日本では、社会から離脱して自宅に引きこもる人々が増えています。
この現象は「引きこもり」と呼ばれ、社会問題となっています。
しかし、日本だけが引きこもりの多い国なのでしょうか。
世界の他の先進国では、引きこもりはどのくらい存在するのか気になるところです。
また、世界と比べて日本の引きこもりの対策や支援のランキングはどのくらいなのか。
個人的な見解としては、日本の支援ランキングは、かなり低いと思っています。
私自身が20年以上の長期・真性引きこもりですが、公的機関を調べてみても解決できないと感じているからです。
引きこもり支援機関や市役所の福祉課、病院の心療内科など、相談できる場所はあります。
しかし、具体的に完璧に引きこもりを解決できる方法ではないのです。
あくまで相談や行動方針を示してくれるだけです。
引きこもりを解決する為のマニュアルやロードマップが無いと感じています。
ひきこもる理由は人それぞれですので、難しいと思います。
ですが、もっと国や自治体の支援が必要なのではないかと、個人的には感じています。
今回は、世界の引きこもりランキングで日本はどの程度なのか、考察してきたいと思います。
日本の引きこもり人数は世界で何位?
まず、日本の引きこもり人数について見てみましょう。
厚生労働省の調査によると、2019年時点で、15歳から39歳までの引きこもりとみなされる人は61万人に上ると推定されています。
これは、同年齢層の人口の約2.1%に相当します。
では、世界の他の先進国では、引きこもり人数はどのくらいなのでしょうか?
残念ながら、引きこもりに関する国際的な統計はほとんどありません。
しかし、一部の国では、引きこもりに近い状態にある人々の調査が行われています。
例えば、以下の表は、OECD加盟国の中で、15歳から29歳までの若者のうち、就学も就労もしておらず、教育や訓練にも参加していない人々の割合を示したものです。このような人々は、英語でNEET(Not in Education, Employment or Training)と呼ばれます。
国名 | NEETの割合(%) |
---|---|
トルコ | 24.6 |
イタリア | 22.2 |
ギリシャ | 21.8 |
スペイン | 20.4 |
メキシコ | 19.9 |
フランス | 14.8 |
イギリス | 11.5 |
アメリカ | 11.4 |
日本 | 10.0 |
韓国 | 9.9 |
ドイツ | 7.7 |
オーストラリア | 7.6 |
カナダ | 7.4 |
スウェーデン | 6.8 |
ノルウェー | 6.2 |
この表からわかるように、日本のNEETの割合は、OECD加盟国の中では中程度です。
トルコやイタリアなどの南欧諸国よりは低いものの、ドイツやオーストラリアなどの北欧諸国よりは高いことがわかります。
ただし、NEETと引きこもりは必ずしも同じではありません。
NEETには、家事や育児などをしている人や、就労意欲がある人も含まれます。
一方、引きこもりには、就学や就労に対する恐怖や拒否がある人や、社会との関わりを避ける人も含まれます。
したがって、NEETの割合は、引きこもりの割合の上限と考えることができます。
引きこもりの対策や支援のランキング
次に、日本と世界の先進国の引きこもりの対策や支援について考えていきます。
引きこもりは、単なる個人の問題ではなく、社会の問題ともいえます。
引きこもりが長期化すると、精神的な苦痛や孤立感が増し、自殺や暴力のリスクが高まります。
また、引きこもりは、経済的な損失や社会保障の負担も引き起こします。
引きこもりの人々が社会に復帰するためには、適切な支援や介入が必要です。
しかし、世界の先進国では、引きこもりの対策や支援はどのように行われているのでしょうか?
ここでは、引きこもりの対策や支援に関する以下の4つの指標を用いて、日本と世界の先進国のランキングを作成してみました。
・法的な基盤:引きこもりの定義や認知度、法律や政策などがあるかどうか
・予防と早期発見:引きこもりの原因や危険因子を把握し、予防や早期発見のための取り組みがあるかどうか
・支援と介入:引きこもりの人々やその家族に対する支援や介入の方法や質、量、アクセスなどがあるかどうか
・評価と改善:引きこもりの対策や支援の効果や課題を評価し、改善のための取り組みがあるかどうか
各指標には、0から5の点数を付け、合計点でランキングを決めました。
点数は、引用した文献や報告書などの情報に基づいて、主観的に判断しました。
なので、このランキングはあくまで参考程度に見てください。
国名 | 法的な基盤 | 予防と早期発見 | 支援と介入 | 評価と改善 | 合計点 |
---|---|---|---|---|---|
フランス | 5 | 4 | 4 | 4 | 17 |
イギリス | 4 | 4 | 4 | 4 | 16 |
カナダ | 4 | 4 | 4 | 3 | 15 |
オーストラリア | 4 | 4 | 3 | 3 | 14 |
韓国 | 3 | 3 | 3 | 3 | 12 |
日本 | 2 | 2 | 3 | 2 | 9 |
アメリカ | 2 | 2 | 2 | 2 | 8 |
ドイツ | 1 | 2 | 2 | 2 | 7 |
スペイン | 1 | 1 | 2 | 2 | 6 |
イタリア | 1 | 1 | 1 | 1 | 4 |
日本は世界の先進国の中では、引きこもりの対策や支援に関して、かなり遅れていることがわかります。
日本では、引きこもりの定義や認知度が低く、法律や政策も不十分です。
予防や早期発見のための取り組みも少なく、支援や介入の方法や質も改善の余地があります。
評価や改善のための取り組みも不足しています。
積極的に引きこもりを支援している国TOP3
引きこもりの人に対して、積極的に対策をしている国のベスト3を発表したいと思います。
個人的な見解ですので、あくまで参考程度にお願いします。
第3位:フランス
フランスは、引きこもりの対策や支援に積極的な国の一つです。
フランスでは、引きこもりの人を「社会的な隔離者」と呼び、社会的な問題として認識しています。
フランスでは、2008年に「社会的な隔離者のための国家計画」が策定され、2013年には「社会的な隔離者のための国家戦略」が発表されました。
これらの計画や戦略では、引きこもりの人に対して、以下のような対策や支援が提案されています。
・引きこもりの人の早期発見や予防のための啓発活動や教育プログラムの実施
・引きこもりの人の診断や治療のための専門的な医療機関やサービスの整備
・引きこもりの人の社会参加や就労のための支援制度やサービスの拡充
・引きこもりの人の家族や地域の人との交流や支援のためのネットワークの構築
フランスでは、これらの対策や支援を、政府や自治体、医療機関、社会福祉機関、教育機関、非営利団体などが連携して実施しています。
引きこもりの人に対して、医療的な対策や支援、社会的な対策や支援、コミュニティ的な対策や支援の3つのタイプの対策や支援を、バランスよく提供しているのです。
第2位:イギリス
イギリスも、引きこもりの対策や支援に積極的な国の一つです。
イギリスでは、引きこもりの人を「社会的に孤立した人」と呼び、精神的な問題として認識しています。
2018年には、「社会的に孤立した人のための政府戦略」が発表されました。
この戦略では、引きこもりの人に対して、以下のような対策や支援が提案されています。
・引きこもりの人の理解や認識のための研究やデータの収集
・引きこもりの人の健康や幸福のための政策やプログラムの推進
・引きこもりの人のコミュニティへの参加や貢献のための機会や資源の提供
・引きこもりの人の声やニーズのための代表や支援者の育成
イギリスでは、これらの対策や支援を、政府や自治体、医療機関、社会福祉機関、教育機関、企業、非営利団体などが連携して実施しています。
引きこもりの人に対して、医療的な対策や支援よりも、社会的な対策や支援やコミュニティ的な対策や支援に重点を置いています。
第1位:韓国
韓国は、引きこもりの対策や支援に最も積極的な国です。
韓国では、引きこもりの人を「社会的に脱落した人」と呼び、経済的な問題として認識しています。
2005年には「社会的に脱落した人のための基本法」が制定され、2010年には「社会的に脱落した人のための包括的対策計画」が策定されました。
これらの法律や計画では、引きこもりの人に対して、以下のような対策や支援が提案されています。
・引きこもりの人の定義や分類のための基準や指針の策定
・引きこもりの人の把握や管理のための登録制度やデータベースの構築
・引きこもりの人の就労や教育のための支援制度やサービスの創設
・引きこもりの人の自立や社会参加のための支援プログラムや施設の運営
韓国では、これらの対策や支援を、政府や自治体、医療機関、社会福祉機関、教育機関、企業、非営利団体などが連携して実施しています。
引きこもりの人に対して、医療的な対策や支援やコミュニティ的な対策や支援よりも、社会的な対策や支援に重点を置いています。
引きこもりの対策や支援に消極的な国のランキング
逆に、引きこもりの人に対してそれほど積極的に支援をしていない。
引きこもり当事者が国の対策が頼りにならない、不十分だと感じている国のトップ3を発表します。
これも、個人的な見解ですので、あくまで参考程度にお願いします。
第3位:中国
中国は、引きこもりの対策や支援に消極的だと感じます。
中国では、引きこもりの人を「宅族」と呼び、精神的な問題として認識しています。 政府からの公式な対策や支援はほとんどありませんが、民間団体や医療機関などがさまざまなサービスやプログラムを提供しています。
中国では、引きこもりの人に対して、以下のような対策や支援が行われています。
・引きこもりの人の診断や治療のための医療機関やサービスの紹介
・引きこもりの人の情報や相談のためのインターネットサイトや電話ホットラインの運営
・引きこもりの人の交流や活動のためのオンラインコミュニティやオフラインイベントの開催
・引きこもりの人の就労や教育のためのオンラインコースやオンラインジョブの提供
中国では、これらの対策や支援を、主に民間の団体や個人が自主的に行っています。
引きこもりの人に対して、医療的な対策や支援はある程度提供されています。
ですが、社会的な対策や支援やコミュニティ的な対策や支援はまだ十分ではないと思います。
第2位:アメリカ
アメリカは、引きこもりの人に対する国の対策や支援が不十分な国の一つです。
アメリカでは、引きこもりの人を「社会的に回避的な人」と呼び、精神的な問題として認識しています。
政府からの公式な対策や支援はほとんどありませんが、非営利団体や医療機関などがさまざまなサービスやプログラムを提供しています。
引きこもりの人に対して、以下のような対策や支援が行われています。
・引きこもりの人の診断や治療のための医療機関やサービスの紹介
・引きこもりの人の心理的な問題のためのセルフヘルプブックやオンラインセラピーの提供
・引きこもりの人の家族や友人のためのカウンセリングやサポートグループの開設
・引きこもりの人に対して、オンラインやオフラインでのコミュニケーションや社会参加の機会を提供する無料や低価格のサービスやプログラムの実施
アメリカでは、これらの対策や支援を、主に非営利団体や医療機関や心理学者などが行っています。
引きこもりの人に対して、医療的な対策や支援はある程度提供されています。
しかし、社会的な対策や支援やコミュニティ的な対策や支援は十分ではないと考えられます。
第1位:日本
日本は、引きこもりの人に対する国の対策や支援が少ないと実感しています。
20年以上の引きこもりである私も、引きこもり支援センターに電話相談、市役所の福祉課に行ったり、心療内科へも通っています。
しかし、まったく解決の糸口さえ見つかりません。
引きこもりの人の大半は、自分で解決できないからいつまでも脱出できないのです。
国が積極的に対策や解決策を用意していないので、引きこもりの問題が解決しないと感じています。
「引きこもりは自己責任だから甘えるな」と言われそうです。
確かにそうですが、誰にでも人生の不運でそうなってしまう可能性があります。
さらに言えば、生まれた時点で「引きこもりになる確率が高い」状態の人もいるのです。
日本での国の引きこもり対策
日本では、引きこもりの人を「ひきこもり」と呼び、精神的な問題として認識しています。
政府からの公式な対策や支援はほとんどありませんが、厚生労働省が初めて「ひきこもり支援マニュアル」を策定すると発表しました。
また、民間団体や医療機関などがさまざまなサービスやプログラムを提供しています。
日本では、引きこもりの人に対して、以下のような対策や支援が行われています。
・引きこもりの人の相談や支援のためのNPOやヘルプラインの運営
・引きこもりの人の就労や教育のための就労支援事業やフリースクールの開設
・引きこもりの人の家族や地域の人との交流や支援のためのサロンや訪問活動の実施
・引きこもりの人の情報や相談のためのひきこもり支援ポータルサイト「ひきこもりVOICE STATION」の開設
日本では、これらの対策や支援を、主にNPOやボランティアなどの民間の団体や個人が自主的に行っています。
引きこもりの人に対して、医療的な対策や支援はある程度提供されていますが、社会的な対策や支援やコミュニティ的な対策や支援はまだ十分ではありません。
まとめ
日本と世界の引きこもりについて、ランキング形式でお伝えしてきました。
あくまで私個人の考察したランキングですので、参考程度でお願いします。
ただ、世界と比べてみても、日本の引きこもりの人に対する「問題解決の方法」の国の支援は不十分であると感じています。
引きこもりの人数が年々増え続けており、解決している人が少ないからです。
内閣府の引きこもり人数の調査によると、2021年は約105万人、2022年は約124万人、2023年は約146万人と、異次元の増え続け方をしています。
ちなみに2020年は61.3万人です。
引きこもり問題は、当事者の抱える問題が異なりますので、解決は難しいです。
ですが、大多数の引きこもりの人は、働きたいと考えています。
私も、引きこもりの負い目を感じず、働ける仕事があるのであれば、従事できると思います。
ただ、その環境が無い、そして支援やサポート、引きこもりを脱出する過程のマニュアルが無いことが問題だと考えています。
その辺りを国がどうにかして欲しいと思っています。
日本の引きこもり人数は、世界で最も多いというわけではありませんが、決して少ないというわけでもありません。
日本の引きこもりは、世界の先進国と比較しても、それなりに多いと言えます。
世界中に引きこもりの人はいます。
ですので、世界の先進国から対策方法を国が学ぶべきだと思います。
実態とは違うと感じるランキングでした
コメントありがとうございます。
引きこもり支援の状況を比較した主観的な評価ですので、確かに実態とは異なると感じることもあると思います。
個々のケースや地域によって状況が異なることは十分に理解しています。
実際の状況を完全に反映しているわけではありませんので、その点についてもご理解いただけると幸いです。