発達障害という言葉は、今ではよく聞くようになりましたが、私が子どもの頃はまだ知られていませんでした。
私は、30代後半になってから広汎性発達障害と診断されました。 それまでの人生は、自分がなぜ普通と違うのか、どうして周りに馴染めないのか、理解できないまま苦しみ続けてきました。
私は、発達障害ということを母親に伝えましたが、母親は私の言葉を信じてくれませんでした。
「そんなことにしたいんだ?」 「引きこもってるのは自分のせいだろ」
と言われました。
私は、自分の人生が上手くいかなかったのは、発達障害と全IQ67のせいもあるという事実を知ってもらいたかっただけでした。
でも、母親は、私の言うことを聞こうともしませんでした。
母親は、70代の昔の人です。 発達障害なんて言葉は知らないですし、理解がないのも当然です。
昔の人は、普通とは違っていてもどうにかして生き抜いてきたし、理解やサポートがある環境ではありませんでした。
自分でどうにかするしかない時代でしたので、発達障害があっても関係ないのだと思います。
私は、母親に発達障害のことを理解してもらおうと、WAIS-IIIの結果を見せながら説明しました。
動作性IQ62、知覚統合IQ63の部分から想像力が著しく劣っている、勉強ができなかったのは、これが理由だということを言いました。
母親は、あまり納得はしていないようでしたが、少しは考えてくれたようです。
しかし、結局、今現在もそうですが、ASD(自閉症・アスペルガー)の本当の苦悩や特性(ハンデ)などは理解していません。
私自身も、今更本当に理解されたとしても何かが変わるわけではありません。
当然サポートや支援も皆無です。
そして恥ずかしいという感情があるから誰かに助けてもらうとかはできません。
もし私が子ども時代に、親に発達障害を理解してもらって、サポートのある環境で育っていたら全く違う人生になっていたと思います。
発達障害の親への伝え方と理解を得るコツ
発達障害の親への伝え方は、とても難しい問題です。
親は、自分の子どもが発達障害ということを受け入れるのが怖いかもしれません。
また、親は、自分の子どもが発達障害ということを認めたくないかもしれません。
親が発達障害を理解してくれない、認めない理由は、年代も関係あると思います。
私のように親が高齢であれば、
「昔はそんな子はたくさんいた、それでも生き抜いている」
「今更言われても・・・」
というような感じになると思います。
子どもが小中学生くらいの親御さんの場合は「認めたいけど、認めるのが怖い」という認識のようです。
発達障害の子どもを持つ親は、子どもの診断を受けたときにショックを受けたり、理解したくなかったりすることがあります。
しかし、そのままにしておくと、子どもの成長に悪影響を及ぼすことになります。
親が発達障害を理解し、受容し、サポートすることが、子どもの幸せにつながります。
親が発達障害を受容するまでの4つのステップ
第1ステップ:ショックと拒否
子どもが発達障害と診断されたとき、親はショックを受けたり、理解したくなかったり、拒否反応を示したりします。
この段階では、親は心が混乱しており、不安や不満の気持ちを抱えています。
親は、自分の子どもが発達障害であるという現実を受け入れられず、否定したり、隠したり、他人のせいにしたりすることがあります。
この段階では、親はまず心を落ち着ける必要があります。
不安や不満の気持ちを抱えたままでは、子どものことを冷静に考えることができません。
少しずつでも良いので、前向きに受け止められるよう気分を落ち着けてください。
子どもの発達障害は、親のせいではありませんし、恥ずかしいことでもありません。
子どもは、親に愛されていると感じることが何よりも大切です。
第2ステップ:混乱と怒り
親は、子どもの発達障害について理解しようと努力しますが、まだ心に拒否反応があります。
親は、子どもの特性や症状を知りつつも、どうサポートすればいいのかわからなかったり、なぜ自分の子どもだけが発達障害なのかと不公平に感じたりします。
この段階では、親は混乱や怒りや悲しみの気持ちがわいてしまい、まだ受容は困難です。
親は、子どもの発達障害を受け入れることができず、子どもに対して厳しくなったり、過保護になったり、無関心になったりすることがあります。
この段階では、親は自分の気持ちを素直に表現することが大切です。
子どもの発達障害に対する親の気持ちは、正しいとも間違っているとも言えません。
親は、自分の感情を抑え込まずに、信頼できる人に話したり、相談したりすることができます。
また、子どもの発達障害に関する正しい知識や情報を得ることも重要です。
子どもの発達障害は、治るものではありませんが、適切な教育や療育によって、子どもの可能性を引き出すことができます。
第3ステップ:気づきと諦め
親は、第2ステップで理解しようとさまざまな情報に触れる中で、気づきを得て心が落ち着いてきます。
親は、子どもの発達障害を客観的に見ることができるようになり、割り切るように考えます。
子どもの発達障害を変えることはできないと諦めの気持ちも生まれますが、それは悪い意味ではありません。
親は、子どもの発達障害を受け入れるための準備ができてきています。
親は、気持ちの切り替えをしたり、考えを改めようとしています。
この段階では、親は自分の役割や目標を見直すことが必要です。
親は、子どもの発達障害を変えることはできないということを受け入れつつ、子どもの長所や個性を見つけて伸ばすことに注力します。
子どもの発達障害に合わせた教育や療育を探したり、子どもの興味や趣味を応援したり、子どもの自立を促したりします。
親は、子どもの発達障害を理解し、受容し、サポートすることで、子どもの幸せを願います。
第4ステップ:受容と希望
親は、ようやく子どもの発達障害を真剣に捉えることができ、親が受容できます。
親は、子どもの発達障害を認めるだけでなく、子どもの個性や可能性を認めます。
子どもの発達障害を隠さずに、周囲に理解や協力を求めます。
子どもの発達障害を恥ずかしいことではなく、子どもの一部として受け入れます。
親は、子どもの発達障害に対して、希望や夢を持ちます。
この段階では、親は子どもと一緒に成長することができます。
親は、子どもの発達障害に関する知識や情報を深めたり、同じような悩みを持つ親と交流したり、専門家や支援機関と連携したりします。
子どもの発達障害による困難や挫折を乗り越えるために、子どもと一緒に努力します。
親は、子どもの発達障害による才能や魅力を見出すために、子どもと一緒に楽しみます。
親に理解や認めてもらう方法
親が発達障害を受容するまでには、心が追いつかず、時間がかかります。
しかし、理解や受容するまでにたくさんの日数をかけてしまうと、子どもに様々な悪影響があります。子どもが辛い状況に置かれ続けるだけでなく、成長の機会も阻害しているからです。
子どもの脳は、年齢が低いほど成長します。
ですので、子どもの特性に合わせた教育や療育を早くしてあげるほど、症状を軽減し、脳の成長を促せるのです。
では、当事者としてはどうすれば親に理解や認めてもらえるのでしょうか。
かなり難しい問題だと思います。親ひとりひとりの性格や気持ち、捉え方が違います。
頑なに認めてくれない親もいますし、すぐに行動してくれる親もいます。
問題なのは、認めてくれない親と、認めるのが怖くて問題を先延ばしにしている親です。
積極的に理解をうながすには、学校の先生や医療機関、専門のサポート機関などから説明をしてもらうことです。
自分で説明しても親を説得させられるほどうまく伝えられないと思います。
ですので、発達障害の知識があり、専門的な活動をしている人に頼るべきなのです。
専門機関の人には、発達障害の生きずらさの大変さを親に伝えてもらいます。
サポートや理解がないと、将来が絶望的な状況に追い込まれてしまうことを認識してもらいます。
親が発達障害を理解し認めてサポートしていかないと、引きこもりや対人恐怖症など様々な子どもの未来を奪う二次障害に繋がると警告してもらうのです。
同じような問題を抱えている保護者との繋がりをもってもらうことも大切だと思います。
同じ状況や境遇を共感することで理解が生まれ、サポートの仕方などを学べ合えるのです。
人を動かすのは「希望」と「危機感」だといわれています。
人は希望があるからこそ、行動することができる。希望を実現するには目的があります。
子どもが発達障害と診断されても周囲の理解とサポートがあれば成長できる。
脳の凹凸の長所を伸ばすことができれば、定型発達(健常者)がいくら頑張っても越えられないレベルになれる。
子どもの発達障害を受け入れて、「希望」を持つことが、受容につながると思います。
逆に人が危機感を持つことでも行動、理解をうながす原動力となります。
子どもの発達障害を放置、無関心になってしまうと、将来は完全に終わってしまう。
遅くなってからでは手遅れになる。
発達障害の無理解の危険性を親に持ってもらうことで理解、行動につながるのです。
まとめ
保護者の方が子どもの発達障害の事実を認めることは、さまざまな事情から難しいと思います。
ですが、いつまでも理解せず放置してしまうことが、一番子どもにとって最悪な判断になります。
子どもと親が共に発達障害の特性を理解して、サポート方法を考えて学校生活を送らなければなりません。
そのためにもまず、親御さんの理解が絶対に必要です。
家族や保護者の方がまず受容し理解がなければ、サポートはできません。
本人は生きずらさを感じていますが、一番求めているのは、理解です。
特性により苦しんでいる状況を誰もわかってくれず、孤独感にさいなまれている状態が本当に辛く苦しいです。
本当に子どものことを考えているなら世間の目を気にせず、行動をしてください。
発達障害の子どもを持つ親の心の変化とサポートの方法について、私の考えをお伝えしました。
この記事が、発達障害の子どもや親の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。