「ゴミ屋敷」という言葉を聞くと、多くの人がイメージするのは、物であふれかえった家のことだと思います。

実際その通りなのですが、ゴミ屋敷の家で育つと、子供時代はもちろん、大人になっても心に傷を負ってしまいます。
理由は、家に人を呼べないからです。
友達はもちろん、近所の人も誰も家に入ることができません。
ゴミで溢れかえっている家が恥ずかしいから。

私は、物心つく前から家がゴミ屋敷状態でした。
母親が物を全く捨てられない人で、何でも取っておくのです。

例えば、ロールパンの入っていた袋を母親は「何かに使える」と思っており、取っておく。マーガリンの容器も洗って保管しています。
ちょっとした食べ物がはいっていた、誰でも捨てるだろうと思われる容器を洗って再利用しようとする。

とにかく、本物のゴミ以外、ありとあらゆるものが捨てられない。保存してしまう。

おかげで、狭くてボロイ家の部屋数が4つしかない無いのに、3つはゴミで制圧されている状態でした。
生活空間も、段ボールが隣に常にある状態です。
家族はみんな言うだけ無駄なので諦めていました。

また私は発達障害のASDで友達ができませんでしたが、ゴミ屋敷の影響も多大にあります。

子供の頃の友達付き合いは、大体相手の家に行って遊ぶと思います。
それが出来ないので、毎回、断っていました。
相手の家に行くこともできません。行ったら今度は自分の家に招待しなくてはならなくなる為です。

近所の人が来ても、毎回玄関か、わざわざ外に出て会話している母を見てきました。
そもそも玄関も、余計な物で進路が狭まれており、見られると恥ずかしい状態です。

何で「恥ずかしくないんだろう」と感じます。
そこまで、どうでもいい物に執着する理由は何なのだろうか。
家族に多大な迷惑を掛けてまでも。

今思うと異常ですが、当時はその状態で育ってきたので普通だと思っていました。
また、発達障害のASDの想像力の欠如、気付けない、普通が分からないなどの影響から、ゴミ屋敷への認識の甘さもありました。

ただ、「ゴミ屋敷の家が恥ずかしい」というのは、常に心に持ち続けていました。

今現在も、母親と暮らしていますが、ゴミ屋敷状態です。
それどころか、狭い家だけでなく、庭も狭いのに(車1台分くらいのスペース)、家庭菜園をしています。
他の家はこんなことをしていないです。
夏には、蚊が溢れかえり、虫がわんさか出てきます。

どう考えても近所迷惑です。
しかし、それでも止めようとしない母親。
さらに酷いことに、その狭い庭でも訳の分からない物の山を作っている始末。
言っても無駄だと思うので諦めています。

何故、どうでもいい物を捨てられないのだろうか。
理由を聞いたことがあるのですが、はぐらかされて教えてもらえません。

断捨離のテレビ番組があるのですが、母親はそれを熱心に毎週見ています。何を思って見ているのでしょうか。
むしろ、その番組に出るべきだと本気で思っています。
恥ずかしいので止めて欲しいですが。

今回は、ゴミ屋敷の悲惨さについて、そして子供に与える影響などについて、書いていきたいと思います。

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ゴミ屋敷になる原因

私の母親の場合、家が貧乏だったのが原因だと思っています。
何でも使えると思われるものは取っておいて、節約しているのかもしれません。

しかし、そのいざ使うかもしれない状態になる事は稀であり、ゴミとなり果てているのです。
そもそも、本当にそれが役に立つのか。
しかも、どうでもいい食べ物の入っていた何かの容器、古い雑誌や新聞、壊れた家電、衣類、子供の頃の玩具、壊れた椅子などなど。
とにかく、何でも再利用できると考えており、捨てられない母親です。

物をため込んでしまう心理状態とは

物をため込んでしまう心理状態とは、ただの片付けが苦手なように見えます。
でも、実はもっと深い心の動きが隠されているのです。

物に対する愛着や、捨てた後の後悔、あるいは未来への不安から来るものです
物を捨てるという行為は、これらの感情と向き合うことを強いられるため、避けがちになります。

物を捨てられない心理状態とは

人はなぜ物を捨てられないのか、それは「捨てる=失う」と感じるから。
物には思い出や感情が詰まっていて、それを手放すことは、大切な何かを失うことに等しいと感じるんですよね。

例えば、子供の頃のおもちゃや、昔の手紙など、感情的な価値を持つ物は特に捨てにくいと思います。
これらの物は、私たちの過去の一部であり、捨てることでその時代とのつながりを失うような気がしてしまうのです。

また、物を捨てることで、その物が未来に役立つ機会を逃してしまうかもしれないという恐れもあります。これは、特に経済的に不安定な時期を経験した人々に見られる傾向です。

ADHDかもしれない

ADHDの特徴の一つに物を散らかしやすい、片付けが苦手ということがあります。
これは、注意力の散漫や衝動性、そして物事を計画するのが難しいというADHDの症状から来ているのです。

ADHDの人は、物を片付けることに集中するのが難しいだけでなく、物に対して特別な意味を見出しやすい傾向があります。

例えば、使わないノート一冊でも、「いつか使うかもしれない」と思ってしまう。この「いつか」がなかなか来ないために、物が溜まっていくわけです。

では、ADHDの傾向がある人が片付けを克服するにはどうしたらいいでしょうか。
一つの方法は、タイマーを使って短時間だけ片付けに集中すること。
たとえば、「10分だけ片付ける」と決めて、それ以上はしない。これを毎日続けることで、少しずつでも進歩が見られるはずです。

また、物を捨てる際には、「この物がなくても大丈夫」と自分に言い聞かせることも大切です。物に対する執着を手放すことで、心にもスペースができ、新しいことに挑戦する余裕が生まれます。

ゴミ屋敷で育った子供はどうなる?

ゴミ屋敷で育った当事者としては、恥ずかしい思いを常にしてきており、それを隠すために自分を偽っていたと思います。

家がゴミ屋敷と言うことを、学校のクラスの人や周囲に知られたくない。
惨めな環境だと思われるから。
おかげで、自己肯定感が異常に欠如した人間になった要因になっています。

家に友達を呼べない・友達付き合いができない

家に友達が呼べず、同年代の人と交流出来ないとどうなるでしょうか。

家が散らかっていると、恥ずかしくて友達を家に招くことが難しくなります。その結果、子供時代に必要な社会的スキルを得る事が出来なくなるのです。
他人との距離感を保つ方法を知らず、社会的なつながりを築くことが難しいです。

友達を家に招けないという事実は、孤独感を強め、社会から孤立してしまう原因となります。これは、成長するにつれて人間関係を築くスキルに欠けることにつながり、孤独と孤立がさらに深まる悪循環を生み出します。

また、大人になって、友人や恋人、その他の人を家に呼ぶことになった時、どのような対応やもてなし方をしていいか、経験が無いので難しくなります。

友達との遊びは、協調性や共感力など、人として大切なスキルを育む機会です。しかし、ゴミ屋敷ではそのような経験が制限されてしまうのです。

ストレスで精神障害を抱える可能性

家がゴミ屋敷で「恥ずかしい」という気持ちを持ち続けたまま子供時代を過ごしていると、自己肯定感が欠如し続けます
常に自分が普通ではない劣等な状態だと思ってしまうからです。

この精神状態では、不安やうつ病などの精神障害が発生するリスクが高まります

日常生活において自己肯定感が不足していると、小さな失敗や挫折を乗り越える力が弱まり、精神的な健康が脅かされることになるのです。

運が悪くなる

私は自分の人生でずっと「運が悪い」と感じていました。
今思うと、ゴミ屋敷の影響があったのかもしれない、と感じています。

風水を信じる人々は、家の環境が人の運命に影響を与えると考えます。
環境が人の運気に影響を与えるという考え方です。

ゴミ屋敷の環境は、運気を下げるとも言われています。

ゴミ屋敷の環境が運気を下げるとされる理由は、不要なものが常に周囲に存在することで、新しいエネルギーや機会が家に入り込むスペースがないためです。

風水においては、環境が清潔で整理されていることが運気を高める要因とされます。
しかし、逆に乱雑で不要な物が溜まっている場所(ゴミ屋敷)では、悪いエネルギーが滞りやすく、これが生活全般に不運な影響を及ぼすと言われています。

また、ゴミ屋敷の状態は、住む人々の心理的ストレスを増加させ、それが運の悪さとして現れることもあります。
心理的な不安定は判断力を鈍らせ、重要な決定や選択を間違える原因となるため、それが結果的に「運が悪い」と感じる状況を生むのです。

このように、ゴミ屋敷で育つことは、子供たちの心理的、社会的発達に多くの影響を与える可能性があります。そして、これらの影響は、大人になってからも続くことがあります。

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高齢の親は物を捨てない

高齢になると、物を捨てることが難しくなる人が多いです。

私の母親も80歳を超えましたが、昔と変わらず物を捨てられない、それどころか悪化していると感じます。
年齢による、脳の劣化(柔軟性の衰え)から頑固さが増しているからです。

高齢になると、物に対する愛着や思い出が増すため、捨てることが一層難しくなります。
また、物を捨てるという行為自体が、肉体的にも精神的にも負担になることがあります。

さらに、物を捨てることで、自分の存在や過去を否定するような感覚に陥ることもあるのです。

多くの高齢者は、物を捨てることに抵抗を感じることがあります。これは単に年齢によるものだけでなく、過去の経験や生活環境が大きく影響しています。

戦後の困難な時代を経験した世代では、物資が不足していたために「ものを大切にする」ことが必須であり、その価値観が現在も続いているのです。
さらに、物を捨てることが心理的に「安全」な選択ではなく、「無駄」や「損失」と感じることもあります

では、どうすれば高齢の親を説得して、物を捨てることができるのでしょうか。
私の母親の場合は、もう諦めています。絶対に言っても聞かない人なので。

一般的に考えられる方法としては「危機感」が挙げられると思います。

ゴミ屋敷状態がどれだけ家族に迷惑を掛けているのか。
その認識を理解できるかどうかが鍵だと思います。

家族の人が友達や知り合いを家に呼べない」という状態がどれだけ大問題になっているのか。

また、ゴミ屋敷は単なる不便や不快な場所だけではなく、実際に住む人々の安全に対するリスクとなる。
例えば、火災の危険性が増大し、清潔や衛生の問題が発生しやすくなることで、健康被害を招く可能性が高まる。

というような、家族一人一人の迷惑度や安全性、精神的な問題をゴミ屋敷によってどれだけの被害を被っているのかを理解してもらう必要性があると思います。

まとめ

物を捨てられない両親の下で育つ子供は不幸だと思います。
特に、家がゴミ屋敷状態の場合、子供は勝手に捨てることができないし、対処も出来ないです。

そんな家庭で育った子供は、自己肯定感の欠如や自尊心が失われ、将来的にうつ病や精神障害になりやすいかもしれません。

実際、私自身がゴミ屋敷で育った結果、生まれつきの発達障害のASDの影響もありますが、友達はおろか、知り合いすらいません。

子供の頃に、ASDの影響で友達が出来ずらい状態だけでなく、せっかく家に誘ってくれても、次は「自分の家(ゴミ屋敷)に招待しなければならない」という気持ちが浮かび、遠慮してしまうのです。

ゴミ屋敷は100害あって一利なしです。
精神的影響、風水的な運の悪さ、物理的な生活環境への悪化、衛生面や事故や怪我に繋がりやすいなど。

ゴミ屋敷の家によって、常に心に暗い影を抱えたまま過ごさなければならないのです。

子供がゴミ屋敷で育つことは、心理的発達において重大な障害となり得ます。不快で不健康な環境は、子供の心にストレスと不安を与え、正常な感情の発達を妨げることがあります。

また、自宅に友達を招けないことによる孤立感は、自己価値感や社会的技能の発達にも悪影響を与えます。このような状況は、成人後も様々な対人関係の問題を引き起こす原因となることが多いのです。

対処方法としては、もう家族間での解決は困難だと思います。
ですので、、外部の支援を受けることが重要だと思います。

プロの片付け支援サービスや心理カウンセリングを利用することにより、問題を解決へと導くことが可能になるのです。

特に専門家の介入により、物を捨てる行為が正常な行動であるという認識を母親に理解させることができる可能性があります。

私の母親はもう80歳を超えており、物を捨てられないのは諦めています。
思考がもう固まってしまっており、大掛かりな何かが無い限り、無理だと感じてしまっています。

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