中学校までは公立でも、
発達障害に対する配慮やサポートが充実している学校も多くありました。

しかし高校では、私立の一部の学校以外では、
特別学級のようなサポートや手厚い支援はほとんどありません。

普通高校ではいままで受けてきた配慮が得られず、難しい環境での高校生活を送るはめになってしまいます。

そのため高校選びでは発達障害本人の特性や知力(IQ)を見極め、慎重に検討しなければなりません。

特性や環境に合った高校でないと、通うのが辛くなって2次障害や不登校になってしまいます。

高校受験では、発達障害の特性に配慮した受験方法もあります。
受験時に配慮してくれる学校の検討も必要です。

受験勉強では、発達障害が苦手な学習計画もあります。

今回は、発達障害ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)の高校の選び方や受験対策についてお伝えしていきます。

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発達障害の中学生の高校の選び方

高校は何をしに行くところでしょうか。
ほとんどの中学生が、「みんな行くから」「中卒だと学歴で差別されるから」といった理由が浮かぶのではないでしょうか。

実際、中学生の段階で将来を見越した高校を選び進学をする人は、頭の良い人以外は考えていないと思います。

もしくは親御さんがしっかりした人の場合です。
子どもの進むべき道を考えてくれたり、
アドバイス等で自分の将来を見据えられるかなど。

定型発達(健常者)であれば、高校を入学した後でも未来を考える余裕はあります。

ですが、発達障害は高校で生活をするだけでも様々な問題に直面してしまい、今現在のことしか考えられません。
また、想像力の欠如や視野の狭さなど、様々な要因から将来を考えることが困難です。

高校選びの段階で、環境やサポート問題、将来の影響を考慮しなければならないのです。

高校の種類

高校ではいくつかの種類があります。
本人の特性や知力を考慮して考えてみてください。

普通高校(全日制)

・発達障害に理解はほとんどなく、
 サポート体制は充実していない。

・支援を受けられるかどうかは、
 受験前に調査をしておく。

・偏差値に合った学校を選択できる。

定時制高校

・授業時間が普通高校よりも
 1時限5~10分短い。

・普通高校は5~6時限に対し、
 定時制高校は4時限が多い。

・年齢も15~60代以上の人がいるので、
 馴染めるかは本人次第。

・昼間の部と夜の部があり、
 好きな方を選べる。

通信制高校

・自宅での学習なので、
 対人関係が苦手な人向き。

・課題やテストは郵送、
 インターネットを使用している。

・自主性が求められるので、
 保護者や周囲のサポートが必要不可欠。

チャレンジスクール(エンカレッジスクール)

・小中学校で不登校や中退、
 つまづきがあった人を対象にした学校。
 県や地域によって名称が違っている。

・基本的に、午前、昼間、夜間の部があり、
 授業を選択して単位をとる必要がある。
 自分に合ったペースで単位を取得し、
 卒業を目指す。

・入試は作文や面接のみ。

・専門的な資格・知識の取得も可能。

特別支援学校

・発達障害に理解やサポートがある。

・就職を考えた専門的な授業があり、
 卒業後の就職に有利。

・発達障害だけでなく、
 身体障害者や知的障害など幅が広いため、
 事前の調査が必要。

他にも職業に特化した専門高校や、
実務を重視した専修学校などがあります。

発達障害の人がどのような高校を選択するかは
本人の特性や性格、知力(IQ)次第です。

発達障害の特性がそれほど強くなく、
中学時代までの人付き合いで
それほど問題になっていなければ、
一般の普通高校がおすすめです。

学校も本人の偏差値と近い人たちが集まっています。
中学時代のような、
IQのばらつきのために起こる
「コミュニケーションの差」が出ることもありません。

ただ、一般高校での発達障害の支援や
理解を得るのは難しいかもしれません。

発達障害の特性が強く、
集団での生活や人付き合いが苦手な場合は、
通信制高校や特別支援学校への進学が良いと思います。

私は対人関係が苦手な発達障害(ASD)ですが、普通の高校に進学してしまいました。

案の定、定型発達(健常者)の人とコミュニケーションがうまくとれず、嫌われ、避けられ続けました。
そして孤立して、特殊な人として周りからみられて惨めな思いをしました。

高校は将来の進路を決める必要があるため、発達障害での特性のハンデでつまづいていられません。

小・中学校の頃に人付き合いが上手くできず、集団の環境で馴染めないのであれば、通信制高校や特別支援学校を選択するのも一つの手です。

普通高校は基本的に定型発達の人が大多数で、それを基準に考えています。
発達障害の特性が強い人は、馴染むのが難しいのです。

特別支援学校では偏差値を選考基準としていない学校も多いです。

「(昼夜逆転の生活などで)学校へ通うのに問題がないか」
「人に迷惑をかけないか」
「体力や健康問題」

など、学力以外の人物像に注目して選考する学校もあります。

発達障害(ASD)は、
コミュニケーションや社会性、
自律神経失調症など様々な問題があります。

事前に選考基準を把握して、
本人が苦手だと思う部分をトレーニングしておきましょう。

発達障害の高校受験対策

まず志望校を決めましょう。
本人が得意な科目や好きなことを生かせるような高校を選ぶことが大切です。

本人が行きたいと思える学校でないと、
進学のための意欲や勉強のモチベーションが
あがらないものです。

発達障害でも自分の意志がほとんどない受動型アスペルガーがあります。
私も受動型アスペルガーなのですが、
主体性がまったくありません。

このようなタイプは自分の行きたい学校が見つからず、適当に選んでしまいがちです。
そのため、親や教師など周囲の人がサポートしてあげる必要があります。

本人の特性に合わせて、
普通学校なのか、特別支援高なのか、

通信制がいいのかを一緒に考えてあげてください。

次に学習計画についてです。

発達障害(ASD)は想像力の欠如で先のことを考えられません。
また、視野が狭く、今現在のことしか考えられません。

そのため、受験を目標にした学習の道筋を考えられません。

勉強では「今日は〇ページまで進めて、
受験日までには終わる」といった計画が苦手です。

一般入試では英数国理社の5教科があります。

どの科目を優先的にしたり、
ペース配分や取り組み方などを
考える必要があります。

本人の知力(IQ)をベースに、
親や教師が受験までの学習計画を考え、
予定表を作ってあげてください。

発達障害の偏差値(IQ)問題

発達障害(ASD)が一般(普通)高校に進む場合は、
偏差値がぎりぎりのところを狙わないようにしましょう。

例えば本人の偏差値が50であれば、
45以下の高校を選ぶことをお勧めします。

基本的に人とのコミュニケーションや社会性はIQ(知能)の似通った人が合うようになっています。
発達障害(ASD)はコミュニケーションと社会性に問題を抱えています。

発達障害(ASD)が同じようなIQの人と交流するとどうしても、合わないことがあるのです。

また受験は一発勝負です。
発達障害は、環境によって実力を出せないこともあります。

発達障害の特性に配慮がある試験でない限り、
偏差値にゆとりがある学校を選ぶことをおすすめします。

発達障害の受験時の配慮

発達障害の特性によって、
受験時の配慮を考えてくれる学校もあります。

発達障害は、
感覚異常を伴っている人も少なくありません。

音に対して異常に敏感だったり、
明るい部屋で生活できなかったりと、
特性によって受験時に配慮が必要なことがあります。

このような場合は、
別室での受験を許可されたり、
補助具の使用、
集団面接から1対1の面接に変更、
など様々な配慮があります。

過去の実績を調べてみたり、
事前に学校側へ問い合わせてみましょう。

まとめ

発達障害の人にとって高校選びは、
人生を決めるくらい大切な選択
です。

高校では将来を決める、
進学か就職の2通りがあります。

発達障害の人は定型発達と違って、
勉強や生活面で様々なハンデを抱えています。

環境の影響で勉強が上手くいかなかったり、
集団生活で失敗してしまうと、
進路の問題に直結してしまいます。

そのため、高校選びは本人だけでなく、
親や教師、周囲の人もしっかりと
考えてあげる必要があるのです。

個人的に思うのは、
発達障害の特性が目立ち、
IQが80以下の子の場合、

絶対に特別支援学校や、
支援が充実していて、
専門的な資格を取れる学校をお勧めします。

IQが80以下では、大体偏差値45以下です。
そのような高校では発達障害よりも、
定型発達(健常者)に力を入れていることが
多いからです。

また、偏差値45以下の高校では大学進学率は、
10%以下になると思います。

ですので学校としては就職に力を入れます。

私自身IQが60台で、
偏差値38くらいの高校に行っていました。

古文が非常に苦手で、
テストの点は100点中、10点くらいでした。
それでも通知表では10段階中5~6なのです。

何が言いたいかというと、
偏差値が低い高校では、
就職のために赤点でも
平均以上の出来とごまかせるのです。

さらに、一般の高校では専門的な資格や知識を
得る授業はありません。

発達障害の人が偏差値の低い一般高校に
入学した場合、配慮を得られないばかりか、
進学、就職でもできる人と勘違いされてしまい、
後々苦労するのです。

特別支援学校や発達障害に理解がある高校では、
障害者の進学や就職に対しても力を入れています。

発達障害の特性や身の丈に合った、
就職や進学先を考えてくれます。

一般高校でも発達障害に理解がある学校は増えてきたと言われていますが、
発達障害専門ではないため、就職、進学のデータが少なく、進路指導に十分な対策はできていないのです。

高校選びは、将来を決める上で大事な選択です。
間違った選択をしないためにも、
本人の特性にあった高校を考えてあげてください。

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