今の年代の高齢者(老人)の方は、自分が発達障害かどうかわからないと思います。
発達障害は、日本では2000年代の初めから中頃にかけて徐々に広まってきました。
2004年に発達障害支援法が公布されましたが、まだまだ一般的ではありませんでした。
ですので、ご高齢の方は心療内科や精神科に行かない限り、判明は難しいです。
ちなみにここで言う老人とは、国連が定める「高齢者」のカテゴリーで定めている65歳以上の方を対象としています。
発達障害のADHD(注意欠如・多動性障害)は、子供だけでなく、大人や高齢者にも影響を及ぼす可能性があります。
しかし、高齢者の場合、ADHDの症状は認知の変化や他の健康問題と重なることが多く、見過ごされがちです。
そこで、簡易的ではありますが、高齢者を対象にしたADHDのセルフチェックプログラムを作成しました。
このセルフチェックは、一般的な情報提供のみを目的としており、医療の専門家による診断や治療の代替としては意図されていないです。
ですが、1つの指標として「ADHDかも」と考察できる要因の1つとなれればと思います。
セルフチェックの結果に基づいて自己診断を行うことなく、専門的な医療機関での相談をお勧めします。
もし、このチェックリストを通じて何か心配事が浮かんだ場合は、医療の専門家にご相談ください。
この無料セルフチェックプログラムは、高齢者の方々が自身の状態をよりよく理解し、必要に応じて専門的な支援を求める一歩となることを目的としています。
老人(高齢者)のADHD診断プログラム
このセルフチェックを行う際には、最近数ヶ月のご自身の行動や感情に基づいて回答してください。
各質問に対するあなたの感じ方を、4つの選択肢から選んでください。
このセルフチェックプログラムは、ICD-11(世界保健機構【WHO】が出版した国際疾病分類の第11版)およびDSM-5-TR(アメリカ精神保健機構【APA】が出版した精神疾患の診断・統計マニュアル)を参照に作成しました。これらの基準は、世界的に認知された医学的ガイドラインであり、最新の研究に基づいています。
しかし、セルフチェックは、一般的な情報提供のみを目的としており、医療の専門家による診断や治療の代替としては意図されていません。
セルフチェックの結果に基づいて自己診断を行うことなく、専門的な医療機関での相談をお勧めします。
もし、このチェックリストを通じて何か心配事が浮かんだ場合は、医療の専門家にご相談ください。
adhdが疑われる老人の特徴とは?
ADHD(注意欠如・多動性障害)は、子どもだけでなく、大人や高齢者にも見られます。
老人になっても、ADHDの特徴は変わらず、私生活に影響があります。
ここでは、ADHDが疑われる高齢者の特徴と、その方々とどのように接するべきか、さらにADHDと認知症の違いについて、わかりやすく解説します。
adhdの多動性の高齢者の特徴
ADHDには主に「多動性・衝動性」と「不注意」の二つのタイプがあります。
これらの症状は高齢者においても見られますが、表れ方には個人差があります。
多動性・衝動性を持つ高齢者は、落ち着きがなく、衝動的な行動を取りやすい傾向にあります。
行動の特徴
・座っていることが苦手で、常に動き回りたがる
・話題がコロコロ変わり、一つの話を最後まで聞くのが難しい
・衝動的な行動が目立ち、後先考えずに物事を決定することがある
生活上の影響
・安全に対する配慮が薄れがちで、事故に遭いやすい
・睡眠パターンが不規則になりがち
・新しい趣味や活動に飛びつきやすいが、すぐに飽きてしまう
adhdの不注意優勢型の高齢者の特徴
不注意が優勢なタイプのADHDを持つ高齢者は、以下のような特徴が見られます。
注意力の問題
・日常生活での細かなミスが多い(物を置き忘れる、約束を忘れるなど)
・長い話や指示を聞いていられない
・複数のタスクを管理することが苦手
生活上の影響
・家事や趣味の活動において集中力が続かない
・忘れ物や紛失が頻繁に発生する
・新しい情報を覚えるのに時間がかかる
adhdの老人(高齢者)との付き合い方
adhdの高齢者は、周りの人に迷惑をかけたり、自分自身にも苦労をしたりすることが多いです。
しかし、adhdの高齢者は、悪気があってそうしているのではありません。
adhdの高齢者は、自分の行動をコントロールするのが難しいのです。
ですので、adhdの高齢者と付き合うときは、以下のことに気をつけてください。
- 怒ったり、攻めたりしないようにする
- 明確で簡潔で具体的な指示や要求を伝える
- 好奇心が強いので、一緒に楽しいことや興味のあることをする
- 自分の能力や価値に不安を感じているので、誉めたり,励ます
adhdの老人の方との付き合い方は、理解してあげることと、サポートが大切です。
たとえば、話をじっくり聞いてあげる、忘れ物を探すのを手伝うなど。
また、大事なものはいつも同じ場所に置く、といった習慣を一緒に作っていってあげてください。
adhdと認知症の違い
ADHDは生涯にわたる状態であり、高齢者になってもその特徴が見られます。
しかし、高齢者の場合、ADHDの症状が認知症や老化の一部と誤解されがちです。
ADHDは注意の散漫や多動性などが特徴で、子どもの頃から続くことが多いです。
一方で、認知症は記憶力の低下が主で、高齢になってから徐々に現れます。
ADHDと認知症は、どちらも脳の働きに関係する障害ですが、違いがあります。
その違いのひとつは、病気の進み方です。
ADHDは生まれつきの障害で、症状は変わることがありますが、悪くなることはありません。
しかし、高齢になると、ADHDの症状が他の病気や老化の影響を受けやすくなります。
例えば、注意力が低下したり、集中力が散漫になったり、衝動性が高まったりすることがあります。
また、ADHDの人は、うつ病や不安障害などの心の病気にかかりやすいという研究もあります。
認知症は、脳の神経細胞が死んでしまうことで、記憶力や判断力などの脳の機能が低下する病気です。
認知症には、アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性などの種類があります。
それぞれの種類によって、症状や進行の速さが異なります。
アルツハイマー型は、記憶力の低下が最初の症状で、徐々に言語能力や認知能力が低下していきます。
レビー小体型は、幻視や幻聴などの精神症状が特徴で、症状の出方が日によって変わります。
脳血管性は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳の一部が損傷することが原因で、症状は突然現れます。
ADHDと認知症の関係性
ADHDと認知症の関係については、まだ十分に解明されていない部分が多いです。
ただ、最近の研究では、ADHDの人は認知症になりやすいという説が提唱されています。
これは、ADHDの人は脳の前頭葉や側頭葉などの構造や機能に異常があることや、ADHDの人は認知症の危険因子となる生活習慣や合併症を持ちやすいことが理由として考えられています。
そのため、ADHDの人は認知症の予防や早期発見に努めることが重要です。
まとめ
今回は、ADHDと老人(高齢者)の関係性、セルフ診断プログラムをお伝えしてきました。
まとめとして、ADHDは子供の頃から存在し、高齢者になっても続く生涯にわたる状態です。
しかし、高齢になると、ADHDの症状は認知症や老化の一部と誤解されることがあります。
ですので、ADHDの高齢者は特に注意深い観察と理解が必要です。
また、ADHDのある高齢者は、認知症のリスクが高まる可能性があるため、予防策と早期発見が特に重要です。
セルフチェックプログラムは、高齢者自身がADHDの兆候を見極め、必要に応じて専門的な支援を求めるための第一歩となります。
しかし、このセルフチェックは診断ツールではなく、あくまでも自己認識を高めるためのものです。
疑問や心配がある場合は、専門の医療機関での相談してみてください。