乗り物酔いとは、車や電車、船、飛行機などの乗り物で移動中に、めまいや吐き気などの不快な症状が起こる状態のことです。
乗り物酔いは2~12歳の子どもに多く見られますが、発達障害の人は大人になっても乗り物酔いしやすいと感じることがあります。
なぜ発達障害の人は乗り物酔いしやすいのでしょうか?
また、乗り物酔いを防ぐにはどうすればよいのでしょうか?
この記事では、発達障害と乗り物酔いの関係について、原因と対策を紹介します。
発達障害と乗り物酔いの原因
乗り物酔いの原因として、人間の平衡感覚を制御している内耳の三半規管への刺激が多すぎることが考えられています。
乗り物に乗っているときは、発進、停止などのスピードの変化や前後左右、あるいは上下の揺れなどの刺激が内耳から脳へ伝えられます。
その際に慣れない刺激が多く繰り返されることで脳が処理しきれないと、自律神経へ誤った信号を送ります。そのために、吐き気やめまいなどの乗り物酔いの症状が現れてきます。
また、慣れない刺激だけでなく目などから入る情報と、実際の状況が異なっている場合にも乗り物酔いが起こると言われています。
例えば、船に乗っているときに、船自体は波で上下しているのに目では静止している壁を見ているといったときに、脳が矛盾を感じて乗り物酔いの症状が生じることがあります。
発達障害の人は、体の平衡感覚や五感の感覚が過敏状態、もしくは鈍感です。この状態が、乗り物酔いに多大に影響されていると思われます。
・聴覚過敏の場合は、乗り物が発する音を敏感に感じ取ってしまったり、振動騒音を体や脳に物凄く伝わってきてしまいます。
・嗅覚過敏は、乗り物独特の臭いを鋭く感じてしまい、吐き気を催してしまう。
・視覚過敏は、視界の強さから視点や平衡感覚がずれやすく酔いやすくなる。
逆に、五感の感覚が鈍感の人の場合、乗り物に対する感じ方が鈍くなります。
その結果、自分の状態と乗り物に対する感覚の不一致が起こり、乗り物酔いしやすくなると思われます。
発達障害の人は、健常者とは違う感じ方をしてしまうし、メンタルも不安定になりやすいので、乗り物酔いの影響を多大に受けるのです。
発達障害と乗り物酔いの対策
乗り物酔いは酔い止め薬を飲むことや、ポイントを抑えることで予防することも可能です。
乗り物酔いの予防や対策には、以下のような方法があります。
酔い止め薬を飲む
酔い止め薬は、内耳の三半規管への刺激を抑えたり、自律神経のバランスを整えたりする効果があります。乗り物に乗る前に飲むと効果的ですが、副作用として眠気や口渇などが起こることがあります。自分に合った薬を選ぶことが大切です。
乗り物の座席を選ぶ
乗り物の中でも、揺れやスピードの変化が少ない場所に座ると酔いにくくなります。例えば、車では運転席や助手席、電車では中央部、船では船尾や船底、飛行機では翼の近くなどがおすすめです。
視線を合わせる
乗り物の動きと目で見る景色が一致するように視線を合わせると、脳の混乱を防ぐことができます。例えば、車では前方の遠くを見る、電車では窓から外を見る、船では水平線を見る、飛行機では雲を見るなどが良いです。逆に、本やスマホなどを見ると酔いやすくなります。
食事や水分を摂る
乗り物に乗る前には、胃に負担のかからない食事を摂ることが大切です。空腹や満腹は酔いやすくなります。また、水分はこまめに摂ることで、血液の循環を良くし、酔いを和らげることができます。アルコールやカフェインは乗り物酔いを悪化させるので避けましょう。
気分転換をする
乗り物酔いは、ストレスや思い込みも影響します。乗り物に乗る前には、リラックスした状態になることが大切です。音楽を聴いたり、深呼吸をしたり、会話をしたりすることで、気分を紛らわせることができます。また、酔い始めたら、冷たいタオルやハッカ油などで顔や首を冷やすと、気持ちが楽になります。
以上の方法を試してみると、乗り物酔いを防ぐことができるかもしれません。
しかし、発達障害の人は、乗り物酔いに対する感受性が高いので、完全に克服するのは難しいかもしれません。
その場合は、無理をせずに、自分に合った乗り物や移動方法を選ぶことが大切です。
乗り物酔いに悩む発達障害の人は、自分のペースで楽しく旅行しましょう。
まとめ
この記事では、発達障害と乗り物酔いの関係について、原因と対策を紹介しました。
発達障害の人は、感覚の過敏さや鈍感さ、ストレスや思い込みなどが原因で、乗り物酔いしやすいと感じることがあります。
しかし、酔い止め薬や乗り物の座席の選び方、視線の合わせ方、食事や水分の摂り方などの方法で、乗り物酔いは防ぐことができます。
乗り物酔いに悩む発達障害の人は、自分に合った方法を見つけて、自分のペースで楽しく旅行しましょう。
この記事が、発達障害の人やその周りの人の参考になれば幸いです。ありがとうございました。