発達障害の人に対する支援って、世界ではどれくらい整っているのでしょうか?

調べてみた結果、日本は世界的に見てもあまり高いとは言えないことが分かりました。
特に、アメリカと比べると雲泥の差。

私自身が発達障害なので支援状況を以前からいろいろと調べていましたが、世界の支援状況を知ると愕然としてしまいました。

そこで今回は、発達障害の支援のランキングを当事者の視点で、独自で付けてみたいと思います。

順位国名診断制度教育支援就労支援社会理解支援の使いやすさ
1位スウェーデン◎(早期診断が当たり前)◎(IEPが義務化)◎(包括的な福祉制度)◎(偏見が少ない)◎(自然に支援が届く)
2位アメリカ◎(DSM-5で明確に分類)◎(法的保障のIEP)◎(SSI・HCBSなど)〇(州により差あり)△(州による差が大きい)
3位カナダ〇(州ごとに支援水準)◎(インクルーシブ教育)〇(就労支援あり)〇(比較的理解あり)〇(全体的に使いやすい)
4位オーストラリア〇(NDISによる一元管理)〇(療育・ABA支援あり)〇(制度として整備)△(地域差あり)△(手続きが複雑な場合も)
5位イギリス〇(NHSで無償診断)〇(IEPに近い支援計画)〇(福祉支援あり)△(偏見や待機期間の問題)△(地域差と待ち時間)
6位ドイツ〇(医療体制は整っている)△(特別支援学校が主流)△(制度はあるが限定的)△(ASDへの理解は途上)△(制度はあるが使いにくい)
7位日本△(制度ありだが申請主義)〇(教育支援は限定的)△(A/B型、就労移行など)✕(偏見が根強い)✕(申請の壁が高すぎる)
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世界の発達障害の人に対する支援状況とは?

発達障害の人に対する支援は、国によって制度や文化、考え方が大きく異なります。

「支援が当たり前」とされている国もあれば「そもそも支援にたどり着けない」国も存在します

制度だけを比べると整っているように見えても、それが実際に利用しやすいかどうか本当に必要な人に届いているかどうかは、また別の問題です。

そして、発達障害は外見からはわかりにくく、診断も簡単ではありません。
ウェクスラー式の知能検査などである程度の傾向はつかめますが、それでも診断にはグレーな部分が多いです。

なので、今までの人生でどんな状況に置かれてきたのかが重要になるわけです

これも、判定する人によって異なりますし、判断する人次第なところもあります。
担当する人によって左右されることもあり、公平な判断がなされるとは限りません。

支援の内容やアプローチも国によって大きく異なるのは、ある意味当然とも言えます。
でも、当事者にとって、支援の低い国だと人生が本当に大変です。

余談ですが、私は良くインドの屋台のyoutube動画を見ています。
そこで気づいたのが、インドは生きること自体が大変な国だと感じることもあります。

そんな、インドにおける発達障害の支援状況は、やはり厳しいものがありました。

経済的な事情から、診断や療育を受けられる家庭は限られており、多くの子どもたちが「ただの変わった子」として扱われ、支援の枠にすら入れないまま成長していきます。

発達障害で生まれただけでなく、国によっても人生の難易度が全く異なってしまうのです。

世界ではどんな支援があるのか?

国ごとに支援の内容は異なりますが、以下のような分野での支援が主に存在しています。

  • 診断のしやすさ(医療制度や保険の適用)
  • 教育現場での支援(個別支援計画・特別支援クラスなど)
  • 障害年金や生活補助などの福祉制度
  • 就労支援や合理的配慮の仕組み
  • 社会的理解(スティグマの少なさ・メディアの影響など)

支援の“質”は、文化的背景でも左右される

スウェーデンや北欧の国々では、「困っている人に支援があるのは当然」という文化が根付いており、発達障害に対する偏見が少ないとされています。

日本では「がんばって適応すること」を重視する文化では、支援はあっても「自己申請型」で、使うためのハードルが高くなっています。
あくまで自分次第、でも支援は微妙だと私は感じています。

実際に、同じ発達障害の診断を持っていても、「生きやすさ」や「安心感」は国によってまったく違いますし。

発達障害支援ランキング(独自調査)

私自身が当事者としての視点から調べた内容をもとに、発達障害のある人に対する支援がどれくらい整っているかを、国ごとに比較してみたランキングを作ってみました。

私個人の視点を含んだランキングであり、絶対的な順位ではありません。
でも、診断制度・教育支援・福祉サービス・就労支援・社会的理解などを総合的に見たうえで、できる限り公平に判断したつもりです。

1位:【スウェーデン】

支援の考え方が“文化”として根付いている福祉国家

  • 早期診断・支援が当たり前
  • 学校では個別支援が義務化され、IEPのような制度も整備
  • 障害年金、住宅補助、ヘルパー制度も手厚い
  • 社会的偏見が少なく、「支援される=恥ずかしいこと」ではない

→ 生活のあらゆる場面で「人間らしく暮らせる」ように支援されている印象を受けました。

2位:【アメリカ】

DSM-5の診断基準に基づく支援が幅広く展開

  • ASDレベル1〜3という“支援の必要度”で診断される
  • 学校ではIEP(個別教育支援計画)が法的に保障されている
  • 障害年金(SSI)や住宅補助、ホームヘルパー制度(HCBS)などが充実
  • 医療保険や支援団体の仕組みも整っていて、「相談できる場所」が多い

→ 医療保険の格差や州による違いはあるものの、「支援を受けるのが当然」という前提があるのが強みだと感じました。

3位:【カナダ】

福祉と教育のバランスが取れている国

  • 州ごとに支援制度は異なるが、全体的に高水準
  • インクルーシブ教育を進めており、発達障害のある子どもが孤立しにくい
  • 医療費の公的補助や、成人後の就労支援も比較的整っている
  • 社会的理解も進んでおり、スティグマが比較的少ない

→ アメリカほど制度が細かくなくても、“安心して暮らせる基盤”はしっかりある印象です。

4位:【オーストラリア】

  • NDIS(国家障害保険制度)によって支援が一元化
  • 早期療育・ABA療法へのアクセスも可能
  • 民間機関と公的機関の連携が進んでいる

5位【イギリス】

  • NHSの医療体制で診断や支援が無料で受けられる
  • 教育現場でもIEPに近い支援計画が実施されている
  • ただし、「待機期間の長さ」や「地域差」が課題とされている

6位【ドイツ】

  • 教育・医療制度は一定レベルだが、ASD単体への支援はやや限定的
  • 特別支援学校中心の体制が主で、インクルーシブ教育は進行中

7位【日本】

  • 制度はある(療育手帳、障害年金、自立支援医療など)が申請主義
  • 支援にたどり着くまでの手続きや精神的なハードルが高すぎる
  • 文化的に「がんばって適応すること」が美徳とされ、自己責任論が強い
  • スティグマも依然として根強く、制度を使うこと自体が悪いことのように感じられることもある(恥ずかしいとも思ってしまう)

→ 制度の質ではなく「使いにくさ」が生きづらさに直結していると思います。

8位以下【韓国・中国など】

  • 医療機関での診断は存在するものの、支援制度は限定的
  • 社会的偏見や学校・職場での理解不足が大きな壁に
  • 支援の考え方が社会全体にまだ浸透していない印象

このランキングはあくまで私の経験と調査をもとにしたものです。
ただ、支援が存在するかよりも支援が届くかを重視した結果、このようなランキングの順位となりました。

日本の支援状況は制度があるのに届きにくいのが現実です

日本にも、発達障害のある人に対する支援制度はいくつか用意されています。

  • 精神障害者保健福祉手帳(通称:精神手帳)
  • 療育手帳(知的障害を伴う場合)
  • 障害年金(主に2級や3級)
  • 自立支援医療(精神科通院の医療費が1割負担)
  • 就労支援(A型・B型事業所、ジョブコーチなど)

ただし、これらの制度が「ある」ことと「使える」ことは別問題です。

申請主義が前提、つまり自分で調べて、自分で動ける人しかたどり着けない

発達障害の特性上、「複雑な手続きが苦手」「外出や電話が苦痛」「自分の困りごとを言葉にしづらい」人が多くいます。

しかし、実際の制度利用は「役所に相談に行く」「必要書類をそろえる」「診断書をもらう」「期限までに提出する」など、高度な自己管理スキルが前提のようになっています。

私自身も障害者手帳2級や障害年金2級を受給していますが、ここに至るまでには本当に多くの壁がありました。

再審査のたびに1万円以上かかる診断書代も必要で、「落ちたらどうしよう…」という不安も強くあります。

特に、発達障害の影響から、メンタル面の疾患(鬱、対人困難、引きこもりなど)があり、当事者本人で手続きが難しいのです。

そして、手続きを行ったとしても、障害年金のハードルは高いです。
自立支援も、指定された1つの医療機関(病院または診療所)と1つの薬局です。

A型事業所と発達障害者支援の現実と課題

私も過去にA型事業所について調べたり挑戦しようとしてみたことがあります。

しかし、制度の本来の趣旨と現実との間に大きなギャップがあると感じました。

A型事業所は、本来「一般就労に向けた練習の場」として設計されており、障害のある方が安定した職業生活を築くための練習の場だと思います。

でも実際には、障害者を雇用しながら利益を上げなければならないという制度設計のため、多くの事業所が支援よりも労働力の確保や収益性に重きを置いているように思われます。

事業所が最低賃金を支払いながら利益も上げなければならない。
何故このようなことになってしまっているのか。

それは、過去にA型事業所を利用して助成金などの不正があったから・・・。

支援はあるけど、使い方を教えてくれる人がいない

日本では、支援制度の種類はそこそこあるのに、それを教えてくれる人や機関が極端に少ないと思います。

  • 役所に相談しても当事者が望む解決法は難しい
  • 支援センターに相談しても、ただ他の機関を相談してくれたり、完全な解決には至らない
  • 発達障害専門の医療機関が少ない

そして、支援を求めるには、自分で調べて、動いて、ぶつかっていく必要がある
でも、その動けない人こそが、本当は一番支援を必要としているのではないかと思います。

制度そのものよりも、“制度へ向かうハードル”が高すぎる

支援の“存在”ではなく、使いにくさ。
それが日本の発達障害支援の最大の問題ではないかと、私は感じています。

日本政府に発達障害の人に対する支援の改善を要望したい

発達障害のある人にとって、今の日本の支援制度は「存在しているけれど届きにくい」「あっても使いこなせない」というのが現実です。

制度そのものが悪いわけではありません。
むしろ、内容としては比較的整っている部分もあります。(でもアメリカと比べると超えられない壁レベル)

しかし問題は、「その制度を必要としている人が、実際に使えるかどうか」です。

◾ 制度を申請型から案内型へ

発達障害のある人は、特性上どうしても自分で申請することが難しいことがあります。

それなのに、支援制度がすべて「申請しなければ受けられない」「自分から動かなければ対象外」という仕組みになっているのは、根本的に矛盾していると思います。

これからは、「制度を知らせてくれる人がいる」「相談しやすい窓口がある」「支援の選択肢を一緒に考えてくれる体制がある」
そうした案内型の支援に変わっていくことが必要ではないでしょうか。

まとめ|支援があると届いているは全く別の話

今回は、「発達障害 支援 世界ランキング」というテーマで、私自身の視点から世界の支援状況を調べ、独自のランキングを作ってみました。

結論としては、日本の制度はあるけれど、使える人が限られているという点で、他国と大きな差があると感じました。

また、支援制度を受けるにも本人次第、支援が適切に受けられるかどうかも未知数。

特に、アメリカやスウェーデンのように「支援を受けるのが当たり前」という考え方が根付いている国と比べると、日本は“支援を受けるのにも努力が必要”という矛盾した構造を抱えているように思います。

私自身、IQ67・発達障害の診断・長期の引きこもり経験を持つ当事者として、日本の精度には疑問を持っています。
何故なら、個人でいくら頑張って抜け出そうとしても、無理だったから。
その結果、23年以上の引きこもりになっている。(現在も)

誰も助けてはくれない。
市役所の福祉課に相談しても、就労支援A型やB型への参加を促される。
対人関係やコミュニケーション問題などからそれはかなり無理がある。

そして、ASDの聴覚過敏問題で近所の室外機問題で市役所に電話相談した時も、適当にあしらわれた。裁判するしかないとか、当事者同士て話し合ってとか。

結局、自分で何とかするしかないのが、日本の発達障害の人に対する支援の現状なのだと私の経験上、思っています。

今回こうして世界の状況を調べてみたことで、「制度の中で見えなくなっている人」がどれほど多いのか、あらためて実感しました。

支援制度を「あること」だけで評価するのではなく、どれだけ必要な人にちゃんと届いているかを基準に考える社会が、これから必須なのです。

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