発達障害と乗り物酔いに関係性はあるのでしょうか。
調べてみると、因果関係はないようです。
しかし、発達障害の特性と、乗り物酔いしやすい状態の類似点はいくつか考えられます。
乗り物酔いをする原因は、前庭小脳の発達に関係しているとされています。
前庭小脳が発達する12歳くらいまでは、揺れやスピードの感覚対して過剰に反応してしまい、酔いやすくなるのです。
発達障害には、感覚過敏の鋭利さや鈍感さがあります。
また、発達障害の平衡感覚や運動機能、その他の特性により、乗り物酔いしやすいと考えられます。
今回は、発達障害と乗り物酔いについて書いていきたいと思います。
発達障害・自閉症スペクトラム(アスペルガーASD)は乗り物酔いしやすい
発達障害と乗り物酔いの関係性は一般的に無いとされています。
しかし、発達障害ASDの私自身は、物凄く乗り物酔いしやすいです。
原因として、発達障害の特性が関係していると感じています。
発達障害の自閉症スペクトラム(アスペルガーASD)の私は、過去に明らかに健常者とは違う乗り物酔いを体験しました。
小学生5~6年生くらいに、夏休みに田舎(親の実家)に行く途中の列車の中で、乗り物酔いで吐いたことがあります。
1980年代だったと記憶しているのですが、その頃の田舎の列車は揺れが強く、振動が響いていました。
当時判明していませんが、発達障害の私は聴覚の感覚過敏を抱えています。
小さい頃から物音に物凄く反応して泣き叫んでいたそうです。
今でも聴覚は異常に鋭いですし、低周波や高周波音、室外機や何かしらのモーター、エンジン音など、頭や体に響いて苦しんでいます。
その頃は10歳くらいだったので、前庭小脳の過敏状態であり、さらに発達障害の聴覚過敏から乗り物酔いしやすかったと思われます。
2歳上の姉もいましたが、まったく平然としていました。
姉は普通(定型発達)の健常者なので、乗り物酔いに耐性があったのだと思います。
吐いた後も気持ち悪さは治らないし、ずっと苦しんでいた記憶があります。
酔いやすい原因としてもう1つ、「ストレス」や「思い込み」があげられます。
子供の頃、電車の乗り物酔いで気持ち悪くなると、頭の中で不安感が押し寄せてきていました。
「やばい」という気持ちに支配され、ストレスが異常に溜まっています。
パニック障害のような感じだと思います。
前庭小脳の強さは、その時のストレスや心の感じ方によって、影響されやすくなります。
発達障害ASDは、慣れていない乗り物や想像できない物事に対して、異常にプレッシャーや不安感を感じてしまいます。
その影響から、乗り物酔いしやすくなってしまっているのだと思います。
発達障害ASDの私が体験した、健常者に無い乗り物酔いの出来事がもう1つあります。
それは、中学生の頃か、高校生の頃か忘れてしまいましたが、修学旅行で船に乗った時のことです。
周囲の同級生(健常者)のほとんどは、それほど船酔いはしていませんでした。
しかし、発達障害の私は、物凄く気持ち悪くて吐くのをずっと我慢していました。
船に乗ったのもその修学旅行が初めてですので、ストレスや心労があったのだと思います。
さらに、発達障害の聴覚過敏による船の揺れや振動に対して異常に弱く、船酔いしやすい状態だったのです。
当時は恥ずかしい思いをしたくない一心で、吐くのを我慢していました。
乗り物酔いの気持ち悪さは治りませんが、心の持ちようによっては、吐くのをぎりぎりで我慢できる可能性もあります。
発達障害の特性と乗り物酔いの関係
発達障害の特性が原因で、乗り物酔いしやすくなるのでしょうか。
個人的には確実にあると思います。
乗り物酔いをする条件は、体が受け取る情報の不一致が原因です。
音、匂い、視覚、バランスなど普段と違い、矛盾しているとめまいや吐き気が起こるのです。
発達障害の人は、体の平衡感覚や五感の感覚が過敏状態、もしくは鈍感です。
この状態が、乗り物酔いに多大に影響されていると思われます。
聴覚過敏の場合は、乗り物が発する音を敏感に感じ取ってしまったり、振動騒音を体や脳に物凄く伝わってきてしまいます。
嗅覚過敏は、乗り物独特の臭いを鋭く感じてしまい、吐き気を催してしまう。
視覚過敏は、視界の強さから視点や平衡感覚がずれやすく酔いやすくなる。
発達障害の人は、目や耳など体に入ってくる情報に問題があり、平衡感覚のズレから、乗り物酔いしやすくなるのです。
逆に、五感の感覚が鈍感の人の場合、乗り物に対する感じ方が鈍くなります。
その結果、自分の状態と乗り物に対する感覚の不一致が起こり、乗り物酔いしやすくなると思われます。
発達障害の人は、健常者とは違う感じ方をしてしまうし、メンタルも不安定になりやすいので、乗り物酔いの影響を多大に受けるのです。
発達障害は20代でも乗り物酔いしやすくなった?
発達障害は20代の大人になっても、乗り物酔いしやすいままなのでしょうか。
乗り物酔いは、前庭小脳が発達しきれていない12歳くらいまでしやすいとされています。
発達障害の人でも、乗り物酔いに対する経験による慣れはありますので、前庭小脳の成長はあると思います。
20代の大人になれば、ある程度の乗り物酔いに対する耐性はついてくるはずです。
しかし、発達障害は、20代の大人になっても脳機能の問題は治ることはありません。
発達障害の特性によって、乗り物に対する苦手感は克服できないからです。
発達障害の症状は人それぞれですので一概には言えません。
私の予想では、7~8割の発達障害の人は乗り物酔いの耐性はある程度あると思います。
ですが、特定の乗り物や場面において、吐き気や気分が悪くなる状態にはなると思われます。
私は40代半ばの発達障害ASDですが、3D酔いが異常に酷いです。
乗り物酔いのような症状とは少し異なりますが、体の感覚から生じる吐き気は同じです。
FPSのゲームやFFオンラインといった3Dのキャラが激しく動くゲームを少しプレイしたことがあります。
ですが、一分も持たずに酔いが酷く、すぐに止めてしまいました。
その後も2~3時間、気持ち悪さが治らなかったです。
今後、FPSや3Dで目が回るようなゲームは絶対に出来ないと思いました。
また、バスの振動や匂い、感覚などが慣れずに酔ってしまうのは大人になっても治りません。
独特の振動や匂いが、感覚過敏から受け付けないのだと思われます。
電車や車は子供の頃に酔ってしまう傾向がありましたが、大人になった今では、ある程度克服しています。
普通の人(定型発達)であれば、20歳を超えれば、乗り物酔いをしなくなる人がほとんどだと思います。
しかし、発達障害の人は、特性によって感覚のズレからいつまでも乗り物酔いを克服できないままの場合もあるのです。
乗り物酔いのような症状は大人になっても治らない?ストレスが原因?
発達障害の人が大人になっても乗り物酔いのような症状が治らないのは、ストレスが原因だと考えられます。
発達障害はストレスを健常者以上に抱えやすく、何事に対しても考え込んでしまうことがあります。
乗り物酔いは、体の感覚から生じる問題と、気持ちが原因があります。
「発達障害だから乗り物に酔いやすい」とか、昔から乗り物に苦手感を持っていると、乗り物に乗った時にストレスや心労を重ねてしまいます。
発達障害のこだわり特性から思い込みが強くなってしまい、「酔ってしまうかも」と心で念じてしまい、本当に吐き気や気持ち悪さが訪れるのです。
また、発達障害は自律神経が乱れやすく、酔いやすくなる状態です。
発達障害は大人にると、余計にストレスや精神が辛くなります。
子供の頃に受けられていたサポートや理解が、大人になると得られづらいからです。
発達障害の大人は、健常者とは一線を画すストレスや心労を抱えています。
何事に対しても安定するまでは不安感を感じてしまい、吐き気や気持ち悪さなど、乗り物酔いのような症状を感じてしまうこともあるのです。
私も感じているこだわりの「思い込みの力」はかなりの苦痛です。
特に、辛いニュースを見た時は、こだわり特性から、自分のことのように感じてしまい、気持ち悪くなることが多々あります。
ある意味、乗り物のような症状に似ています。
発達障害ASDの思い込みは、自分の狭い視野でしか物事を考えられません。
一度負の感情に支配されると、ストレスが尋常じゃないくらいかかってしまうのです。
まとめ
発達障害の子供は、乗り物酔いしやすい傾向があると言えます。
健常者と同じように12歳くらいまでの前庭小脳の発達はします。
しかし、発達障害の特性から前庭感覚が過敏であったり、逆に鈍感になります。
乗り物に対する影響を受けやすく、人一倍、乗り物酔いしやすくなるのです。
大人になっても、健常者とは違う物事の感じ方が治らない為、乗り物酔い耐性は低いままの人もいます。
また、発達障害の人が大人になると社会で多大な苦労を強いられので、精神的問題を抱えてしまいます。
ストレス耐性も低く、乗り物酔いのような心の不調を感じやすくなるのです。
乗り物酔いは、ある程度、心の持ちようによって我慢することができます。
しかし、発達障害の人は一度思い込みをしてしまうと考え込んでしまいます。
一度乗り物酔いを感じてしまうと、「酔ってしまう」「吐きそう」と心の中で念じてしまい、余計に悪化してしまうのです。
対処法としては、精神安定剤を飲むしかないと思います。
私も思い込みで不安になったり、パニック障害などになった時に、デパスやインデラルといった精神安定剤を飲みました。
でも、精神に強く根付いてしまうと、精神安定剤は効かなくなります。
その時は時間が解決してくれるまで待つしかありません。
乗り物酔いも、一度なってしまうと治るまで時間がかかります。
発達障害の人は、乗り物酔いになりやすい傾向があるので、前もって酔い止めや精神安定剤を飲んでおく方が良いのだと思います。