学校や会社で、周りの人と同じように
コミュニケーションをとれなかったり、
社会生活が上手くいかないと、
「自分が発達障害なのでは」
と疑う人が増えてきました。

昨年、NHKで発達障害キャンペーンを
行なったように、日本でも発達障害の
認知度が上がってきました。

その影響もあり、発達障害の検査を
受ける人が増加してきました。

平成29年度の総務省の発表では、
発達障害の診断にかかる初診待機が
長期化しており、新規に予約してから
3ヶ月以上待たされるとのこと。

そこで、平成30年に初診待機時間を減らす
「発達障害専門医療機関ネットワーク構築事業」
を新設されました。

今年(平成31年)から初診待機を解消する
取り組みが始まったようです。

具体的な内容としては、
発達障害を判断する医師の工程を
減らすというものです。

医師が発達障害と判断するのに必要な情報を、
他の機関に委託することで、
医師の負担を減らして、
診療時間の短縮をはかります。

出典:厚生労働省HP

発達障害かどうかを判断するには、
過去の生育歴、
ウェクスラー知能検査、
行動観察
脳波検査、血液検査
などがあります。

特に必須なのが、
過去の生育歴と知能検査です。

この生育歴の聞きとりを
専門の医師が直接行わず、
医療機関内にカウンセラーを配置したり、
発達支援者センターに任せるのが、
今回の「発達障害専門医療機関
ネットワーク構築事業」の主旨です。

事前に本人の過去の聞き取りをして、
データを専門の医師に渡すことで、
診断までの期間を減らすのです。

医師はウェクスラー知能検査や、
本人の行動を観察し、
事前に受け取ったデータを元に
発達障害かどうかを判断します。

発達障害のASD(自閉症・アスペルガー)、
ADHD(注意欠如・衝動・多動性障害)、
LD(学習障害)は、
普通の人(定型発達)には見られない、
特徴的な症状があります。

そのため、本人の過去(現在)の困り感
(コミュニケーションがとれない、
忘れ物が多い、片付けができない、
不注意が多い、特定の勉強ができない)
によって、ある程度、発達障害かどうかが
判断できるのです。

そして、ウェクスラー知能検査での凹凸や、
知覚統合、作業記憶の値の低さで
判明できます。

本人の言動や態度も発達障害の判断の
基準となります。

この行動観察も、今回の心療短縮解消に
含まれていると思います。

ですが、実際に医師がコミュニケーションや
診療態度を観察しないと
わからない部分もあります。

特に軽度発達障害やグレーゾーンの人は、
見分けが難しく、判断しずらいのです。

何回か病院に通ってもらい、
本人の様子を観察する必要があるのです。

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私が発達障害の初診の検査予約をした時は、
2015年(平成27年)でしたが、
2~3ヶ月待たされた記憶があります。

その頃は、発達障害について
世間的にはそれほど広まってはいなかった
と思います。

それでも3ヶ月近く待たされましたし、
医師に発達障害と判断されるまでは
1ヶ月半くらいかかりました。

今は発達障害の認知度が上がり、
さらに検査を受ける人が増えています。

2019年現在も、初診に3ヶ月以上
待たされる施設が半分以上あります。

今回の初診待機解消改善法がどれくらいの
効果があるのか、気になるところです。

私の予想では、20~40%くらいの
時間(期間)短縮が可能だと思います。

今回の初診待機解消改善法では主に、
本人の状態を事前に把握することです。

つまり、患者の簡易カルテを作る作業を
別の人にやってもらうのです。

医師はカルテを判断材料にできます。

このカルテ作業で短縮できる時間は、
発達障害の症状にもよりますが、
30~2時間と予想されます。

発達障害の症状は健常者(定型発達)
にはない、わかりやすい困り感があるため、
カルテが作りやすいです。

しかし、何度か本人の行動や言動を
観察しないとわからない部分があります。

そのため、時間がかかるアセスメント
(評価・査定)が
「発達障害専門医療機関初診待機解消事業」
に含まれているかどうかが鍵だと思います。

どの程度、医師の負担を減らせる
確定的なカルテを作れるのか。

費用や人員、時間を費やせるのかが
気になるところです。

厚生労働省のHPによると、
発達障害診断待機解消事業の予算案は、
80779千円(約8千万円)。

発達障害専門医療機関初診待機解消事業
1自治体 19489千円(約2千万円)。

発達障害専門医療機関ネットワーク構築事業
1自治体 10309千円(約1千万円)。

となっており、人員的には
それほど期待できないのかもしれません。

発達障害にそれほど詳しくなくても、
本人の聞き取り調査や過去の資料検討をする
アセスメント(評価・査定)のみなので、
特別な資格は必要ありません。

ただ、正確な調査と記述が必要だとは
思います。

どれくらい医師の負担を減らせる
正確なカルテを作り、
効率的な時間短縮の作業工程ができるのか。

1年前から発達障害短縮事業計画が
発足されているので、
期待したいところではあります。

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まとめ

発達障害の診断までにかかる時間を
減らすことは、とても重要です。

特に子供の場合は、
発達障害と判明されたら、
どれだけ幼いころに療育を受けさせて
上げられるかが、分かれ道だからです。

子どもの脳は3歳までに劇的に
成長すると言われています。

脳細胞の影響で性格や成長が
決まるのです。

7歳以降には脳細胞が減少し、
脳の成長が止まります。

それまでに発達障害の特性を
緩和させる療育を受けさせるためにも、
発達障害の早期診断が必須です。

また、発達障害の診断に時間が
かかるだけでなく、
療育現場も施設、人員不足で
混雑しています。

そのため、療育を受けるには、
症状の程度によって専門機関が判断し、
割り振っているのです。

発達障害と認定されていないと
療育を受けられないため、
医療機関での待機解消は急務なのです。

発達障害の人は、
普通の人(定型発達)にはない、
特性(ハンデ)を抱えている為、
物凄く生きずらさを感じています。

発達障害の理解や支援がない環境で
育つと、自己肯定感が育まれず、
その後の人生はボロボロになります。

発達障害と気付かれず人生を過ごした男の末路

発達障害は早期発見、早期療育をして
周囲の理解やサポートが
絶対に必要です。

そのためにも、スムーズな発達障害の
診断を行なう診療構築が必須なのです。

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