発達障害の子どもは、普通の子どもとは違う行動をとることがあります。
それは、発達障害の特性によるもので、本人は悪気がないのですが、周囲の人には問題行動と見られてしまうことが多いのです。
私自身も発達障害(ASD)の診断を受けており(当時は判明していない)、子どもの頃にはたくさんの問題行動をしてしまいました。
例えば、工作の授業で隣の人の作品を真似したり、集団登校で忘れ物をして走り出したり、といったことです。
当時は自分の行動に何の問題もないと思っていましたが、クラスの人たちからは変な目で見られたり、バカにされたりしました。
その結果、自分は変な人、ダメな子どもだと思い込んでしまい、心を閉ざしていきました。
発達障害の子どもが問題行動を起こす理由は、さまざまです。しかし、大きく分けると、以下の3つに分類できます。
・本人がよかれと思っている
・パニック時やパニックの回避行動
・発達障害の特性によって普通ができない
それぞれの理由について、具体的な事例とともに説明していきます。
本人がよかれと思っている
発達障害の子どもは、自分の感情に素直に行動することが多いです。
しかし、その行動が親や教師、クラスの子にとっては、変だったり、問題のある行動になってしまうことがあります。
私の場合、小学3~4年生の頃に、家が近くで親同士が仲が良い子が同じクラスにいました。
クラスの学級委員のような代表を決める時に、私はその子を推薦してしまいました。
すでに有力候補が2人に絞られており、リーダー的存在でもなく、全く関係のないその子を私は推してしまいました。
周囲からは「あり得ない」「何で?」といった疑問と、頭おかしいというような奇異な視線とざわつきがあったのを覚えています。
ただ単に、知り合いだったからという単純な思考だったのです。
しかし、その子には恥ずかしい思いをさせてしまい、多大な迷惑をかけてしまいました。
このように、発達障害の子どもは、自分の思い付きや突発的な行動で、周囲を困らせてしまうことがあります。
本人は悪気がなく、普通の行動や正しい行動だと思っているのですが、周囲からは何故そのようなことをするのか理解不能な問題行動であることが多いのです。
パニック時やパニックの回避行動
発達障害の子どもは、特性によってパニックになる状況に追い込まれやすいです。
ASDの子どもは、想定外のことが起こると、思考がフリーズしてしまいます。
何も考えられず、固まってしまったり、ふと浮かんだ間違った行動をしてしまいがちです。
私の場合、小学校の頃に、授業中に先生に呼ばれて答えるという状況が苦手でした。
先生の質問がわからなかったり、答えが思い浮かばなかったりすると、パニックになってしまいました。
その時に、私は無言で席を立って教室から出てしまったり、突然泣き出したり、先生に向かって怒鳴ったりしました。
また、発達障害の子どもは、パニックになると教室で暴れてしまったり、授業から抜け出すなど、普通の子どもには考えられない行動をしてしまいます。
これは、パニックの回避行動と呼ばれるもので、自分の感情をコントロールできないために起こるものです。
発達障害のパニックを知らないと、ただ単に問題行動をしていると捉えられてしまうのです。
しかし、本人は自分の感情や行動を制御できないのです。
パニックになると、理性が働かなくなり、本能的に逃げたり、攻撃したりするのです。
発達障害の特性によって普通ができない
発達障害のASD、ADHDの子どもは、普通の人と同じように成長できません。
そのため、普通の子ども(定型発達)が自然に身に付ける行動ができないのです。
例えば、挨拶をする、順番を守る、話を聞く、目を見る、感謝を伝える、協力するなどの社会的なスキルが身につかないのです。
これらのスキルは、普通の子どもは親や周囲の人から自然に学んでいきますが、発達障害の子どもは学びにくいのです。
そのため、普通の子どもには当たり前の行動が、発達障害の子どもには難しい行動になってしまいます。
発達障害の子どもは、自分のできないことや苦手なことに気づいていることが多く、自己評価が低くなりがちです。
また、できない理由がわからないため、「できません」と言うのではなく、「やらない」と言ってしまいます。
その結果、親や教師からは「わがまま」「反抗的」と見られてしまうことがあります。
発達障害の特性は現代医学では治らず、自己分析と、経験の積み重ねで問題行動を減らしていくしかありません。
しかし、そのためには、親や教師などの大人が、発達障害の特性を理解し、適切な支援をしてあげることが必要です。
発達障害の子どもの問題行動に対する親の心構え
発達障害の子どもの問題行動に対処するには、親の心構えがとても重要です。以下のようなポイントを意識してみてください。
・子どもの特性を受け入れる
・子どもの良いところを見つけて褒める
・子どもの気持ちを聞いて共感する
・子どものペースに合わせて指導する
・子どもの自立を促す
・子どもの将来を信じる
子どもの特性を受け入れるというのは、子どもが発達障害であることを否定したり、隠したりせずに、そのままの姿を認めてあげるということです。
発達障害は病気ではなく、個性のひとつです。子どもが自分の特性を受け入れるためには、まず親が受け入れることが大切です。
子どもの良いところを見つけて褒めるというのは、子どもの自己肯定感を高めるために必要なことです。
発達障害の子どもは、自分のできないことや苦手なことに目がいきがちですが、それだけではなく、得意なことや好きなこともたくさんあります。
親は、子どもの長所や努力を見逃さずに、積極的に褒めてあげましょう。
子どもの気持ちを聞いて共感するというのは、子どもの感情を無視したり、否定したりせずに、理解しようとするということです。
発達障害の子どもは、自分の感情をうまく表現できないことがあります。
親は、子どもの言葉や態度に惑わされずに、本当に伝えたいことや求めていることを察してあげましょう。
子どものペースに合わせて指導するというのは、子どもに無理な要求をしたり、期待しすぎたりせずに、子どもの成長に応じて適切な指示や支援をしてあげるということです。
発達障害の子どもは、普通の子どもよりも時間がかかったり、繰り返し教えたりしなければならないことがあります。
親は、焦らずに根気よく、子どものできることを増やしていくことを目標にしましょう。
子どもの自立を促すというのは、子どもに過保護にならずに、自分で考えて行動できるように促してあげるということです。
発達障害の子どもは、親や教師などの大人に頼りがちですが、それでは社会に出たときに困ってしまいます。
親は、子どもにできることは自分でやらせてあげましょう。また、失敗しても叱らずに、失敗から学ぶことを教えてあげましょう。
子どもの将来を信じるというのは、子どもに対してネガティブな思い込みをせずに、子どもの可能性を信じてあげるということです。
発達障害の子どもは、普通の子どもとは違う道を歩むことがありますが、それは決して悪いことではありません。
親は、子どもの個性や夢を尊重してあげましょう。また、子どもが自分の特性を理解し、自分の強みを生かせるように、必要な情報や支援を提供してあげましょう。
まとめ
発達障害の子どもは、過去に普通の人にはない恥ずかしい問題行動が、たくさんあると思います。
自分としては、特に問題ではないと思っている行動が、普通とはかけはなれているのです。
本人は、何で変な目で見られたり、バカにされるのかが理解できません。
問題自体にまったく気づいていないからです。
発達障害の子どもが問題行動を起こす理由は様々ですが、その背景には、発達障害の特性や、周囲の人とのコミュニケーションの不足、環境の変化による不安などがあります。
問題行動を減らすためには、親や教師などの大人が、発達障害の特性を理解し、適切な支援をしてあげることが必要です。
また、親の心構えもとても重要です。
子どもの特性を受け入れてあげたり、子どもの良いところを見つけて褒めてあげたり、子どもの気持ちを聞いて共感してあげたり、子どものペースに合わせて指導してあげたり、子どもの自立を促してあげてください。