あなたは人に何かをお願いするときに、
どのくらいためらってしまうでしょうか。

親や兄弟、仲の良い友達などには、
頼みごとの大きさによりますが、
交渉することはできると思います。

学校や会社の人など、
あまり親しくない知り合いに対しても
難しいとは思いますが、
話すくらいはできると思います。

発達障害の人の場合は、
身近な人でも、そうでなくても、
頼ったり、頼むことが非常に苦手です。

普通の人(定型発達)にはない、
心の問題を抱えているからです。

逆に頼み事をされると
断ることができずに、
難しい問題でも受け入れてしまいます。

頼られることで自尊心が満たされ、
自分の存在意義が証明されるからです。

では、具体的になぜ発達障害の人は
人に頼れず、頼めない状態に
なってしまうのでしょうか。

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人にお願いできない発達障害の特徴

発達障害の人が頼みごとをできなかったり、
頼まれたら断れない理由は、2つあります。

1つ目は「劣等感」です。

発達障害の人は、子供の頃から
普通の人ができることができずに、
常に劣等感を抱えて育ってしまいます。

運動が苦手だったり、
勉強ができなかったり、
友達が作れないなど。

発達障害(ASD、ADHD)の特性によって
人それぞれ困難な目に合ってきています。

そのため、深層心理に心の傷があり、
人の役に立ちたい
人に迷惑をかけてはいけない
という強い気持ちが植えつけられて
しまうのです。

しかし、発達障害の人は、
過去の経験からくる劣等感よりも、
生まれた時点ですでに劣等感を
もっていると言われています。

先天性の脳の機能異常のために、
普通の人(定型発達)よりも、
申し訳ない
私なんかの為に
などの気持ちが強い傾向にあるのです。

2つ目は「返報性の原理」です。

あなたは、返報性のルールという言葉を
ご存知でしょうか。

返報性のルールとは、
他人が私の為に何かをしてくれたら、
自分も相手に同じようにお返しをしなければ
ならない
」というルール(気持ち)です。

誕生日プレゼントを貰ったら、
相手の誕生日にも何かを返さなければ
ならない、という気持ちになると思います。

このように恩恵を受けたら
借りができてしまい、
落ち着かない気持ちになってしまうのです。

この恩義という心理的な重圧から
解放されたいために、
お返しをするのです。

この返報性のルールは、
社会のさまざまなシステムの中で
利用されています。

食品コーナーの試食では、
1度食べてしまったら、
欲しくない物でも買わなければならない
という気持ちになってしまいます。

新聞のセールスでは、洗剤やチケットなど
何かしらの物品を押し付けて
恩義を感じさせようとします。

無料の試供品などは、
商品を知ってもらう意味もありますが、
それ以上に「贈り物」として
返報性のルールを強制しているのです。

タダほど高いものはない
とよく言われますが、
これは全て返報性のルールによって
気持ちをコントロールされているからなのです。

話が長くなりましたが、
発達障害の人はこの「返報性の原理」
の影響をもろに受けてしまうのです。

ASDの人は疑う心が極端に低く、
何でも真に受けてしまいます。

心が純粋なため、
人から恩を受けると感謝の気持ちが
普通の人よりも何倍も感じてしまいます。

また、自分の心の中から湧き上がってくる
お返しをしなければならない
という強い気持ちが抑えられず、
必要以上のお礼をしてしまうのです。

これらの気持ちが発達障害の人は
強すぎるため、恩義を感じすぎてしまい、
心理的な重荷を背負いすぎてしまうのです。

そのため、必要以上に人に頼ることが
はばかられるのです。

逆に発達障害の人は頼まれごとをされても、
相手に恩を与えた」という気持ちは
極端に薄いです。

先天性の脳の習性と、
環境による劣等感の影響で、
人の役に立ちたいという気持ちが
強いからです。

ちなみに返報性のルールは
ほとんどの人が影響されますが、
破る人もいます。

相手に一方的にしてもらうだけで、
自分は何も返さない。

親切にしてもらっても
お礼を言わないなど。

このように返報性のルールを破る人は、
嫌われたり、恩知らずと言われてしまい、
社会的に孤立します。

発達障害の人は、
相手の気持ちがわからなかったり、
多動や不注意の影響で
返報性のルールを破ってしまう
こともあります。

決して意図的に恩返しをしないわけではなく、
気づかなかったり、
他のことに注意がいってしまうだけなのです。

そのため、返報性のルールを破ってしまい、
発達障害の人は嫌われたり、
避けられたり、いじめられる原因にも
なるのです。

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まとめ

発達障害の人が人に頼れなかったり、
頼まれごとを断れない理由は、
劣等感」と「強い責任感
があります。

劣等感が強すぎるために、
自己防衛をしてしまいます。

「恥ずかしい」や「申し訳ない」という
気持ちが強く、相手に遠慮しすぎて
しまうのです。

そのため、何かをしてもらったら
「恩返しをしなければならない」
という強い気持ちが芽生えてしまいます。

返報性のルールの影響を多大に受けて
しまう発達障害の人は
強い責任感を感じてしまいます。

そのため、恩義という重荷から
解放されたい
一心で
相手に尽くしすぎてしまうのです。

普通の人(定型発達)であれば、
大きさにもよりますが1度の恩では、
1度返せば気持ちがスッキリします。

しかし、発達障害の人は、
恩を返してもずっと影響されてしまい、
相手との対等な立場でいられなくなって
しまう
のです。

劣等感が強すぎるために、
このような傾向に陥りやすいのです。

そうならないために、
相手に恩を感じてしまう頼みごとを
することができないのです。

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