強度行動障害と発達障害の関係性はあるのでしょうか。
強度行動障害は、生まれもっての先天性の脳の障害ではありません。
生後の育った環境下、本人の日常の困難さによって引き起こされる後天的な障害です。
発達障害は、親からの遺伝、妊娠中のトラブルなど、生まれた時点で発生している脳の機能異常です。
強度行動障害は先天性の脳機能異常ではない為、発達障害があるからと言って、強度行動障害も伴っているわけではありません。
強度行動障害は親からの生まれつきの遺伝ではなく、後天的に発生する脳の問題です。
しかし、発達障害の特性によって、強度行動障害になってしまう可能性が高いとされています。
また、重度の知的障害（IQ３０以下）以上の場合、強度行動障害になりやすいと言われています。
発達障害、知的障害のどちらも、自分の意思を上手く伝えられず、強度行動障害が引き起こされます。
今回は、強度行動障害と発達障害の自閉症スペクトラム（アスペルガーASD）の関係性についてお伝えしていきます。
強度行動障害と発達障害の違いや特徴
強度行動障害は、本人の育った環境下、日常の困難さによって症状が発生します。
普通の人と同じように出来ない、本人が困っていても上手く伝えられず、強度行動障害となるのです。
発達障害も同様に、普通の人と同じように出来ない状態が多々あります。
発達障害の自閉症スペクトラム（アスペルガーASD）の場合、「コミュニケーションの困難」「こだわり行動」「五感の過敏性」によって強度行動障害が起こります。
ただ、発達障害の自閉症スペクトラム（アスペルガーASD）の全ての人が、強度行動障害を引き起こすわけではありません。
自閉症であり、重度の知的障害（IQ３０以下）の場合があげられます。
また、発達障害の特性が強く、衝動・多動性があり、気持ちを抑えられない人が強度行動障害になる可能性があります。
厚生労働省の調査によると、日本に強度行動障害がある人は約８０００人であるとされています。
この数値は全国の調査結果ではありません。
療育手帳（IQ７５以下）を持つ方の中で、強度行動障害の障害判定基準チェックに当てはまる人の総数です。
療育手帳を持つ人の約１％が強度行動障害に当てはまっている結果となります。
強度行動障害と発達障害の関係性
強度行動障害は、育った環境によって発生する問題行動です。
発達障害のような「遺伝」による生まれつきの脳の問題ではありません。
ただ、生まれ持った発達障害や重度の知的障害の影響から、強度行動障害は発生します。
本人の育った環境にもよりますが、先天性の脳の問題と言っても過言ではないのではないでしょうか。
発達障害の特性は、普通が出来ず、健常者にはない様々な問題が引き起こされます。
日常において、様々な困りごとに遭遇してしまいます。
結果、不満やストレスを抱え続けてしまい、強度行動障害の問題行動が出てしまうのです。
ほとんどの発達障害の人は、自分の心の中で抑えたり、我慢する、普通を装う為、強度行動障害とはなりません。
発達障害の衝動・多動性の特性が強く、抑えられない。
または、重度の知的障害がある人の場合、強度行動障害が起こる可能性があるのです。
発達障害、重度知的障害のどちらにも言えることですが、本人の環境次第です。
強度行動障害は後天的に発生する脳の問題です。
発達障害や重度知的障害を抱えていても、本人がリラックスした環境、サポートや理解がある日常生活を送れていれば、強度行動障害が起こらない、軽減されます。
ただ、それでも強度行動障害は治らず、養育が困難、難しい状態の場合もあります。
発達障害の症状は誰一人として同じ症状がいないと言われているように、強度行動障害も本人の困り感、脳の問題が違います。
発達障害の特性と強度行動障害の因果関係
強度行動障害は自閉症と関係があるとされています。
発達障害の自閉症スペクトラム（アスペルガーASD）の特性である「コミュニケーションの困難」「こだわり行動」「五感の過敏性」が強度行動障害を引き起こす可能性があるのです。
強度行動障害は、本人が困っていることを人に伝えられず、異常とみられる行動によってサインを送っている状態です。
発達障害のASDは、人とのコミュニケーションが上手くいかず、不満や悩み事を上手く伝えられません。
こだわり行動では、自分の好きなことに没頭してしまい、それを邪魔されたり、予想外のことが起こると、激しい怒りがこみあげてきてしまいます。
感覚過敏では、「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」「視覚」の影響から、物凄く辛い感覚を感じています。
上記の３つの発達障害ASDの特性によって、強度行動障害が引き起こされる可能性があります。
強度行動障害はいつから？何歳から？
強度行動障害は政府の調査によると、中学生や高校生時代に問題行動が激しくなるとされています。
発達障害の特性によって困難さに直面する時期も、思春期を迎える中学生時代が最も辛く、高校生くらいまで続きます。
強度行動障害は発達障害や重度知的障害と関係しています。
精神が発達して、対人関係や物事の問題がたくさん起こる中高時代が最もストレスを抱えやすいです。
その為、発達障害ASDや重度知的障害の人が「辛い気持ち」を表現する強度行動障害となるのです。
強度行動障害は、学生生活が終わる年ごろ（１８以降）に収まるケースが多いとされています。
これは、ある程度の経験、年齢による脳の構造に関係していると思われます。
小学生の強度行動障害
実は、私が小学５～６年生の頃に、強度行動障害と似たような症状の子供がいました。
その子供は友達がおらず、常に一人でした。
その子はコミュニケーションが取れなかった為、何か不満やストレスがあると、机に頭を何度も打ち付けていたのです。
一番前の席に常に設定されており、先生の目の届く範囲であり、目立っていました。
「ヘッドバット」と呼ばれていました。
小学５～６年生の頃でしたので、バカにしていたり、差別するようなものではありません。
ただ単に、何度も椅子に座って、おでこの辺りを何度も机にぶつける行動をしていたのです。
その為、「ヘッドバット」とあだ名がつけられていたのです。
１９８０年代前半でしたので、強度行動障害の概念はありませんでした。
ただの問題児として、普通の人と同じクラスで過ごしていました。
私も発達障害のASDであり、日常の困難さがあった為、小学生時代は３日に１度は泣かされていました。
それでも、自傷行為や暴れるなどはありませんでした。
全て自分の内に抱えてしまう受動型アスペルガーの影響です。
結果、自己肯定感が異常に欠如してしまうのですが。
強度行動障害を治す・改善するには？
政府のサイトによると、強度行動障害を支える仕組みがありました。
・平穏な日常生活が送れる環境
・自尊心を保てる活動を増やす
・継続的な生活ができる仕組み作り
・医師や専門家に相談する
・安全性の配慮
発達障害の子供のサポートや理解と似ていると思います。
強度行動障害の症状を発生させないためには、本人のストレスとなる環境下に置かないことです。
強度行動障害は発達障害の特性や重度知的障害の影響から困難が起こり、伝えられず、問題行動として現れます。
本人の発達障害の特性に配慮したり、ストレスがかかる環境を事前に把握し、問題が起こらないようにする必要があります。
自尊心や自己肯定感を保てる状態も必要です。
自分が劣っている、何をやってもダメ、常にマイナス思考の状態だと、自暴自棄になってしまうことがあります。
問題と思われる行動が抑えられず、強度行動障害が引き起こされます。
一人でもできる達成感のある活動、環境づくりが必要です。
精神科や心療内科など、専門家のアドバイスも必須です。
精神安定剤の処方や行動方針など、医療機関との連携も大切です。
強度行動障害は、自傷行為、他傷、物理的損傷など、一歩間違えると大惨事となる可能性もあります。
常に、似たような行動、スケジュールを設定し、ルール作りが大切です。
親や介護サービスなど、常に誰かしらの見守りが必要です。
まとめ
強度行動障害は、発達障害の特性や重度知的障害の問題から引き起こされます。
誰にでも強度行動障害のような問題行動を妄想したことがあると思います。
ですが、理性によって絶対に実行しないはずです。
しかし発達障害ASDの場合、想像力が異常に欠如しており、強度行動障害のような行動をした結果や、その後の損害などを考えられません。
衝動・多動性の特性が強い場合、抑えられず、強度行動障害とみられる行動をしてしまうこともあります。
また、重度知的障害の場合、判断能力が著しく劣っており、思ったことをそのまましてしまうのです。
全ては本人のストレスや問題、悩みを言葉で伝えられず、行動で表現してしまう為です。
強度行動障害は、育った環境下において引き起こされます。
だから発達障害や知的障害者が周囲のサポートや理解が必須なのです。
特に発達障害であり、重度の知的障害の子供の場合、強度行動障害が起こさせない環境作りが大切です。
１８歳以上になると強度行動障害は収まる、軽減されると言われています。
それまでの本人の環境次第です。
発達障害や知的障害の人は、辛い人生を送ってしまい自己肯定感や自尊心が低下してしまいます。
大人になって、鬱や２次障害を抱える恐れもあります。
子供の頃の育った環境が本当に大切です。
もし子供に発達障害や知的障害があるのであれば、サポートや理解のある環境を十分に提供してあげてほしいと願います。
