両親が発達障害、もしくはどちらかにASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥・多動性障害)があっても、子供に遺伝しない理由とは一体何故なのでしょうか。

私の父親は、200%発達障害のASDであり、私にもASDが遺伝しました。
しかし、姉2人には、発達障害が全く遺伝していません。

ちなみに母親は、物を捨てられない、ゴミ屋敷であり、ADHDに片足を突っ込んでいるグレーゾーンの人です。

では何故、私にだけ父親の発達障害のASDが遺伝してしまったのでしょうか。

考えられる要因としては、私は末っ子であり父親が40歳、母親が34歳の頃に生まれた、高齢出産の影響が考えられます。

そしてもう1つ、父親がASDだけでなく、アル中、ヘビースモーカー、ギャンブル、そして不衛生な生活を独身時代に送っていたとみられ、年齢だけでなく、劣等遺伝子状態になっていたのだと思っています。

一般的に、両親の発達障害が子どもに遺伝しない要因とは何があるのでしょうか。
今回は、その謎について考察していきたいと思います。

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親の発達障害が子どもに遺伝する確率

まず、親から子への発達障害の遺伝確率について考えてみましょう。

発達障害、特にASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥・多動性障害)は、遺伝的な要素が強いとされていますが、それが自動的に子どもへと遺伝するわけではありません。

遺伝は複雑で、たくさんの遺伝子が関与しており、親が持っている遺伝子がすべて子供に受け継がれるわけではないのです。
そして、発達障害を引き起こす特定の遺伝子が特定されているわけではなく、多くの要因が絡み合って発症する可能性が高まると考えられています。

ADHDの場合、家族内での研究や双子の研究によると、その遺伝率は77%から88%と非常に高いとされています。

しかし、シングルヌクレオチド多型(SNPs)に基づく研究では、遺伝率は22%とはるかに低く評価されています。
これは「隠れた遺伝率」とも呼ばれる現象で、家族や双子の研究と遺伝子広域関連研究(GWAS)の結果との間に大きなギャップがあることを示しています。

ASDの遺伝率に関しては、研究によると約90%の場合が遺伝的要因によるものとされています。家族内での集積が見られ、双子の研究では表現型の変動の大部分が遺伝的要因によると推定されています

ADHDとASDのリスクが高い家族の場合、ADHDの診断確率は非リスク家族と比べて約13倍、ASDの診断確率は約30倍高くなることが示されています。これは、これらの障害が部分的には遺伝的要因を共有していることを示唆しています​。

参考文献
Genetics in the ADHD Clinic

父親や母親の発達障害が子どもに遺伝しなかった要因

親が発達障害であるにも関わらず、その特性が子どもに遺伝しなかった理由について考えてみます。

この現象を理解するためには、発達障害の遺伝の仕組みに目を向ける必要があります。

遺伝学的には、特定の遺伝子が直接的な原因となって発達障害が発現するわけではなく、多くの遺伝子が複雑に絡み合う「多因子遺伝」が一般的と言われています。

親から子への遺伝子の伝達は、ランダムに行われるため、親にある特徴が子どもに現れないことも珍しくありません。
また、親が持つ遺伝子の中にも、表現型(外見や性格などに現れる特徴)に影響を与えるものとそうでないものがあります。

たとえば、親が発達障害の特性を持つ遺伝子を持っていても、それが子供に遺伝するとは限らないし、遺伝したとしても発症しない可能性があります。

さらに、遺伝子だけでなく、環境要因も発達障害の発現には大きく関与します。

子どもの育つ環境、受ける教育、社会的な支援の有無などが、発達障害の特性が顕著に現れるかどうかを左右するのです。

たとえば、一定の支援があれば、ADHDの特性を持つ子どもも、学校や社会生活において成功を収めることが可能です。

このように、親から子への遺伝は一方通行ではなく、多様な要因が絡み合って結果が決まるため、同じ親から生まれた子どもでも、発達障害の特性が現れるかどうかは異なるのです。

私の家は3人兄弟ですが、姉二人には父親のASDが遺伝しませんでした。

私にだけ発達障害のASDが遺伝して、姉2人に遺伝しなかった理由を考ると、2つ思いつきます。

1つ目は、親の年齢によるものです。
一番上の姉は8歳くらい年上、そして次女と私は2歳差です。

どちらも、発達障害のリスクが高くなる前に生まれています。
高齢出産のリスクは父親が40歳以上、母親が35歳以上と言われています。

末っ子の私の場合は、父親が40歳、母親が34歳の頃に生まれているので、リスクが高かったのです。

そして、父親が不衛生でタバコやお酒を毎日、人一倍嗜んでいたので、私が生まれる頃には、さらに遺伝子が劣化していたのだと推測します。

2つ目の大きな理由は、女性ということです。
発達障害のASD(自閉スペクトラム症)の遺伝する男女比は、4:1とも言われており、4倍以上の差があります。
姉が2人は女性なので、遺伝する確率が低くなり、男の私には父親のASDが遺伝する確率が高くなったのだと思われます。

親の年齢が高い場合、特に父親が40歳以上、母親が35歳以上であるとき、子どもに発達障害が発現するリスクが高まるとされています。

これは、高齢になると親の生殖細胞(精子や卵子)に含まれるDNAの突然変異が増加するためです。
これらの変異は、発達障害だけでなく、さまざまな健康問題のリスクをもたらす可能性があります。

たとえば、精子は男性が生涯にわたって生成し続けるため、年齢と共にDNAのコピー時のエラーが増えることが知られています。
このため、高齢の父親から生まれた子供は、若年の父親から生まれた子供に比べて遺伝的な突然変異を受け継ぐ確率が高くなるのです。

実際に、ASDやADHDといった発達障害の一部には、これらの突然変異が関与していることが示されています。

一方、母親の高齢化もリスクを増加させますが、これは主に卵子の質の低下が関係しています。

女性は生まれた時に持っている卵子の数が決まっており、年齢と共にその質が低下するため、染色体異常のリスクが高まるとされています。

しかし、これはあくまで統計上のリスクであり、高齢出産が必ずしも発達障害を引き起こすわけではありません。

重要なのは、親としての年齢だけでなく、妊娠中の健康管理、出産後の環境、子どもへの支援など、多角的な要素を考慮することです。

年齢と遺伝子変異の関係

親の年齢が上がると、遺伝子変異のリスクも上がると言われています。ポイントは、年齢が高いほど、精子や卵子の中のDNAが変異しやすくなるということです。

細胞の分裂が繰り返される中で、DNAのコピー時にエラーが起こりやすくなります。

なので、高齢の父親から生まれた子供は、若い父親から生まれた子供に比べて、自閉症のリスクが高いのです。

まとめ

今回は、親の発達障害と子供への遺伝についてお伝えしてきました。

最近は、晩婚化になっており、昔と比べて子供を産む親の年齢も上がってきています。

その結果、高齢出産の影響から子供に発達障害のリスクが高まったり、親の発達障害の遺伝の確率も上がっています。

なんというか、悪循環のループになっていると思います。
発達障害の人の割合も、年々上がってきており、昔は30~40のクラスに1~2人の割合だったのが、今では10人に一人の子どもが発達障害とも言われています。

昔に比べて、環境の変化、晩婚化など、子供に発達障害の遺伝的リスクが高いです。

それでも、100%親からの発達障害が遺伝するわけではありません。

父親や母親の発達障害(ASD、ADHD)が遺伝しない理由もあります。

遺伝子は、親から子へと直接的に受け継がれるわけではなく、多くの遺伝子が組み合わさって一人一人の遺伝的特徴を形成します。
そのため、親に発達障害があっても、子供には遺伝しない場合があります。

また、遺伝子の影響だけでなく、環境要因も大きな役割を果たします。

子どもが育つ環境、受ける教育、社会的な支援の有無などが、発達障害の特性が顕著に現れるかどうかを左右することが知られています。

これらの要因が、発達障害の特性が子供に現れるかどうかに影響を与えるのです。

ここまで、親の発達障害とその遺伝について考察してきましたが、最終的に重要なのは、発達障害のある親から生まれた子どもたちが、どのように支援され、理解されるかということです。

私の場合は、発達障害の概念がほぼ無い時代に生まれ、サポートや理解が皆無でした。
その結果、人生がボロボロになりました。

しかし、今の時代(令和6年)は、発達障害の認知度が高まり、支援も充実してきました。
まだまだ、日本は発達障害のサポートに関しては多くの改善の余地がありますが、前進はしています。

もっと発達障害の人が生きやすい世の中になり、それぞれが持つ個性や能力を活かせる社会が実現することを願っています。

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