NPO法人のKHJ全国ひきこもり家族会連合会が2023年11月5~6日に、引きこもりの支援に特化した法律の制定を国に求める会議を行ったようです。
20年以上の長期引きこもり当事者としては、もっと国が積極的に救済法を制定して欲しいと願っています。
今回のKHJさんの全国大会の話し合いで、少しでも引きこもりが社会復帰できるようになればいいと思います。
今回は、引きこもり支援の基本法の制定についてと、個人的に必要な支援のマニュアル化について書いていきたいと思います。
NPO法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会の基本法について
KHJさんが掲げる引きこもり支援に特化した基本法とは何でしょうか。
調べてみると、2021年に行われたKHJ全国大会の分科会プログラムに記載されていました。
要約すると以下の通りです。
・引きこもり本人や家族や尊厳・人権を守る
・引きこもりの実態調査と何の支援が必要なのか明らかにする
・引きこもり支援を多種多様な機関と連携、情報の共有化
・引きこもりを支援する人材の育成
・引きこもりを支援する予算や施設の充実化
2020年に自民党が引きこもり政策を推進するための基本法を提言しました。
その内容をより充実にする方針を提案するというものです。
2020年に自民党が提言した基本法は以下の通りです。
・引きこもりの意味や実態の全国調査の実施
・引きこもりの社会復帰に向けて様々な機関と連携しサポートする
・引きこもりを抱える家族への支援
・引きこもりを社会全体の問題として考える
ただ、2023年11月8日現在、未だに国会に提出されておらず、ひきこもり支援基本法の制定はされていません。
引きこもりになる原因は人それぞれであり、支援のニーズも全く異なります。
また、引きこもっている年数によって難易度は変わりますし、精神疾患、二次障害など多岐にわたって問題があるので難しいのだと思われます。
引きこもりマニュアルが必要
引きこもっている理由は人によって違うので、対処法も異なります。
ですが、最終目的としては「働いて収入を得る」、「社会的身分を得たい」です。
要するに一般人と同じになりたいのです。
引きこもりの負い目があるから本人、そして社会が拒絶してしまっており、抜け出せないのです。
また、引きこもりから抜け出す方法が全く分からないから、いつまでも引きこもっているのです。
そこで、具体的なマニュアルが必須だと思うのです。
引きこもりの人が、毎日何をすればいいのか、どのように行動すれば一番正しいのか、具体的な行動方針を示してほしいのです。
子供の頃の学校教育では、毎日学校へ行って授業を受けて、勉強をしてテストを受けて、進学するという道がはっきりしていました。
就職しても会社の規則に沿って働いていれば、収入を得る事が出来、道に迷うことはありません。
人生において、何をすればいいのか明確になっています。
しかし、一度引きこもりになって社会のレールから外れてしまうと、抜け出せないのです。
頭が良かったり、運が良い、コネがある、両親が優秀などであれば、引きこもりになっても抜け出せる道を見出せる可能性が高いです。
でも大半の引きこもりは、自分で何をどうしたらいいのかわからないから、いつまでも引きこもってしまっています。
日本では子供の頃からマニュアルのような一貫した教育がされています。
「人と同じでないと恥ずかしい」、「普通とは違う状態になってはいけない」と言うような気持ちを植え付けられています。
その為、自分で考え行動する自立心・主体性が養えていないのです。
引きこもりの専門家の認識として一貫しているのが「ひきこもりは社会に反抗することがほとんど無い」と言います。
確かに引きこもりの人は、マニュアル通りの人生を送っており、目上の人や権威に対する絶対的な信頼があります。
学校や社会の規則を正しく守り、普通に生きていこうとしていました。
ただ、それが引きこもり解決の弊害となってしまっています。
ひきこもりを脱出して社会復帰する明確なマニュアルがないからです。
自民党が検討している「ひきこもり基本法」の制定やKHJさんが求める基本法の制定は、具体性に欠けていると思うのです。
確かに理にかなっているとは思いますが、実際に引きこもりが直って社会復帰できる道筋が無いのです。
今現在は、引きこもりの人に対する、ある程度のするべき道はあります。
引きこもり地域支援センターに相談する。
若者サポートステーションに相談する。
心療内科や精神科に通ってメンタルを改善する。
就労支援事業所に通う。
職業訓練所で資格取得を目指す。
ハローワークに通う。
など、ある程度の道筋はあります。
しかし、具体性やマニュアルはありません。
私も過去に若者サポートステーションに行ったり、心療内科に通院、A型事業所の登録手続きなどはしました。
しかし、どれも失敗に終わっています。
若者サポートステーションでは、ただ単に話を聞いてもらっただけで、具体的なアドバイスはありませんでした。
心療内科では、障害手帳の取得はできましたが、引きこもりを解決する場所ではありません。
A型事業所で働こうとしましたが、母親に阻止されてできませんでした。
マニュアルはないので、どれも自分で考えて行動した結果です。
引きこもり本人が毎日何をどうすればいいのか、ロードマップ的な計画表があればまた違った結果になったのではと思っています。
まとめ
現行では、引きこもり支援専門の法律はありません。
ひきこもりは多種多様であり、問題も異なり、解決は難しいからです。
また、ひきこもりは自己責任であり、仕方がないのです。
ただ、引きこもりになりたくて、引きこもりになった人はいません。
本来であれば、普通の人のような一般的な人生を送るはずでした。
何かのちょっとしたきっかけや、生まれつきの精神問題によって引きこもりになり、抜け出せなくなったのです。
運が悪ければ、誰でも引きこもりになる可能性はあるのです。
引きこもり問題は、積極的に解決を目指していくべきなのでしょうか。
内閣府の調査によると、50人に一人の割合で引きこもりがいるそうです。
ひきこもりの数だけ生産性が下がり、消費も冷え込んでしまいます。
税収の低下やGDPもマイナスになってしまいます。
最近では、海外からの労働者が多く入ってきてます。
しかし、引きこもり問題を解決して、労働力につなげられないのでしょうか。
引きこもり問題は複雑で解決が難しいので、難しいのかもしれません。
20年以上の引きこもりの私も、自分でどうすればいいのかわかりません。
引きこもりを脱出するための具体的なマニュアルがあれば、いいんですけどね。