発達障害のASDの人は、五感(聴覚、触覚、嗅覚、味覚、視覚)の過敏性を抱えていることが多いとされています。
一部の研究ではASDの人の約65%が何らかの聴覚過敏を経験していると報告されています。
私自身もASDであり、重度の聴覚過敏だと感じています。
発達障害が判明していない子供の頃から、音に敏感で神経質だとよく親から言われていました。
大人になった今でも、音に対する苦手は全く克服できず、常に全ての音に反応してしまいます。
ただ単に音に敏感なだけであればいいのですが、尋常じゃないほどストレスになってしまう物音があります。
それは、「低周波振動音」です。
私は何の音に対しても異常なほど反応してしまいますが、その中でもモーターやプロペラなどが発する低周波音には気が狂います。
そのおかげで、近所の室外機が発する低周波で何度もトラブルになってしまいました。
苦情の手紙や直接言いに行き、2件ほど冬場の暖房時のエアコンの使用を控えさせてしまいました。
それでも、まだ少し遠くの家で稼働している室外機に悩まされています。
具体的には音ではなく、振動の音が脳と体に直接響いてくるのです。
低周波振動音によって身体が常に緊張状態になり、眠れなくなるだけでなく、動悸やストレスが溜まり、我慢が出来なくなります。
他にも音によって辛い状態になってきました。
そこで今回は、ASDの人の聴覚過敏のセルフチェックテストや、音に対する問題について書いていきたいと思います。
ASD(自閉症スペクトラム障害)、アスペルガー特性を含む聴覚過敏自己チェックリスト
この自己チェックリストは、ASD(自閉症スペクトラム障害)またはアスペルガー特性を持つ人が、自身の聴覚過敏の程度を理解するためのツールです。聴覚過敏はASDの特徴の一つとされており、日常生活での不快感やストレスの原因となることがあります。このチェックリストを通じて、あなたがどの程度音に敏感であるかを自己評価してみましょう。
このチェックリストの結果は、あくまで自己評価のためのものです。得点に応じて、音に対する感受性の程度が示されますが、これが医療的な診断を意味するものではありません。
もし聴覚過敏が日常生活に大きな影響を及ぼしていると感じる場合は、専門の医療提供者に相談することをお勧めします。自分の状態を理解し、必要に応じて適切な支援や対策を求めることが重要です。
何故asdは聴覚過敏になりやすいのか
発達障害の生まれつきの脳機能の問題が関係していると思います。
発達障害の無い人とは違う脳や音、その他の感覚刺激が異なる方法で処理されているからだと考えられます。
感覚処理の違い
音や光、触感などの感覚が、ASDの人には普通の人よりも強く、または異なって感じられることがあります。
具体的に言うと、多くの人が「ただの背景音」と感じるものが、ASDの人には「主役級の騒音」として認識されるてしまうのです。
脳の過負荷
脳の過負荷が起こることも、聴覚過敏の一因とされています。
脳が情報を適切に処理できず、音の洪水に飲み込まれてしまう感覚です。
これは、まるで一度にたくさんのアプリを開いてスマホがフリーズしてしまうような感覚です。
脳がパンクしそうになると、自然とストレスが溜まり、それが聴覚過敏を引き起こすと考えられています。
パソコンに例えれば、ASDの人の脳は、感覚情報を処理する際に「古いコンピューター」のように作動することがあります。
最新のソフトウェアを動かそうとすると、すぐにフリーズしてしまう、そんな感じです。
ASDの聴覚過敏の対策
ASDの人が聴覚過敏の対策として出来ることは何でしょうか。
我慢する、耳栓をする、極力音の少ない環境で過ごす、などがあります。
音の根源を突き止めて、解決する
まず、問題の音の原因を明確にすることが大切です。
例えば、近所のエアコンの低周波音が気になる場合、その音の源を特定して、可能であれば修理や交換を検討しましょう。
苦情の手紙や、直接出向いて言いに行く方法もあります。
しかし、これは隣人の性格次第であり、逆にトラブルになる可能性もあります。
直接問題を解決できない場合でも、管理会社や製品のサポートに相談することで、予想外の解決策が見つかるかもしれません。
最終的には、市役所や警察に相談する手段もあります。
しかし、日本では企業や工事などから発せられる音の制限はあっても、個人宅の騒音を制限する法律はありません。
私も隣人の騒音で悩まされ公的機関に電話相談したことがありますが、法的に個人の騒音の規制が無いので、個人間で解決してくださいと言われました。
もしくは、騒音被害に対する業者に依頼して、交渉をしてもらう方法があります。
お金がかかりますが、解決の1つの方法としてあります。
他の音で相殺する
次に、不快な音をマスキングする方法です。
寝ていない時であれば、音楽を聴いたり、ノイズキャンセリング音、自分の部屋での他の雑音で誤魔化す手があります。
また、「ホワイトノイズ」として知られる、一定の背景音を使用することで、耳障りな音を感じにくくする技術があります。ホワイトノイズマシンやアプリを使えば、気になる音を上手く覆い隠して、心地よい環境を作ることができます。
私の場合、夏場であれば、近所の冷房の室外機の音は、扇風機を強風にすることで部屋の中を低周波音で満たすことで、外からの室外機の低周波音を相殺する感じです。
耳栓やノイズキャンセラー、イヤーマフを使う
音に対する対策方法として、耳栓やノイズキャンセリングヘッドフォン、イヤーマフは効果があります。
私も米軍仕様の耳栓や普通のやつ、洗っても使えるものなど、様々な耳栓を試しました。
ただ、どれも多少騒音がかき消されるだけで、完璧に音を遮断することはできません。
また、低周波音に対しては全くの無力です。
ノイズキャンセリングヘッドフォンは、5000~30000円以上と高く、使用したことが無いのですが、周囲の音を「打ち消す」効果を目的としています。
特に低周波の音に効果的で、例えばバスや飛行機のエンジン音など、持続的な低いドローンによく使われます。
イヤーマフは、耳を完全に覆うことで外部の音を遮断してくれます。
特に寒い地域や騒がしい環境で作業する人々に適していますが、聴覚過敏を持つ人々にとっても日常生活での使用が推奨されます。
私もイヤーマフは持っていますが、確かに周囲の音をほぼ遮断して無音状態にしてくれます。
また、低周波騒音にも気休め程度ですが、20%くらいの効果があるとは感じています。
ただし、耳への圧迫感が強すぎます。
普段使いであればいいのですが、寝ている時やリラックスしたい状態では、耳回りへの負担が強すぎて辛いです。
聴覚過敏を持つasd(アスペルガー)の子供
子供にASDの聴覚過敏がある場合、日常生活でもストレスを抱えてしまいます。
私が子供の頃は発達障害の概念自体がほぼ無く、聴覚過敏に気付かずに過ごしていました。
そもそも普通の人の状態が分からないので何とも言えないのですが、親には音に対する敏感さは凄かったと言われました。
特に物心つく前は、ちょっとした音でも泣き叫んでいたようです。
とにかく「神経質だった」と言われており、気が弱い性格のせいだと思われていました。
しかし、大人になった今、発達障害の聴覚過敏が音を感じ取りすぎてしまい、ストレスや心の乱れに繋がっていたのです。
asdの聴覚過敏の子供は大きな音が苦手
聴覚過敏の子供は、大きな音が物凄く苦手です。
というか、小さな音でも感じ取ってしまう為、大きな音の場合、さらに普通の人の何倍もの響や感じとってしまうのです。
特に、予期せぬ騒音や大きな音は、ASDの聴覚過敏がある子供にとって気がおかしくなるほど辛いです。
asdの人は、常に同じような状況で安心感を得ています。
不意の大きな音や雑音は、本当に心に負担やショックが強すぎます。
大きな音が苦手な子供には、予期せぬ騒音が少ない環境を作ることが非常に重要です。
家の中であれば、音が大きくなりがちな家電製品の使用を限定したり、静かな時間帯を設けることが役立ちます。
たとえば、子供が宿題をする時間帯はテレビの音量を下げる、などの工夫をしてください。
静かな環境の作り方
静かな環境を作るためには、部屋の防音対策も効果的です。厚いカーテンや絨毯を使うことで、外部からの騒音を減らすことができます。
また、部屋の配置を工夫し、外部の騒音が入りにくい部屋を子供の遊び場や勉強部屋として利用するのも良いでしょう。
親としてできること
最も大切なのは、子供の感覚過敏に対する理解と受け入れです。子供が音にどのように反応するかを理解し、それに対応する方法を一緒に考えましょう。また、学校や公共の場で子供が困らないように、教師や他の保護者にも子供の状況を説明し、理解を求めることも重要です。
聴覚過敏を持つasd(アスペルガー)の大人
asdの一種であるアスペルガーも、特定の音に対して異常に敏感です。
日常生活や職場での環境が感覚入力に大きな影響を及ぼすことがあります。
大人になっても聴覚過敏の問題は続くことが多く、これが普段や仕事場での対人関係に影響を及ぼすこともあります。
では、聴覚過敏を持つasd(アスペルガー)の大人が直面する課題にどのように対処し、より快適な生活を送るための工夫は何があるでしょうか?
トラブルが起きてしまう
聴覚過敏があると、日常的な環境音でも過剰に反応してしまい、周囲の人とのトラブルにつながることがあります。
例えば、オフィスでのプリンターの音やエアコンの動作音が原因で、集中できない、イライラが募るといった状況が生じるかもしれません。
こうした場合、具体的な音の原因を特定し、必要に応じて管理者や同僚に相談することが重要です。
音の源を遠ざける、あるいは自分のデスクの位置を変更することも一つの解決策です。
職場での適応・配慮
ASDの聴覚過敏がある人の場合、音や周囲の雑音が気になって集中できないことがあります。
もちろん、過集中状態のモードになれば気にならなくなるのですが、考え事や勉強や学習中だと、集中の妨げになってしまいます。
職場での適応策としては、個人の作業スペースにノイズキャンセリングヘッドフォンを用意する、静かな環境を確保するための部屋の提供などが考えられます。
また、重要なのは、職場の人たちに聴覚過敏の状態を理解してもらうことです。
これにより、無意識のうちに発生する騒音を減らす努力をしてもらえるかもしれません。
まとめ
今回は、発達障害のasd(自閉スペクトラム症・アスペルガー)の人の聴覚過敏問題についてお伝えしてきました。
発達障害のASDとして生まれて、私が一番人生で苦労しているのがこの「聴覚過敏」です。
子供の頃から常に音に悩まされ続けており、音になっても変わらず辛い状態です。
今この文章を書いていても、常に外の音が耳に入ってきます。
20mくらい離れた車の走っている音や、人の話し声。
10mくらい離れた家の階段の上り下りする音など。
さらには、50m以上離れてさらに家によって音の遮断がされているはずなのに、聞こえる公園のブランコのキーキーとした音など。
どんな小さな音でも拾って頭に入ってきてしまいます。
そして一番辛いのが、「低周波振動音」です。
もうどうしようもない。
頭と体に響いてきて、吐き気や頭痛を催します。
私自身、重度のasdの聴覚過敏だと思っています。
ASDの聴覚過敏の症状も人それぞれであり、具体的な対処法には個人差があります。
1つだけ確定的に言えることは、「我慢してはいけない」と言うことです。
一時的な普通の音や騒音は、我慢はできます。
しかし、継続的だったり、その時間に特定の音が出る等を我慢していると、ストレスが溜まりいつか爆発します。
特に低周波振動音は我慢していいものではありません。
脳と体に常に振動を流されている感じになり、心労が溜まるだけなく、身体にも良くありません。
なので、聴覚過敏は隠すべきものではなく、家族や友人、職場の同僚に適切な説明を行い、理解と協力を得ることも重要です。
また、騒音で悩まされているのであれば、市役所や専門の機関に相談してみることをお勧めします。
asdの人は、聴覚過敏の影響から騒音被害に遭いやすく、生き辛い私生活になりやすいです。
ですので、日常生活や社会生活において、ASDを持つ人々がより快適に過ごせる環境を整えることが絶対に必須なのです。