗り切るべきです。
3番目の適切な時期は、「本人が周りの子と自分は違う」と違和感を感じたときです。
発達障害と知らされずに、普通の子どもと一緒のクラスで勉強や生活をしていると、「明らかに自分は劣っている、または変だ」と気付くことがあります。
それでも本人は、発達障害が原因であることがわからずに、耐えてしまい、自己肯定感が失われていきます。
私が子どもの頃に起きた悲劇があります。
お祭りがあったときのことです。
クラスの先生が朝礼か何かのときに、「昨日お祭りに行った人~」と言って、ほかの子はみんな元気に手を挙げて返事をしていました。
私はお祭りに行っていなかったので、手を上げなかったところ、それが目立ってしまい、「こいつん家貧乏だから」とか言われて泣きながら帰った覚えがあります。
他にもお祭りに行っていない子はいたと思いますが、周囲の空気を読んでみんな手をあげていました。
私は自分が発達障害と気付かずに、バカ正直でした。
そして、それ以降、よく泣かされた記憶があります。
また、プールの司会を一人決めるために、委員の中でジャンケンをすることになりました。
一人のあたまのいい子が、一人のターゲットに司会をやらせようとしました。
みんなグーを出すからと言って、その人だけチョキを出すように耳打ちをしてきました。
その言葉を信じて私もグーを出したのですが、ほかの人はみんなパーを出していました。
結局騙されたのは私で、プールの司会をやらされることになりました。
しかし、発達障害(判明したのは30代後半)の私にプールの司会は無理でした。
事前に打ち合わせはありましたが、当日になるとマイクで何を喋ったらいいのかわからず、大勢の前で適当なことを言っていました。
そして、周囲が騒がしくなり、すぐに交代させられたのです。
自分が恥をかいただけでなく、大勢の保護者や生徒たちにも迷惑をかけてしまったのです。
当時は発達障害という言葉はなく、理解も無かったので仕方がないとは思います。
しかし、現在は発達障害について理解が進んでおり、先生や周囲のサポートも期待できます。
そして本人が生きずらさを自覚していたら、発達障害という事実を教えてあげることで、失敗を減らしたり、出来ないことを無理して行う必要がなくなるのです。
本人が普通の子と違うと感じる・自覚するのは、大抵小学校の3~4年(9~10歳)だと思います。
親も、子どもの忘れ物が多かったり、他の子とコミュニケーションがとれなかったりして心配になります。
ですが、この年齢の子どもに発達障害を伝えても、受け止めるのは難しいと思います。
本人が理解し受容できるようであれば、年齢にかかわらず説明してあげるべきかもしれません。
発達障害を自覚することで、悲劇を回避することもできます。
ただ、この年代は、親や教師などが理解者となり、サポートすることが重要です。
本人が学校で困っていたり、無理をしている状況であるかどうか見極め、伝えるかどうか判断しましょう。
まとめ
発達障害と子どもが診断されたら、絶対に本人に告知しなければならないということはありません。
一番大切なのは、本人が普段の学校や生活の中で不自由を感じているかどうかです。
発達障害であっても、症状が軽かったり、運が良い人は、定型発達の子と馴染んでいけます。
本人に問題がない場合は、無理に告げる必要はありません。
発達障害という言葉は本人の受け取り方次第で、ショックの度合いが違います。
子どもが多感な時期に発達障害を告げて、非行にはしったり、親子関係にひびが入ることもあります。
ですので、普通級でも上手く生活しているようであれば、リスクを犯してまで告げる必要性はありません。
一般論として、15歳と12歳が子どもに発達障害を告知するタイミングとお伝えしました。
しかし、本人が生きずらさを感じていて、困っている状態の時が、発達障害を伝えるタイミングであると私は思います。
「何で自分だけ上手くいかないのか」と子どもが思い悩んでいるときに、発達障害という理由を告げてあげることによって、心が軽くなることもあります。
そして、支援を受け入れやすくなります。
発達障害の事実を子どもに伝えるときは、悲観的にならないようにしてください。
悲しげな表情を見せたり、泣きながら言われると、子どもは発達障害が酷い精神障害だと認識してショックを受けたり、混乱してしまいます。
あくまで特性(特徴)があるので、気遣いが必要など、ソフトな感じで伝えてあげてください。
逆にポジティブに「人一倍頑張れば、問題はない」「そのうち治る」「やればできる、努力でなんとかなる」などの肯定的コメントもよくありません。
これらは基本的に、定型発達用のメンタル向上(改善)の意識改革です。
発達障害の子がこれらのことを素直に受け入れても、先天性の脳の欠如(未発達)が原因なので、全く上手くいきません。
大事なのは、発達障害の子の特性(脳の欠如)を正確に伝えることです。
脳の問題によって、「自分が何ができて何ができないのか」を正しく告げる必要があるのです。
そして最適な対処方法やサポートについて話し合ってあげてください。