2018年に障害者雇用の対象に精神障害の加わったことで、発達障害の人の就職状況も改善されてきました。
しかし、2023年現在も依然として、障害者雇用の枠として採用されるのは主に、身体障害者です。
障害者の枠組みは、身体障碍、知的障害、精神障害があります。
会社や企業側の立場からすれば、体に問題があっても、脳が健常者と同じであれば、使いやすい人材といえます。
知能や精神状態に問題がある人の採用が減ってしまうのも仕方がないのかもしれません。
ただ、最近は発達障害の理解が進みました。
発達障害者であっても、サポートがあれば健常者並み、もしくはそれ以上の生産性を生む可能性があります。
発達障害の人は、脳の凹凸により、特定の能力が突出して高い人もいます。
健常者には無い欠点があるけれど、理解や支援があり、環境によっては普通の人には無い多大な貢献ができるのです。
ASDでは、IT系、専門的な分野、ADHDでは芸術、創造性など。
雇用する側としては、依然として身体障害の人が障害者雇用として多いですが、年々、精神障害者の採用人数も増えています。
今回は、精神障害(発達障害)の障害者雇用についてお伝えしていきます。
障害者雇用・精神障害(発達障害)の推移・割合
厚生労働省の障害者雇用状況のグラフがあったのでご紹介します。
グラフを見てみると、平成30年に障害者雇用の枠に加わった精神障害の人の雇用率が増加傾向にあります。
平成30年の全体の障害者雇用人数は、約53.5万人。
そのうち、身体障害者が34.6万人、知的障害が約12.1万人、精神障害が約6.7万人となっています。
障害者雇用での精神障害の割合は、全体の約12.5%になります。
翌年の令和元年では、精神障害者雇用は約7.8万人となり、全体の約13.8%。
令和2年では、精神障害の雇用人数は、約8.8万人となり、全体の約15.3%。
令和3年では、精神障害の雇用人数は、約9.8万人となり、全体の約16.3%
令和4年では、精神障害の雇用人数は、約11万人となり、全体の約17.9%
令和5年、2023年の障害者雇用および、精神障害の雇用率はまだ発表されていません。
しかし、厚生労働省が発表したグラフの推移から、ある程度予想することはできます。
ここ3年ほど毎年、約1.5~1.8万人の障害者雇用の人数が増えており、障害者雇用の総数は令和5年2023年には、63.5万人を超えると思われます。
精神障害(発達障害)の雇用率の割合でいえば、1~1.5%の増加傾向であることから、障害者雇用全体の、19.5%くらいにはなると予想されます。
人数でいえば、障害者雇用で約5人に一人に精神障害の人が雇用されている(就職している)計算となります。
精神障害の区分
精神障害の区分である発達障害の人の就職率及び、雇用率は年々あがってきてはいます。
しかし、精神障害の概念は、発達障害だけではありません。
法律によると、精神障害の枠組みは、統合失調症、鬱病、双極性障害、何かの精神の問題による依存症などです。
精神障害の範囲は、発達障害だけでなく、精神に何らかの問題を抱える精神疾患全体です。
2018年に障害者雇用の枠に精神障害が加わったとしても、発達障害の人の就職・採用率が上がったとは限らないのです。
発達障害は先天性の脳の機能異常であり、現代医学では治療することができません。
しかし、うつ病や統合失調症、その他の精神障害は後発的な問題であり、治すこともできます。
企業や会社側からすれば、完治する精神障害の人の方が採用しやすい可能性があります。
また、発達障害は2次障害として、その他の精神障害になることもあり、最小する側としては敬遠されてしまうのかもしれません。
ただ、発達障害の人は、特定の能力や技能が優れている人もおり、適職にマッチすれば、生産性は非常に高いです。
障害者雇用率の割合
障害者雇用促進法が1960年に制定され、1976年に障害者雇用が義務化されました。
それに伴い、障害者雇用率が5年を目安に設定(増加)されていきました。
厚生労働省のデータをもとに、障害者雇用率の割合の推移をグラフにしてみました。
平成10年の民間企業の障害者雇用の義務の割合は、1.8%。
5年後の平成25年度は、2.0%
平成30年は2.2%。
令和3年は、2.3%。
今年の令和5年も2.3%です。
厚生労働省によると、翌年の令和6年から2.5%、令和8年には2.7%に引き上げられるようです。
障害者雇用の義務の人数
企業が障害者の雇用をしなければならない人数は、会社の人数によります。
平成25年度の雇用義務の割合でいえば、2%なので、社員50人にいれば、一人の割合で障害者を雇用しなければなりません。
現在は2.3%ですので、約43.5人社員がいれば、一人の割合で障害者を起用しなければなりません。
法律で定められた障害者雇用をしない企業は罰則が設けられています。
100人未満の企業の場合、障害者を雇用しなくても罰金はありません。
しかし、100人以上で障害者を雇用しない場合、一人につき5万円支払わなければならなくなります。
また、違反をし続けると、行政指導が会社に入ります。
改善しない場合、厚生労働省のHP上に企業名が載ります。
障害者を雇用するだけで助成金が入りますし、ほぼメリットしかないと思います。
身体障害者のみの起用であれば、対人関係でのトラブルは極力抑えられます。
精神に問題があったとしても、サポートや理解があれば、健常者異常の能力を発揮することもあります。
昨年の障害者雇用違反の企業数は5社となっており、ほぼ全企業が法律を遵守していると思われます。
まとめ
障害者雇用の割合は、年々増えてきており、今後も増加傾向が予想されます。
ただ、依然として障害者枠として、身体障害者を企業が採用する割合は高いです。
体だけの問題であり、能力的には健常者と変わりが無いからです。
精神に問題がある場合、人とのトラブルやその他のサポートが難しく、企業側が敬遠してしまうのも仕方がないのかもしれません。
それでも、発達障害の理解が進み、企業によっては採用が高くなる場合もあります。
以前テレビで、発達障害の人を積極的に雇用する番組を見たことがあります。
発達障害の人は、ある特定の能力が高い人がおり、健常者異常の活躍できる場があります。
テレビでは、IT系の会社で、プログラミングや、センスを問われる業務がありました。
発達障害のASDの人は、プログラムや反復作業が普通の人よりも優れている場合があります。
また、ADHDの人は、芸術やひらめき系の能力が高い人もいます。
発達障害の特性から、能力に合う適職につければ、生産性が物凄く高くなるのです。
会社内では、発達障害の人の能力が発揮されるように、休憩環境や障害の特性に対する配慮がされていました。
ただ、障害者雇用の枠内であり、給料は普通の社員よりも低いと思われます。
労働の生産性に対する給料が障害者雇用だと、低く設定されているのは改善してほしいと思います。
精神障害の雇用状況は依然として厳しい割合ですが、毎年少しずつ改善されてはいます。
発達障害であっても、理解やサポートがあれば健常者並みに活躍できます。
環境を企業や国がもっと積極的に支援してほしいと思います。