asd(自閉スペクトラム症・アスペルガー)の人は、純粋で素直な印象があると思います。
想像力の欠如や視野の狭さから、自分の思ったことをそのまま言葉にしてしまうからです。
ある意味、バカ正直であり、わかりやすい人間だと言えます。
でも、人生を生きていく上ではこの上ないハンデだと思います。
学生時代には、与しやすい人と思われて、いいように操られる。
社会人になると、特殊な人間として見られてしまう。
全て発達障害asdの私が経験してきたことです。
asdは思ったことをそのまま何も考えずに、ストッパーも無く、そのまま言葉にしてしまいます。
それが、間違っていたり、嘘であってもです。
後になって、「嘘をついてしまった」と後悔するのですが、訂正は難しい状況になってしまっていることもよくあります。
とにかく、相手や周囲の気持ちを全く考えられないので、嘘でも本当でも、相手を驚かせる、傷つけるようなことでも、何でも言ってしまいます。
asdでも個人差があるので、誰でもそのようになるとは限りません。
私の場合は、沈黙や相手に間を与えてしまうのが申し訳ないと感じてしまい、思ったことをそのまま言ってしまいます。
asdの人は「これは言ってはいけない」という思考が極端に低いと思います。
でも意識的に嘘つく訳ではありません。
本当に自分の心が思ったことを、そのまま素直に表現しているだけなのです。
それが、自分のプライドを守る為だったり、恥ずかしい思いをしたくない、良かれと思ったことなどが嘘に繋がってしまうのです。
そもそも嘘をつきたくてついているわけではないし、勝手に嘘になってしまっている、嘘だという認識も薄いです。
無意識に言葉になっているのです。
また、asdの嘘はわかりやすいので、簡単に見破られると思います。
素直で裏表のない言葉を言ってしまうからです。
asdの人は、普段の会話においては、嘘をつくことはあまり無いと思います。
自己防衛や自分が正しいと思ったことに対して、嘘をつく傾向があると感じます。
そこで今回は、asdの人の嘘をついてしまう場面や原因、解決方法を考えていきたいと思います。
ASDが嘘つく状況について
asdの人が、普段の会話の中で、どのような状況で嘘をついてしまうのでしょうか。
asdの私自身の過去の体験や、一般的なasdの人を想定しながら、その場面を挙げていきます。
自己防衛のため
asdの人が、嘘をつく状況で最も多いのが、自己防衛の為だと思います。
例えば、失敗や間違いを隠したい時、自分が悪く見えないようにしたいと思う時があると思います。
恥ずかしい思いをしたくない、嫌われたくない、幻滅されたくないなど。
これは発達障害でなくても、誰にでもある感情だと思います。
でも、asdの人は、特性によって健常者よりも辛い思いや困難な目に合ってきているので、余計に自己防衛本能が強くなってしまうのです。
そもそもasdは、健常者のように上手に嘘を付けません。
自己防衛のためについた嘘でも、簡単に他人に見破られてしまいます。
自然と「頭の中に浮かんだ嘘の言葉がそのまま口に出てしまう」ので、本当と嘘が希薄なのだと思います。
周囲の輪に同調の為に仕方なく
asdの最も苦手としている1つに、集団の輪に馴染むことです。
asdの人は、言葉や行動などで絶対に変になってしまいます。
学校のクラスや、会社内の集団において、絶対に特異な存在として認識されてしまうのです。
孤立したり、避けられるなどの経験をしてきているので、何とか頑張ろうと努力をします。
でも、上手くいは行きません。
それでも少しでも集団の輪に入れるように、嘘をついてしまうことがあるのです。
会話をスムーズに進めたい、周りと調和を保ちたいという願望から嘘をつくのです。
これは、「今、この状況で何を言えばいいのかわからないけど、とりあえず合わせておこう」という心理が働くからなのです。
ASDの嘘をつく原因
ASDの人が嘘をつく原因には、人と上手く話せないことや、感じたことをどう扱っていいかわからない、自分を守りたい、という心理が関係しています。
全てasdの特性や、経験によって自己防衛本能が働くからです。
ここでは、心理的な側面や気持ちの問題について考えていきます。
感情の処理が苦手だから
ASDの人は、感情の処理が苦手な人も多いです。
例えば、自分が傷ついたとき、その感情をどうにかしてコントロールしようとするけど、うまくいかないのです。
そういう時、自分の本当の感情を隠すために、嘘をついてしまうことがある。
でも、それは自分を守るための一つの方法なのです。
本当はもっと素直になりたいけど、それがなかなか、というかかなり難しいです。
対人関係の誤解を避けるため
asdの人は、私もそうですが、とにかく人から誤解されたり、想像と違った人物像として映ってしまいます。
見た目からは予想できない程、変な人によくみられていました。
全てはコミュニケーションが上手くいかないからです。
その様な経験を積み重ねてくると、とにかく「相手の想像通りの人物にならなければ」と偽りの自分を演じてしまいます。
もちろん、asdは嘘が下手でわかりやすいので、年齢が上がるにつれ、その仮初の演技(人物像)はすぐに見破られていきます。
これも、「自分がそうした方が良い」と勝手な判断からです。
視野の狭さや、過去の経験が、その様な思考を作り出してしまっています。
他者の期待に応える為に
自分や他人が持つ「非現実的な期待」に応えようとして、ASDの人が嘘をつくこともあります。
「こんなにできるはずがない」と自分でも思っているけど、失望されたくない、期待を裏切りたくないという気持ちから、できると言ってしまう。
これは、自己評価が低いことや、他人からの評価を非常に重視する心理が影響しています。
実際には、自分の限界を認め素直にならなければなりませんが、それがasdには難しいのです。
ASDの人が嘘をつかないようにする方法
ASDの人が嘘をつかなくてすむようにするには、コミュニケーションで直面する問題にうまく対応し、自分のことを素直に、適切に伝えられるようにサポートすることが大切です。
どうしたらASDの人が自分を偽らずにいられるか、周りがどうサポートすればいいのでしょうか。
1つ1つの会話で、考えるしかない
asdの人は、マルチタスクが苦手です。
なので、会話をしていても、相手の話を理解するだけで精一杯になります。
言葉の裏や、背景などを考えられず、そのままバカ正直に受け取ってしまうのです。
また、言葉を返そうとしても、思い付きがほとんどないです。
だから、自分の思いついた1つの事をそのまま言ってしまいます。
それが嘘であっても、止まらず言ってしまうことがほとんどです。
ではどうすればいいのか。
ASDの私自身が思うことは、「瞬時に返答しない」です。
とにかく相手に合わせてスムーズに会話をしようとする為、そのまま思ったことを言ってしまう。
また、想像力の欠如、視野の狭さなどの関係から、多角的な思考が出来ず、思い付きがほとんどない。
言葉を吟味出来ないので、嘘をついたとしても、それがどれだけの影響を及ぼしてしまうのかの判断もできない。
なので、話す前に、じっくり考える必要があると思います。
asdは嘘をつこうとしてついているわけではないです。
また、嘘だけでなく、話す言葉のほとんどにストッパーはかからない状態です。
ですので、無理やりにでも、10秒くらい考えるとかの間を開けた方が良いと思います。
でも、会話においてそんなことをしている余裕はありません。
だから、asdの人は、「コミュニケーションの欠如」という特性があるのです。
個人的な意見としては、対面の会話ではなく、紙面上(チャットやメール)などでのやり取りがマストだと思います。
自分の言葉の文章を推敲できるからです。
asdの私も、心療内科の先生に、何か言葉を伝えるときはPCで文章を作成して、言葉を吟味して、プリントアウトして渡しています。
どうしても言葉では上手く説明できないし、嘘をついてしまう可能性もあるからです。
嘘をつくつもりがなくても、無意識化で勝手に言葉が出てしまいます。
asdの人には、絶対に周囲の理解やサポートは必須です。
周囲の人が、asdの人との会話において、変なことを言っていたり、嘘だとわかっても、寛大な心を持って欲しいと思います。
ASDの人が嘘をつくことの影響
ASDの人が嘘をつくことは、自分や他人に様々な影響を及ぼします。
嘘をつくことで、信頼や友情や愛情などの人間関係を損なったり、自己肯定感や自尊心を低下させたり、ストレスや不安や罪悪感を感じたりすることがあります。
嘘をつくことは、ASDの人の幸せや健康にもマイナスになることが多いです。
人間関係の破綻
ASDの人が嘘をつくことで、最も深刻な影響を受けるのは、人間関係です。
相手に不快な思いをさせたり、信用を失ったり、関係を断絶されたりしてしまうのです。
ASDの人は、人とのコミュニケーションが苦手なので、人間関係を築くことや維持することが難しいです。
嘘をつくことで、さらに人間関係が希薄になってしまうことがあります。
自己イメージの低下
ASDの人が嘘をつくことで、自分のことを否定的に見るようになることがあります。
嘘をつくことで、自分はダメな人間だと思ったり、自分に自信がなくなったり、自分を責めたりすることがあります。
自己評価が低いことや、他人からの評価を気にしてしまうからです。
嘘をつくことで、自己イメージが低下してしまうことがあります。
まとめ
この記事は、ASDの人が嘘をつくことについて、その原因や対処法を書いてきました。
ASDの人が嘘をつくことについて、少しでも理解や共感が深まったら嬉しいです。
ASDの人は、嘘をつくことで自分や他人を傷つけたり、信頼を失ったりすることを望んではいません。
でも、嘘をつくことが悪いとわかっていても、自分の感情や思考をコントロールできないことが多いので、嘘をついてしまうことがあるのです。
要点をまとめると以下の通りです。
・嘘をつく理由は、自己防衛、周囲の輪に同調、他者の期待に応えるなどの心理がある。
・嘘をつかないようにするには、会話で考える時間を作る、紙面上でやり取りする、周囲の理解やサポートを得るなどの方法がある。
asdの人は、わかりやすいので嘘がすぐにバレます。
でも本人は、言われない限り、嘘がバレていないと思っています。
しかし、気づけば他人から嫌われていたり、避けられてしまってます。
手遅れになって気づくことがほとんどです。
asd本人は、嘘をついたという意識が希薄だし、大事になるとも思っていません。
でも、実際は、「いつの間にか崩壊していた」という状態になってしまいます。
そうならない為にも、自分で嘘をついていると思ったら、後でフォローする。
また、周囲の人がasdを理解して、柔軟な対応をして欲しいと願います。